政府は12日、愛知県の渥美半島沖の深海で実施している次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」の産出試験で、探査船「ちきゅう」がメタンの産出に成功したと発表した。海底からガスとして採取するのは世界初。エネルギーの95%を海外からの輸入に頼っている日本は、純国産資源の活用に向け前進した。

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故の影響で、国内ほぼ全ての原発が停止し、主に火力発電所が電力供給を代替している。火力発電は海外からの割高な液化天然ガス(LNG)などを燃料としており、メタン産出の採算性が向上すれば、エネルギーコストの大幅な低下が期待できる。

 茂木敏充経済産業相は12日の閣議後記者会見で今回の産出試験に関し、「わが国周辺の資源を活用できる時代が一日も早く来るようにと思っている」と語った。

 メタンを産出したのは渥美半島から南に約80キロの海域。高圧・低温で安定しているメタンハイドレートの地層の圧力を下げ、メタンと水に分解する作業を12日午前5時40分ごろに開始した。メタンは水深約1000メートルの海底下約300メートルまで通した採取管で回収。午前9時30分ごろに船上まで上昇したことを確認した。その後は安定生産に移行し、探査船の船尾で燃焼させている。