理想的な人間とはどんな人を言うのか?

世間(せけん)でいう、いい学校、いい就職という成功のレールを歩むことだけが人生ではない。仮に(かり  )、そのレールどおりの人生を歩んだとしても、本当の充実感(じゅうじつかん)を味わえるかどうかは、まったく別の問題だ。有名な大学を出ても、犯罪者(はんざいしゃ)になる人もいる。人間としての(えら)さとは、学歴(がくれき)社会的(しゃかいてき)地位(ちい)で決まるものでは絶対にない。

成績が優秀(ゆうしゅう)で「いやな人間」になるよりは、成績は中くらいでもいいから「魅力(みりょく)ある人間」になってもらいたい。「魅力ある人間」というのは、自分は自分だ堂々(どうどう)と胸を張っている人間です。そして、自分と違う人の長所(ちょうしょ)を、素直に尊敬(そんけい)し、愛せる人間です。自分のことだけを考えて行動する人は、人に迷惑をかける場合が多い。自分のことだけでなく、周りのことを、他人のことをきちんと考えられる人になってほしい。こんな風に担任は考えています。

まずは、高校生として、少なくとも自分のやるべきことはきちんとやりなさい。毎日の授業を大切にしているか?日直、掃除(そうじ)当番(とうばん)、委員会活動など自分の役割をきちんと果たしているか?当たり前のことを、当たり前にやれる人が、信用を勝ち取れる人です。担任は、1人1人の取り組みを見ています。この人物はどんな人物なのか?11日の積み重ねが人生です。今日をいい加減に生きる人に、未来はないのです。しっかり取り組んでくれることを期待し見守っています。

 

どう自分の人生を作って行くのか?

昔、担任の大先輩(せんぱい)が教えてくれた。人生(げき)にたとえれば、自分こそが、自分の人生という劇の「(きゃく)本家(ほんか)」であり、「主人公」なのである。神とか、偶然(ぐうぜん)とかの、他の何ものかが、脚本を書いてくれるのではない。自分が書いて、自分が名優(めいゆう)として(えん)ずる。だれのせいでもない。全部自分がつくるのである。確かにその通りだと思う。人のせいにする人間に成長はない。全ては自分の心の中にあるのである。そう考えれば、未来が明るくなってくる。前途(ぜんと)洋々(ようよう)(ひら)けてくる気がする。

また、「あと5分頑張る」ことが大事です。もうやめようかな、遊びたいな、と思うときに「あと五分」頑張る。五分間、余計(よけい)努力(どりょく)した(ひと)偉大(いだい)なんです。この人が勝つ。11日の積み重ねが自分の人生を作ります。今、この瞬間を大切にできない人に未来はありません。まずは今日を精一杯(せいいっぱい)生きる。そこから全てが始まるのです。