12月4日13時17分配信 毎日新聞

 株の誤発注で損失が拡大したのは東京証券取引所(東京都中央区)のシステムのトラブルが原因として、みずほ証券(千代田区)が東証に約415億円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(松井英隆裁判長)は4日、約107億円の賠償を命じる判決を言い渡した。常識ではあり得ない発注にもかかわらず受け付けてしまう東証のシステムの脆弱(ぜいじゃく)性が浮かび上がり、みずほ証券の業績悪化にもつながった事案で司法判断が注目されていた。

 誤発注は、みずほ証券社員が05年12月8日、東証マザーズに新規上場した総合人材サービス会社「ジェイコム」(現・ジェイコムホールディングス)の株式について、「1株を61万円で売却」しようとした際に「61万株を1円で売却」と入力ミスしたために起きた。間違いに気付き1分25秒後に東証のシステムにアクセスして、取り消しを複数回試みたが処理されず、その後8分弱で全株の売買契約が成立してしまい、巨額の損失が生まれた。

 金融庁は同14日、東証に「システムの一部に不具合があった」と業務改善命令を出した。その後両者は損失分担について協議したが合意できず、みずほ証券は06年10月、取り消し注文開始以降に生じた約403億円の損害賠償や、売買金額などに応じて会員企業が支払う取引参加料の返還などを求め提訴した。

 みずほ側は「東証は取り消し処理を適切に行えるようシステム整備をしておく義務があった」、東証側は「合理的なシステムを提供しており、予測不可能な避けがたいトラブルだった」と主張した。さらに東証の規定に「取引参加者が損害を受けても、東証に故意や重過失がない限り免責される」とある点も争点となり、みずほ側は「少なくとも重過失に当たる」と訴え、東証側は「免責対象になる」と反論していた。

 みずほ証券は05年4~12月期連結決算で誤発注による約407億円の特別損失を計上し、当期利益は前年同期比約64.2%減の約68億円と落ち込んだ。【伊藤一郎】