4月になって、一週間が過ぎましたが、皆様、お変わりございませんか?

 静岡でも暖かい日が  続き、日々着るものに困っていますが、春や秋は日本から消えてしまったように思えますね。

 さて、『光る君へ』に関連した本を読む中で、七世紀の中華帝国の唐帝国の 二代皇帝太宗・李世民と重臣たちの間での政治に関する議論の概要をまとめた本 として、平安時代以来の日本でも重んじられてきた『貞観政要』 を講談社学術文庫で読みました。一条天皇に対して、赤染衛門の夫、大江 匡衡が講義したことでも知られるこの本は、貴族たちの政治に関する議論の基礎的な前提となっていました。

 三国 志の 時代以来の中華帝国の混乱を、兄弟を謀殺し、父を退位に追い込むことで鎮めた李世民とその重臣たちが、国の政治の本質とは何かについて議論したことの記録として遺されてきたものを、現代日本語に翻訳した 上で、 歴史的な事情について解説したものです。

 本書で 扱われている課題の多くは、千年以上過ぎた現在の日本でも問題になっているありふれた課題のようにも思えます。

政治が絡んだ問題の本質というものは、変わらないものだと思い知らされるのはつらいとも思えます。

 さて、本書は、二十世紀の中国で出版されたテキストを底本とし、漢文の原文に解説を添える形を採っているため、文庫本なのに、772ページに及ぶ大冊になっています。そこでは、平安時代の貴族たち、藤原道長たちが、この本で説かれていることを踏まえて、10世紀の日本の政治が現実が直面していた課題について、考えていたことを考える手がとなるように思えます。国とは、政 とは、民とは、などなどについて、中華帝国の故事や聖典の文言を拠り所にした彼らの議論は、理想論に過ぎないようにも思えます。しかし、本書に記されているような議論を踏まえてもなお、太宗の子どもたちの反乱や武則天らの暴政を防ぐことは中華帝国ではできなかったのであり、日本でも、問題は格下げしていくことになります。そして、それは歴史を学ぶことの意義について現在にも引き継がれていること であるように思えます。

 『光る君へ』で取り上げられている事どもに関連した本を読もうとすると、きりがありませんね。

 今回は、これくらいにしておきます。

 日本では、いろいろな取り上げ方がされているので、一部をpickしておきます!


 

 


 

  部分訳です。


 

  解説本として有益です。


 

  もう一つの解説本です。


 

  別の底本によるものです。


 

  上の本の続きです。