この何回か、優れたビジネスモデルによっていかに高い利益率の事業をつくりあげるかということを研究してきましたが、

 

実はビジネスモデルで勝ち抜くというのには限界があります。

 

ビジネスモデルには特許がないので、それを独占し続けることができないのです。

 

どんな優れたビジネスモデルも、それが優れていればいるほど後発者に真似されます。

 

 

高利益率を生むビジネスモデルであっても、ビジネスモデル自体を真似されてしまうと、どうしても高利益率を維持できなくなります。

 

セコムのセキュリティー事業のビジネスモデルがすごいという話をしましたが(「非常事態ってやつなんですぜ」)、セコムのように規模の利益が働く事業でもALSOKなどの競合がどんんどんあらわれてきており、この先ずっと高利益率を維持できる保証はありません。

 

ではどうすればいいのでしょうか。

 

選択肢は3つあります。

 

①先行者利益を食い尽くしたあとは、高利益率はあきらめ低位安定を目指す、

 

②後発者が参入するほどの魅力がない程度のマーケットを完全に支配してしまう、

 

③後発者がくれば、後発者が追い付いてこない地域に進出していく

 

です。

 

日本において、長く、高利益率を保っている企業は、②を選択しているところがほとんどです。

 

 

 

 

3000億円ぐらいのマーケットで700億円ぐらいの売上げまでであれば、超大企業からすれば参入する魅力がありません。

 

 

コストをかけて、今のトップカンパニーを抜き去っても、それに見合う利益が魅力的にうつらないからです。

 

 

とはいえ、余りにも小さすぎるマーケットを狙うのでは、会社の成長の限界が簡単にみえてしまって、夢がありません。

 

 

夢がなければ人はついてきません。

 

 

「このマーケットは200億円ぐらいになるので、そのシェア10%を確保して売上20億円を達成するのがわが社のビジョンである」って言われても燃えませんよね。

 

 

大きすぎず、小さすぎないマーケットをどう見つけてくるか、これもまた大きな経営者の能力です。

 

 

身の丈にあったマーケットから攻める。

 

身の丈が伸びれば、ちょっと背伸びして、さらなる大きなマーケットを狙う。

 

この呼吸はそう簡単なものではありませんが、非常に重要です。

 

 

例えば僕のやっている自主事業は、おひとりさまのための終活サービスなのですが、

 

これは相続マーケットの中の、一部を切り出したマーケットです。相続マーケット自体は5兆円マーケットとも呼ばれて銀行・信託銀行・会計事務所・不動産・保険と何から何まで競合がひしめきあっています。

 

相続人や身寄りの人がいない「おひとりさま」は相続人全体の中の25人に1人ぐらいではないかと想定されますが、そうすると2000億円マーケットであり、うちのようなベンチャー企業が狙うには、ちょうどいい大きさということになります。

 

もちろん、僕の自主事業はもっと大きな夢があるのですが、まずはここから、自分の手の届くマーケットから攻める、というのを大事にしています。

 

皆さんの中でも、このマーケットは一体どれぐらいのマーケットなのだろう、と立ち止まって考える習慣は色んな場面できっと役に立ちます。

 

色んな業界のマーケット規模調べていくのもむちゃくちゃ面白いです。