大河ドラマ『 光る君へ』の関連で、『大鏡』を岩波文庫本で読みました。そして、1962年に362ページの文庫本で出された本書は、文徳天皇から後一条天皇までの14代176年の歴史を本紀とし、藤原冬嗣から道長まで列伝を、二人の老人の語りの形を取ることで借りた和文の歴史書です 。作者はまだ確定されていないのですが、男性であったことは、確定しているようです。女性の赤染衛門が作者とされていて、道長の生涯に焦点を合わせた作品である『 栄花物語』に対抗したものであると伝わっています。道長の時代の文章は、漢文を読め漢文を書けることが正統とされていて、道長や公任たちが漢文を書いいることは、当たり前の ことでした。菅原道道真に 漢文や漢詩集が残されて、道長や行成、実 資が日記も漢文で記していたのも、当然でした。和歌が貴族たちが 共有されるようになり 民衆にも広まるのは鎌倉以降かもしれませんね。
さて、『大鏡』は、女性目線で綴ら ていたの天皇家と 藤原氏の歴史を男性目線の 権力 闘争の
物語として語り直そうとしたものであるように 、私には、思えます。もっとも、漢文を正統とする歴史は、明治大正まで受け継がれていくことになるのですが。
そうそう、『光る君へ』の今回の回で、私が一番、衝撃だったのは、左大臣の娘、源 に会いに行ったところで、紫式部になる人が、赤染衛門にもっともあっていたということです。 道長の時代を歴史として語ると『栄話花物語』になり、フィクションとして膨らませると『 源氏物語』になるという、設定があるかもしれないように私には、思えます。