前にも紹介しました権丈氏(夫婦)シリーズ①~④を気になるところから最近読んでいます。

 

 

 

 

 

最近、講習で著者の権丈氏によるWEBセミナーを視聴する機会がありました。

収録だったので2回視聴したところ、1回目より何を言っているかよくわかりました。

 

基本的には、①の本がベースに、②~④の話につながっていっています。

 

ただ、そのまま読んでも①の本はなかなか素人には難しく、本人による解説がないと厳しいと思いました。

 

何でもそうですが、著者や弟子などによる解説が一番わかりやすいです。

たぶん、それは感情が入っているからです。

本からだとどこに軽重を置いているのか、なかなか伝わりずらいです。(ある程度、品の良い書き言葉にしないといけないので、真意を感じ取りずらいというのがあります。)

 

 

権丈氏の話を総括すると、

・経済学には、「左側の経済学」と、「右側の経済学」というものがある。

 

・左側の経済学は、国がコントロールしながら、高い所得のものから、低い所得の者へと、再分配することで社会保障機能を高めていく。

 

・右側の経済学は、物的生産性(時間に対する生産量)を高めて、財を作り出し、その財をもとに、再投資していく。

(アダムスミス的には、財を消費するものを減らしたいと考えている。)

基本的には国からの自由を求めていくやり方です。

 

・左側と、右側では考える土台が違うので相容れません。

 

・著者は左側を支持しています。(白井元日銀総裁・麻生氏・財務省の考えを支持です。)

・右側は、直接は名前は出しませんでしたが、小泉首相や安倍首相、竹中平蔵氏、黒田日銀総裁が該当します。

 

・左側は、一人当たりの生活水準を高めるためには、低い所得の者が高い賃金をもらえるのようにすることが大切。(付加価値生産性が大切)

・将来は読めない(分からない)という考えます。(だから、例えば、年金では5年に一度は財政検証が必要だと考えます。)高齢者の年金水準が安定するさせるためには、現役世代が生産したものを分配する賦課方式を推奨しています。

(Output is central)


・需要を作り出す仕組みが大切だと考えています。

 

 

右側は、リスクと捉えて「ある一定の水準で経済は回っている」と考えます。そのため、積立年金を推奨します。

 

今、左側と右側の違いをぱらぱらと書きましたが、

・思想が違うので、手にする学問によって解答が変わる」ということを意識しながらよむこと、

・その著者がどちら側を支持しているかということを意識しながら、よむ

と見えてくるということでした。

 

数年前に、「成長なくして分配なし」、と安倍首相が発言したのを覚えていますか。

右側のトリクルダウン、上げ潮派はそう考えます。

国債を購入し、金利を下げて、投資を優先させて、経済を豊かにさせようとしました。

実際は法人税減税を受けた会社や投資家ばっかり儲けて、一般の人にはあまり恩恵を受けていません。

 

左側の著者からすると、「分配なくして成長なし」と真逆のことを考えます。

もちろん成長するためには、付加価値を上げていくことが大切、「

介護や福祉の人たちにもっと、高い賃金を払って、その人たちにも需要を生む、社会の消費者としての役割を担っていくべきだ」と考えています。

 

右側は、医療や福祉はアダム・スミスの流れからくる物的生産性が悪い(効率が悪いのが原因だ)と主張していました。

 

左側の著者からすると実際は、介護や福祉の人たちを低賃金でサービスを提供させる体制にしていることが付加価値生産性が高まらず問題だと考えています。

 

私としては、日本国民全体平均として考えるのならば、著者の考えを支持します。

そうしないと、貧富の差が広がり、社会が荒んでしまうからです。

 

竹中平蔵氏が行った規制緩和は結局、一部の企業側や人たちのみが儲けさせる仕組みになっています。

 

社会保障機能を守ることはとても大切です。

 

ただし儲けを出す仕組みをつくっていかないと、少ない給付水準で分配しても結局社会はうまくいきません。

 

最近、コロナで一人当たり10万円分配されましたが、あれを是とするのか、それとも、収入ごとに分けるべきと考えるのか、どちらが正しかったのでしょうか。

 

金額的な平等・不平等というよりも、「何のために配ったのか」、狙い・目的を達成できたかが大切です。

 

あわせて、財源元が社会保険からでなく、税金からの分配だっただけに微妙なところがあります。

 

ヤフーなどのコメントをみると、世の中には、社会保障と、生活保護の違いも分からない多くの人がいることが分かります。

 

また、「100年安心の年金に対する批判」や「在職老齢年金の調整批判」にしても、政治家の山井氏や長妻氏など、老後の不安を市民に煽って、社会システムの信頼を落とすようなことばかり無責任な人がいるということを権丈氏の講義を聞いて初めて知りました。

 

私も含めて、「正しい知識をもとに、正しい理解をもとに判断することの大切さ」が今、求められています。