【反時計回り連続説】(その6)

 

中国語の発音表
 

邪馬台国研究においては、『魏志倭人伝』に出てくる漢字の読み方には中古代音が使われていると云う、極めて尤もらしい説があり、この説を語る人は、中古代音の母音には甲音と乙音が有ったなどと、さも『魏志倭人伝』の漢字の発音が解っているようなことを言います。

ところが私は昔、中国残留孤児帰国者の方に一頃中国語を習っていましたが、熟達する前に投げ出してしまったので、全く堪能ではありません。だから未だに中国語の聞き取りは困難で、発音記号を理解するのも難しい状況です。つまり『魏志倭人伝』に出てくる小国の漢字の読みも、どう発音するのかよく解りません。即ち、現代中国語の発音でさえ聞き取れない私に中古代音のような話をされても、『成程』と納得することは、不可能な話であります。

 

では、漢字の発音が解らない私は、これらの国名を読むことは絶対に無理なのでしょうか?

そう聞かれると、どうやらそんなこともなさそうです。

私はいろいろ考えた結果、発音からではなく、文字から古代の国名を知ろうと考えました。

この手の問題は発音にばかり拘っていると、難しすぎて次に進めません。

しかし、実際に過去の『魏志倭人伝』研究では既に様々な国が比定されています。例えば、

對馬國⇒対馬(ツシマ)、一大国=一支国⇒壱岐(イキ)、末蘆(マツロ)国⇒松浦郡、

伊都(イト)国⇒怡土郡、奴(ナ)国⇒那之縣、不彌(フミ)国⇒宇美(ウミ)町などは、

新井白石により江戸時代中期に既に比定されており、不彌国などに一部異説もありますが、現在でも研究者の殆どが同意に至っている国々です。

そしてこれ等の国々は全て北九州地域に有る国名であるようです。

 

對馬国から邪馬台国へ至る道程上にあり、江戸時代新井白石に比定された国々。

 

後は、投馬国、首都邪馬台国、狗奴国、と連続する二十一国が残っていますが、上記国が全て北九州地域の国であるため、これ等の国も九州内の国が考えやすいと思われます。

倭女王卑弥呼の治める国=女王国連合=倭国は、一塊だったはずだと私は考えます。

他は、現在の地名で実際に似た地名があることと過去の研究からの引用、及び『三国志』の他の部分で使われている読み方等から国名を類推することが出来ると思われます。

現代の邪馬台国研究の第一人者、安本美典氏の云われるように、地名は千年で90%残存しているとする説によると、二千年前の書物『魏志倭人伝』に出てくる地名も80%は残存しているはずで、文字の変化も上記6国程なら、現在の地名からなんとか類推することが可能な範囲内であり、国名の文字からの比定が可能だと思われます。

 

以下、女王国以北に有る連続する二十一の小国の読み方を列記します。

 

① 斯馬國(しまこく)  ② 己百支國(いおきこく)

③ 伊邪國(いやこく)  ④ 郡支國(ぐしこく) 紹興本では都支国(ときこく)

⑤ 彌奴國(みなこく)  ⑥ 好古都國(こうこつこく)

⑦ 不呼國(ふここく)  ⑧ 姐奴國(さなこく)

⑨ 対蘇國(とすこく)  ⑩ 蘇奴國(そなこく)

⑪ 呼邑國(こゆうこく) ⑫ 華奴蘇奴國(かなそなこく)

⑬ 鬼國(きこく)     ⑭ 為吾國(いごこく)

⑮ 鬼奴國(きなこく)  ⑯ 邪馬國(やばこく)

⑰ 躬臣國(くすこく)  ⑱ 巴利國(はりこく)

⑲ 支惟國(きいこく)  ⑳ 烏奴國(うなこく)

㉑ 奴國(なこく) ☜ 此れ女王の境界盡きる所

 

以上、国名の読み方が出そろった時点で、いよいよ次回からは、【反時計回り連続説】を利用して、連続する二十一国を比定していきましょう。

 

 

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