乱筆・乱文のつたない文章を読んでいただいたあなたに心から感謝いたします。平成6年に正式に正教員となり、スタートを切りました。様々なかけがえのない思い出を刻みました。次のスタートのために少々ふりかえっておきたいとお思います。

 

北海道東部にある山間の町にある高校に赴任しました。野球部の顧問、3年生の副担任、生徒指導部・生徒会担当でスタートしました。ここの野球部は昨年の高校よりもさらに大変な状況だったと思います。練習前にバットを逆さまにしてゴルフをやっていたり、練習試合の終了後、車にのせてあったタバコが無くなってしまう歓迎を受けました。最初は大変なところに来てしまったという失望感に襲われましたが、自分自身の来し方をふりかえり、自分の使命は大変な学校が必然であることを自覚し、ふつふつと燃え上がるものを感じました。

無我夢中で過ぎさった3年目、念願の担任を持つことになりました。1年生から書いた学級通信は「ルネッサンス」です。中世ヨーロッパで起こった人間性を重視した文芸復興運動にちなんでのネーミングです。私は生徒たちに人目を気にして型通りに生きる優等生になる必要などない!少々ヤンチャでも人の痛みがわかり、人のためにわが身を犠牲にしてでも生きることができる温かい人間性をもってほしいとの思いを込めたものです。発刊の辞の一部を紹介します。

「今みんなの心の中は様々な期待や不安でとても複雑な気持ちでいることでしょう。だけどもしかしたら、こんなところに来るはずじゃなかったんだなどと、入学早々白けている人はいないだろうか。いろんな人がいてけっこうだが、みんな1つだけ言っておこう。これから始まる高校生活は、君たちの心次第で本当に素晴らしいものにもなれば、逆に無意味でくだらないものにもなるという事をよくよく肝に銘じていてほしい。ちょっと難しい話になるかもしれないが、よく聞いてほしい。

僕は、人間の価値というのは、どこの学校を出たとか、どこの家柄だとか貧乏だからだとか、お金持ちだからとかそんな表面的なものでは推し量ることなんかできないと思っている。では何が人間の本当の価値を決めるのか。それは、自分自身で自分自身の夢を持ち、自分自身の夢を自分自身の全体力、知力の全てをかけて挑戦し、勝ち取って行く時、本当の自分らしさ、最高の自分を見つけて行けるのである。そして、そこにこそ、人間の本当の価値があるのだということを忘れないでもらいたいのだ」