今は海外に住んでいるのでなかなか会う時間は少なくなった家族。
父親は僕が3歳くらいの時から中野にある行きつけの焼き鳥屋や飲み屋に連れて行ってくれていて、35年たった今でもみんなで行っている。
当時の中野駅はまだ再開発の前で駅前には昭和を感じさせる飲み屋やお店がたくさんあり、仕事帰りのサラリーマンで賑わっていた。
こんな中野の焼き鳥屋に兄と子供の頃から連れて行ってもらっていた僕は子供の頃から、仕事帰りのサラリーマンに囲まれて食べるご飯は大好きだった。
おばちゃんとおじちゃんには本当によく可愛がってもらい、美味しい焼き鳥をたくさん食べさせてくれた。
そんな思い出の場所も中野駅前の再開発により取り壊されてしまい、現在は駅前のビルの地下で2代目の娘さんが営業している。
大人になってお酒が飲めるようになると、1人ではもちろん、彼女がいた時は連れて行ったりしていた。
うちの家族は行きつけのお店に行くと必ずいつもと変わらない物を食べる。何年も何年も変わらず。
35年たった今でも食べるたびに美味しいと思うと共に、子供の頃から食べているので懐かしい味でもある。
大人になっても行ける場所があるというのはほんとに嬉しい。
子供の頃の僕を知っていてくれてる人達がいるのもありがたい。
そんな場所を作ってくれた父親にはほんとに感謝している。
父親の影響があるのかは知らないが、僕も大人になってからは感じのいい居心地の良い場所でいつも同じ物を食べる。
たまに特別な時に新しい素敵なお店に行く事も大好きだけど、僕はずっと通ってる汚いお店でいつもの人に会い、変わらぬ物を食べてる方が好き。
人と人とが繋がりを持てるような、そんなお店が好き。
どうせなら気心知れたお店の人にお金を使い、一緒に歳をとり、そして子供達に世代交代していく。
きっと僕に子供が出来たら同じ事をするんだろう。
家以外にも「ただいま」と言える場所があるのはほんとにいい。
それは何年も何年もかかって築いていく人間関係である。
そんな場所がいつまでも残ってますように。