ふと、親父の仕事を振り返る。
子どもの頃、自動車整備工場に勤めていた親父から
「修理に来たお客さんが来たけれど、簡単に済んだから、無料にしたら喜ばれた。」
みたいな話を聞いた。
子どもの頃は
親父かっこいい
という単純な感想。
しばらくたって、学生のころ思ったのは、
無料にしたことで、そのお客は親父の整備工場にまた来るんだろうな。それで、次の仕事に繋げたのか。
”恩”を売ったと考えた。
今、自家用車も持ち、社会人のおっさんとなって思うのは、
無料にしたという事実も、お客の心はつかんだろうけれど、
お客は少なくとも整備工場にわざわざ持ってきたのだから、故障したと思っている。それを、親父が話を聞いただけで的確に故障個所を想定し、的確に対処した。それも、手間賃はいらないというレベルの短時間で。
となれば、お客はその技術の高さと知識に感心するよな。
”信頼”を売ったということかと考える。