　更科蕎麦

子どもは「薬味」が嫌い

　残暑が続いています。今年の夏も、食欲が落ちたとき喉越しのいい麺類に助けられました。ただし、蕎麦やうどん、素麺、冷麦などの麺類をしっかり食べようと思っても、それほどたくさん食べることはできません。ところが、そこに、ねぎ、大葉、みょうが、生姜、わさびを使うと食べやすくなります。うなぎも、好みにもよりますが、山椒を使うと食欲が増します。チラシ寿司にも、大葉やみょうがを使うとたくさん食べることができます。にぎり寿司も、わさびや生姜があると食べやすくなります。宮崎県に行って、「冷汁」を食べると、必ず大葉がついてきます。カレーは言うまでもありません。スパイスの塊です。

　まさに、それらの香辛野菜は食欲増進剤と呼ぶことができます。だから、「薬味」と呼びます。逆に言えば、私たち大人は「薬」の力を借りないと食欲が出にくくなっているとも言うことができます。

　食生活は子どもに学べです！！現在は、さまざまな情報によって右往左往している人がいますが、悩んだら子どもに聞けばいいのです。乳母車を押しているお母さんが、横を向いている間に、赤ちゃんの口に入れてみればいいのです。泣いたら、あまり良くない。吐いたらもっと悪い。水を入れたら、ごくんと飲むでしょう。コーヒーを入れたら吐くでしょう。焼酎を入れたら泣くと思います（笑）。私が焼酎を口にしたら、喜んで飲んでしまいます。大人はあてになりません。食生活は、子ども、赤ちゃんに聞けば、まちがいありません。ただし、くれぐれもやらないでください。やるなら、他人のお子さんではなく、ご自身のお子さんでやってください。

夏でも走り回って元気な子どもは、私たち大人のように食欲が落ちることはありません。そのため、「薬」を必要としません。だから、子どもはねぎや大葉、みょうが、わさび、からしなどの薬味は嫌います。

　子どもたちを見ていると、私たち大人も、子どものように「薬味」がなくても食欲が落ちない生活が大切なんだろうなと思います。自分のことを考えると、成長期が終わり、子どものように走り回らなくなってから「薬味」が必要になってきたように思います。おでんを食べても、辛子はいらない。寿司を食べても「わさびは塗らないでね」と言う子どもたち。私たちもそうありたいものですね。さて、子どものように暗くなるまで、走り回って遊びましょうか？熱中症で病院に運ばれるといけないので、やめておきます。（長野の雑誌に書いたものです）終わり

▼ところでふと？思うことがあります。蕎麦屋さん、うどん屋さんで食べると、非常に「薬味」が少ないと言うことです。そろいもそろって少ない。たっぷりでてきたことはないような気がする。その点、自宅で食べる際は、ねぎでも大葉でもみょうがでも、多くなりがちです。大してお金も手間もかからないので、無意識に多くなります。

　飲食店がそろいもそろって少ないのは偶然だろうか？もしかしたら、長い経験から薬味には「適量」がある。それを過ぎると決してうまくはならない。と言うことがわかっているから？などと考えてみました。どうなんでしょう？

餅と素麺ー５