国内でデング熱の感染が拡大している事態を受け、厚生労働省は、デング熱の診療マニュアルを公表した。マニュアルでは、デング熱の媒介となるヒトスジシマカが本州から沖縄まで広く分布していることなどを挙げ、「海外渡航歴がない者についても、デング熱を疑う必要性が生じている」と指摘。デング熱を疑う場合、臨床所見に加え、ヒトスジシマカの活動や患者の発生状況にも注意を払うよう求めている。【新井哉】
このマニュアルは、国立感染症研究所ウイルス第1部の高崎智彦室長が代表を務める研究グループが、厚生労働科学研究の一環としてまとめたもので、デング熱の概要や患者が発生した際の臨床対応などが記載されている。
デング熱を発症した場合、通常は1週間前後の経過で回復するとしたが、一部の患者はショック症状を伴う重症型デングになることも指摘。重症型デングを放置した場合の致命率は10―20%に達するが、「治療を適切に行うことで、致命率を1%未満に減少させることができる」としている。
デング熱の症状については、3―7日の潜伏期間の後、発熱や発疹、頭痛、おう吐などが起き、ほぼ全例に発熱がみられると指摘。検査所見では、血小板減少や白血球減少が半数近くの患者に出現するという。
こうした症状を認めた場合、「デング熱の対応ができる専門医療機関に紹介する」とし、専門医療機関で臨床的な評価を行い、検査で陽性となった場合は、診断した医師が最寄りの保健所に届け出ることが必要としている。
「CB記事より」