12月9日、TPP(環太平洋経済連携協定)からの撤退を要求して、一連の中央行
動が、農水省や衆議院第一議員会館などを会場にして行なわれた。
 毎年、12月8日周辺の日程で、全国食健連によるグリンウェイブ(食糧の波・食糧
と健康を守る全国統一行動)中央終結行動や、中央収穫祭が行なわれているが、これに
は理由がある。
 12月8日と言えば、太平洋戦争の開戦となる、旧日本軍によるハワイ真珠湾攻撃の
日である。また、元ビートルズのジョン・レノンが、ファンによって殺害された日でも
ある。
 だが、私達農民連や食健連の会員にとっては、WTO(世界貿易機関)協定が、国会
で批准された、真に怒りの日である。
 1994年12月8日、参議院本会議で、例外なき関税化や食品安全基準の国際基準
への統一などを含んだWTO協定は、村山富市首相の自民・社民・さきがけ政権によっ
て強行採決された。
 この瞬間を本会議場で傍聴していた私は、このままでは決して済ませないとの怒りの
想いでいっぱいだった。
 この日この場所から、農民連・食健連は、WTO協定改定、そしてWTO協定No!
のたたかいを開始したのである。
 その後、WTO協定は、世界各国民の運動で、進展するどころか、暗礁に乗り上げて
いることは、先刻ご承知のことと思う。
 この状態に業を煮やした米国の多国籍企業などは、FTA(二か国以上の自由貿易協
定)やEPA(二か国以上の経済連携協定)、そしてTPPへと、そのあくなきもうけ
主義の野望を果たすために、とんでもない不平等条約を押し付けてきているのだ。
 とくにTPPは、最初から秘密交渉で、これがそもそも国民には後ろめたい証拠であ
る。にも拘わらず安倍政権は、国会決議や選挙公約違反も何のその、国民世論を無視し
てまで強引に交渉に参加してきた。
 また、多国籍企業が、輸入国の政府に大して損害賠償訴訟ができるISD条項を含ん
でいることなど、主権を侵害し、将来展望のないTPPからは、撤退するほか有り得な
い。
 この9日は、午前10時に農水省正門前に結集して集会を開いた後、11時からは農
水省別館会議室で、農水省交渉を行なった。
 午後1時からは、広範なstopTPP団体が衆議院第一議員会館に結集して、TP
P閣僚会議での、内容が明示されないままの大筋合意に断固抗議し、「12・8検証T
PPフォーラム」を開いた。民主、共産など、多数の野党議員も出席した。
 最後に挨拶に立った、民主党の山田元農水相は、「TPPも、戦争法も、沖縄辺野古
も、原発も、根っこは一つ。次の国政選挙で、自民党を落とさないとだめだ。そのため
に野党は協力を。」などと発言した。
 ただ現実は、TPPはもとより、戦争法、原発、消費税増税、改憲など、民主党内に
は推進勢力も少なくなく、これが「ぶれる民主党」の所以でもある。野党共闘の成否も
、民主党の同行が一つのカギを握っている。