世界で最も混雑する空港に関する2023年版の最新データで、世界の最近の旅行傾向が明らかになった。

 

2023年に飛行機で旅行した人は85億人にのぼり、ほぼパンデミック前の水準まで回復した。

 アジアと中東の空港で利用客が増えたが、今回もアメリカの空港が首位を守った。

 先ごろ発表された「世界で最も混雑する空港」ランキング2023年版によれば、世界の旅行は、ほぼパンデミック前の水準に戻っているようだ。

 2023年に飛行機を利用して世界を旅した人は85億人にのぼり、2022年の70億人から増加した。

 

 世界各地の2600の空港などからなる業界団体「国際空港評議会(ACI)」が発表した予備データによれば、2023年の増加により、パンデミックで世界の活動が停止する前の2019年の水準と比べて、空の旅は93.8%まで回復したという。

 

 このデータから見てとれる主なトレンドのひとつが、アジアと中東にある空港の利用客増加だ。ドバイ国際空港は、世界で最も混雑する空港ランキングで5位から2位に急上昇した。 インド、日本、トルコの空港もトップ10に入り、乗客数の年間増加率という点でも上位となった。

 

 世界最大の国内線市場を持つアメリカの空港も、引き続き堅調だ。トップ10に、5つの空港がランクインしたほか、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港が首位の座を守った。

 

 世界経済の厳しい状況にもかかわらず、「旅行は増加傾向にある」と、ACIのルイス・フェリペ・デ・オリベイラ(Luis Felipe de Oliveira)事務局長はプレスリリースのなかで述べている。

 

 「グローバル旅行をとりまく状況が絶えず変化し、数々の困難を生んでいるなかにあって、空港は引き続き、回復力と適応力を見せている」とオリベイラは言う。 以下では、世界で最も忙しい空港トップ10を詳しく見ていこう。

 

10. インディラ・ガンディー国際空港 インド、デリー

乗客数:7220万人

 2022年の順位:9位

 デリーの主要空港であるインディラ・ガンディー国際空港は、乗客数が前年比で21.4%増加した。今年は順位をひとつ下げたが、同ランキングで19位だった2019年以降、デリーは輸送ハブとして大きく成長している。

 

9. シカゴ・オヘア国際空港 アメリカ、イリノイ州

乗客数:7390万人

 2022年の順位:4位

 シカゴ・オヘア国際空港の利用客は、2023年に8.1%増加した。オヘア空港は、アメリカの国内旅行のハブ空港で、とりわけユナイテッド航空とアメリカン航空のフライトが多い。格安航空会社のスピリット航空とフロンティア航空が重点を置く都市でもある。

 

8. ロサンゼルス国際空港 アメリカ、カリフォルニア州

乗客数:7510万人

 2022年の順位:6位

 ロサンゼルス国際空港の利用客は、2023年に13.8%増加したが、2019年のパンデミック前の水準と比べると14.8%減少している。この下げ幅は、トップ10に入った空港では最大だ。 ロサンゼルス国際空港は、アラスカ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空など、数多くの航空会社のハブになっている。だが、2022年に経済状況が悪化し、航空各社がフライト数を削減したことで、この空港を使う国内旅行者が大幅に減少した。

 

7. イスタンブール空港 トルコ

乗客数:7600万人

 2022年の順位:7位 トルコのイスタンブール空港の乗客数は18.3%増加し、前年と同じ順位を維持した。注目すべきは、この空港の利用者が、2019年に比べて45.7%増と急増していることだ。

 

6. デンバー国際空港 アメリカ、コロラド州

乗客数:7780万人

 2022年の順位:3位

 コロラド州にあるデンバー国際空港は順位を落としたが、乗客数という点では依然として堅調さを見せている。この空港の利用客は、前年比で12.3%増加し、パンデミック前の水準と比べても12.8%増えている。

 

5. 東京国際空港(羽田空港) 日本

乗客数:7870万人

 2022年の順位:16位

 日本の羽田空港の乗客数は、他を大きく引き離す最大の増加を見せ、前年比55.1%と急増した。この急増の一部は、日本が2022年後半まで入国規制を解除せず、観光旅行の回復が遅れていたことで説明できる。

 この増加にもかかわらず、羽田空港の乗客数は、2019年の水準と比べて7.9%減にとどまっている。なお、同空港では2024年1月、日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突して5人が死亡する事故が起き、大きなニュースになった。

 

4. ロンドン・ヒースロー空港 イギリス

乗客数:7920万人

 2022年の順位:8位

 イギリス最大の空港、ヒースロー空港の利用客は、2022年に218%増と急増した。2023年も、前年よりやや控えめな28.5%という増加率ではあるものの、相変わらず堅調に増えている。同空港は、乗客数増加の主な要因として、アジア太平洋地域からの旅行客を挙げている。

 同空港が2023年12月に発表した報告書によれば、2024年には、パンデミック前の水準を上回り、8140万人という乗客数記録を達成することが期待されるという。

 

3. ダラス・フォートワース国際空港 アメリカ、テキサス州

乗客数:8180万人

 2022年の順位:2位

 ダラス・フォートワース国際空港(DFW)は、アメリカン航空の発着が最も多いハブ空港で、多くの航空会社の国際線が出発する都市でもある。2023年のこの空港の利用客数は11.4%増加した。

 

2. ドバイ国際空港 アラブ首長国連邦(UAE)

乗客数:8700万人

 2022年の順位:5位

 ドバイ国際空港は、乗客数が31.7%と大きく増加し、このランキングで初めて2位になった。ドバイ国際空港の新たな順位は、この地域における航空業界と観光推進への重点的な投資を反映している。

1. ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港

 アメリカ、ジョージア州

乗客数:1億470万人

 2022年の順位:1位

 世界で最も混雑する空港ランキングで首位に輝いたのは、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港だ。同空港は、20年以上にわたって首位を守っている。2023年には、乗客数が前年比で11.7%増加した。

 

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