我が家には妻と私用に車がある。電車やバスの便の少ない田舎では車は必需品で妻は年1万キロ前後走る。一方、2年前に下取りで私がプリウスを売った時、メーターは12年間で5万6千キロを超えた程度でこれは定年後に車をあまり乗らなくなった証拠だ。
車は維持費もかかるし一台でいいとも思うがそれぞれ車があると互いに気兼ねする必要もないし自由さが違う。近所を見渡しても夫婦それぞれで車を持つ家が大半だ。おそらく70歳代後半か80歳になって運転に自信がなくなる頃に車を手放すことになるだろう。
2年前から車とオートバイに「エアタグ」を取り付けている。我が家の数軒先で何年か前に車が盗まれ、盗難が他人事ではないとエアタグを取り付けたのだが「エアタグ」は500円玉硬貨大の円盤形をした位置発信装置で薄型電池が入っていてその分だけ厚みがある。エアタグが今どこにあるかアイホンがあれば無料で探すことができ、もしスーツケースや車が盗難されても場所を特定できる優れモノだ。エアタグまでの道案内までしてくれるが欠点は厚みだ。硬貨の薄さなら財布にも入るが直径32ミリに8ミリの厚さがあり財布に入れるには厚すぎる。それが唯一の欠点だった。
そのエアタグも今では薄いクレジットカード型が各社から発売されているのを知り購入を検討した。クレジットカードタイプなら財布に入り違和感もない。
ネットで「カード型GPS」で検索すると数年で使い捨てる「電池内臓タイプ」と繰り返し利用できる「充電タイプ」の2種類があり販売元は相変わらずC国が大半のようだった。
充電タイプは3~4月ごとに充電が必要で充電を忘れるとただのカードになってしまう危険性がある。使い捨てタイプは3年間限度をうたっている製品が多く一長一短だ。
探していると10年間もちますというものを見つけこれを選ぶことにした。話半分として5年持てば十分だと思った。レビューを見ても少人数だが最高評価点の5点ばかりでそれが決め手になった。ちなみに私がこの製品を選んだ時、実際に使ってみての感想は寄せられていた3件のレビューの中にはなかった。3件とも製品の到着が早いとか、セットが簡単だったという本来のレビューではない「お褒め言葉」だけで何日か試してみてのレビューではなかったことを付け加えておく。
夕方に注文を入れると翌日午前中到着というスピーディーさだった。中国の製品は到着まで5,6日かかるが異例な速さに驚いたものだった。一部の人たちのレビュー通りである。しかし問題は箱を開けてからだった。
レビューで「最高点5点評価をしてくれれば1500円分還元します」というカードが入っていたのだ。
これは評価を金で買っているのと同じではないか、と愕然とした。「レビュー人数が少ないな」と選ぶ前に不思議に思っていたがこれで理由が分かった。そこで反骨心が芽生えた。お金はどうでもいいから忖度のない感想を書いてやろうと。
2枚購入しその日のうちにセットアップしたが作業は10分内でできる簡単さだった。エアタグをセットしたことのある人なら誰にでもできる操作だ。ここまではレビューにある通りだ。問題は電池の持続期間だがこればかりは10年使ってみないとわからない。私は現在72歳で検証できるのは82歳になってだが果たしてその歳になると健康で生存しているかもわからない。話半分として5年もてば十分であとは精度の問題だ。
(左がクレジットカード型GPS ・ 右側がエアタグ)
セットアップした翌日、妻が10Kmほど離れた実家に寄るというのでGPSの精度をテストしてみることにした。
車のダッシュボードに「エアタグ」、財布に「カード型GPS」で妻は出発し1時間が経つ頃アイホンの画面を開き『探す』で妻の現在地を探してみると実家の位置をほぼ正確に指示していた。カード型のほうも同じ位置を示す筈であるが、しかしカード型GPSはタイムラグがあり実家へ向かう途中で立ち寄ったらしい20分前のコンビニを示している。これでは正確な位置情報にならない。緊急時には混乱のもとだ。
この実験を基に私はレビューで
① 「現在地点を示すエアタグと比べ、カード型はタイムラグがあり数十分前の位置のままで誤差がある」
② 「同地点での位置もエアタグとカード型では数十メートルの誤差があった」
と減点理由を書き4点を入れレビューを送った。お金のことはどうでもいい。他の人達の為にも正確な情報をレビューとして載せて欲しいだけだ。
レビューを送信するといつもより少し時間がかかり翌日になってやっと連絡が返ってきたがそれは次の英語文章だった。
We couldn't post your review because it doesn't meet our community guidelines.
Please edit and resubmit your review. Before you do, make sure it meets all of our guidelines.
自分なりに訳してみると
「私共としては貴方のレビューは掲載することができません。その理由は当方のガイドラインに沿わない内容になっているからで、私どもの基本路線をよくご理解の上修正し再提出してください。」
---と言う内容だ。
それまで日本語で対応していたのに急に英語で返してくるとは何だろう?と不思議でしょうがない。「こいつは英語が判らないだろうから英語で適当にあしらっておこう」という魂胆かと思ってしまう。どうも私のレビューが気に入らないようだ。5点満点ばかりの中に4点評価レビューを入れるとマイナスイメージが付き困るのだろうか。
ガイドラインのどの項目にそぐわない、という説明でもあれば納得するかしれないが正直なことを書いて没にされるのは合点がいかない。
彼の国の人は、金券を目の前にぶら下げればどんな奴でも自分たちの都合の良いように操作できると思っていたようだが、しかしそれは彼の国の人の常識で日本人は違うのをご存じないようだ。そしてそんな日本人は彼の国からは煙たがられ無視されるようだ。駄目なものは駄目と認める素直さが改善のカギとして必要なのに欠点を指摘されるとガイドラインを盾に英語で返してくるとはどういうことだろう? その神経が分からない。
ついでに言うと彼の国は国家を上げて賄賂撲滅に躍起になっているがこの商品のレビュー報酬も一種の賄賂である。国民全体に賄賂習慣が抜けていない証としか言いようがない。レビュー評価は全て満点だった?いや、満点以外のレビューは受け付けないのだ。
日本人なら「忌憚のないご意見を」と書くところだが「1500円あげるから満点評価して頂戴」とはイカサマである。なんと自分勝手なガイドラインを設けていることだろう、この会社、そしてこの国は。
皆さんも彼の国の製品の評価レビューには眉に唾をつけてみるようにしてください。ちなみに私がAmazonで買った商品名はFinder Card、ブランド名はDyoacでした。