日本政府が民主化や経済改革が進むミャンマー支援にようやく本腰を入れはじめた。延滞債務のうち約3千億円を免除するとともに、政府開発援助(ODA)の再開などを通じ、ミャンマーの発展を支援する。さらに同国を含む東南アジアのメコン川流域5カ国との協力関係を強化することで、同地域で中国や韓国などに押され、薄れていた日本の存在感を再構築する考えだ。
「この1年間、大統領が民主化、国民和解、経済改革を精力的に推進されたことに心から敬意を表したい。日本も改革を後押ししたい」。野田佳彦首相は21日、ミャンマーのテイン・セイン大統領に対し、現政権が進める改革を評価。取り組みが遅れていた支援に乗り出す考えを表明した。
日本は経済支援を本格化することで、インフラ整備などの経済開発に主体的に取り組む姿勢だ。テイン・セイン大統領は軍政時代に強まった中国との関係を見直し、日本や欧米各国との関係を強めている。日本も大統領を支援して中国を牽制(けんせい)する狙いがある。
また、2015年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場統合を見据え、ミャンマーの経済発展を支援することはASEAN全体の強化につながる。
ミャンマーは資源に恵まれるだけでなく、インド洋に面し、日本企業にとっては中東やアフリカ進出の足場となる。一連の合意を着実に実行し、東南アジア地域における存在感をアピールしたい考えだ。