永遠の名著「GMとともに」(アルフレッドP.スローン, Jr.著) | MBAによるキャリアチェンジへの挑戦

永遠の名著「GMとともに」(アルフレッドP.スローン, Jr.著)

心の底から感動した名著「GMとともに」についての書評を書きます。


BBTのイノベーションライブ で、一橋ICSの一條和生教授“20世紀に最も優れた経営者”3人を挙げるとしたら、以下の3人の経営者だろうとおっしゃっていました。
 ・アルフレッド P. スローン Jr (GM)
 ・トーマス・J・ワトソン Jr. (IBM)
 ・ジャック・ウェルチ(GE)


そのうちの一人、GM(ゼネラルモーターズ)のアルフレッド P. スローン Jr(以下の写真)は、1920年代に経営危機に陥ったGMを短期間に立て直し、GMを世界最大の自動車会社に築きあげた人物です。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-alfred_sloan


そのスローンが1963年に出版した自伝「GMとともに」(原題はMy Years with General Motors)は、日本語訳にして500ページにもなる大著。


「GMとともに」では、スローンが自動車産業の黎明期にどのように事業部制の原理を生み出して大企業の組織を体系的につくり、戦略立案や業績評価、財務コントロールなどの仕組みを取り入れて、今日の大企業のマネジメントの原則を築いたのかについて、スローン自らの言葉で書かれています。


ビル・ゲイツはビジネス書で1冊読むとしたら「GMとともに」がベストであると称し、一橋イノベーション研究センター長の米倉誠一郎教授は「GMとともに」は経営者が書いた世界最高峰のビジネス書であると評しているほどの名著です。


1990年にピーター・F・ドラッカーが「GMとともに」に寄せた序文(日本語版にも収録されている)を以下に紹介します。


「GMとともに」はまさに記念碑的な書物だった。表面的には自伝であり、そのように読むこともできるが、その実質はケーススタディの宝庫と呼ぶのがはるかにふさわしいだろう。訓話としての狙いがあったにもかかわらず、生き生きとして楽しく、読みやすい。そのうえ「人」に焦点を当てている。ここに浮き彫りにされているのは、アルフレッド・P・スローンの実像ではなく、プロフェッショナル・マネージャーの模範としてのスローンである。・・・・これ以上の経営書を私(ドラッカー)は知らない。


私にとって「GMとともに」のPart1(200ページくらいまで)は、これまで読んだビジネス書の中で最高ではないのかと思えるくらい経営の本質について考えさせられる内容でした。主要なテーマは、事業部制の中で分権化を図りながら全体の足並みをどのように揃えて企業価値を高めていくかという内容で、事業会社の戦略と組織の本質に迫っていくスローンの言葉に引き込まれてしまいました。


単一車種であるT型フォードを低価格で販売していたフォードに対して、外部環境の変化に対応してGMはフルライン戦略をとって成功を収めていくことや、世界大恐慌にもかかわらず、財務コントロール(運転資金、在庫、生産など)を強化する組織を築きあげたために大きな影響を受けなかった内容にも心が躍ってしまいました。


この本を読むことによって、将来、課題に対して真摯に取り組んでいくスローンのようなプロフェッショナル・マネージャーを目指していきたいと思いました。


夏休みには、是非、古典的名著というべきこの本を読むことをオススメします。翻訳者は有賀裕子氏であるため、とても読みやすいです。500ページありますが、Part1(最初の200ページ)だけで十分に価値があると思います。

GMとともに/アルフレッド・P・スローンJr.
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