三橋貴明の「新」日本経済新聞さんの近況をシェアしました。
三橋貴明の「新」日本経済新聞
【東田剛】アベノミクスの終わり
FROM 東田剛
消費税問題に不安を覚えていた皆さんも、先週の記事で、だいぶ落ち着かれたことと存じます。
まだ不安な方のために、今日も消費税のお話しを。
先週、申したとおり、問われるべきは、消費税の増減よりも、財政赤字の増減です。
消費税を増税しても、増税分を上回る政府支出の拡大があれば、何とかしのげます。
橋本内閣時(1997年)は、消費税増税もさることながら、政府支出の削減も行われていました。
消費税増税というよりは、財政赤字を減らそうとしたことが、デフレを引き起こしたと考えられます。
ただし、消費税は逆進性があったり、価格転嫁の困難により中小企業にしわ寄せがいったりする筋悪な税制です。
ですが、その弊害も、予算配分や制度を工夫することで緩和できなくはない。
もっと言えば、消費税増税の凍結、場合によっては消費税減税の法律を国会で成立させることだってできる。
実際、橋本内閣時の財政構造改革法は、小渕内閣時(1998年)に凍結されました。
つまり、財政の国民主権がある限り、何とかできるのです。
これまでデフレから脱却できなかったのは、新自由主義に毒されていたからに過ぎません。
考え方さえ改めれば、できるのです。
これに対して、TPP(と日米並行協議)は、国内制度の改変を条約で決めるものであり、国民主権を制限するものです。
<参考:詳しくはこの二冊か、講演にて>
条約の批准は、国民主権下にあるとは言え、通常の法律よりも、衆議院が優越するし、しかもアメリカ等外国の圧力を受けます。TPPは、消費税よりもずっと、国民主権を形式的にも実質的にも制限するものです。
TPPで変えられた国内制度は、TPP参加国の同意を得るか、TPPから脱退しない限り、国民主権だけでは改廃できません。でも、それは、形式上はともかく、外交的には無理でしょう。
それ以前に、安倍総理自身が、「TPPは歴史の必然」とまで言っているので、脱退はないでしょう。
消費税は、国民主権の範囲内の問題ですが、TPPは、国民主権自体を脅かすものです。
国民主権による修正の可能性という点で、消費税よりTPPの方が、国家として、ずっと重大です。
ところが、安倍政権は、消費税より危険なTPPに、すでに踏み込んでいってしまっているのです。
もっとも、「安倍さんには交渉力があるから、アメリカを向こうに回して、日本に有利なルールを作れるんだ」という勇ましい反論はあるかもしれません。
ですが、安倍総理の政治力がアメリカに勝てるほど強力なら、消費税問題は、なおさら、全然心配する必要がないでしょう。
財務省や自民党の増税派の政治力の方が、アメリカよりずっと弱いんだから、何とでもできるはずです。
当の安倍総理は、アメリカと対決するつもりはなく、両国で連携してTPPのルール作りを主導すると再三述べています。
アメリカ政府が新自由主義やグローバリズムを反省している形跡はないので、日米両国で、新自由主義のルールを作るのでしょう。
TPPに限らず、安倍政権の経済政策は、どんどん新自由主義色が強まっているし、総理の演説も、グローバリズム丸出しです。
<参考>
だから、西田昌司参議院議員は、『総理への直言』を出さざるを得なくなったのでしょう。
三橋貴明さんも、この本で「安倍総理、初心に戻ってください」と訴えています(これ、題名長いけど、とってもいい本)。
でも、安倍総理は、「国を開くこと、日本の市場を、オープンにすること」が「政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学」だと言っているので、すっかり、初心に戻っています。
ということは、税財政問題も、新自由主義に基づいて決められることになるのでしょう。
<参考>
イギリスも緊縮財政のせいで、量的緩和しようがオリンピックやろうが、景気低迷です。
新自由主義から抜け切れないからです。
今日のお話、如何でしたでしょうか?
少しは、不安が払拭され、落ち着かれましたか?
私は、パニック寸前ですが。
P.S.
こんなに面白い本、読んだことがありません!
驚くべきことがたくさん書かれています。
世の中がいろいろ、見えてきます!
力いっぱい、推薦します。
P.P.S.
た、大変です。ホサ官が、こんな怪しからんことを言っています!
P.P.P.S.
読書の秋に、思想書や歴史書を読みたくなったら、この本がお薦めです。