■集団行動、得難い経験…スカウトに力点

 少子化の影響で、ボーイスカウトなどの「少年団」に入る子供が減っている。だが、核家族化で地域のつながりが薄くなる昨今、団体行動や学年を超えた子供のつながりなど日常で得がたい体験ができるのは大きな魅力だ。各団体は自ら地域に出て行き、スカウト活動に力を入れる。(道丸摩耶)


                   ◇


 ◆こんな時代だから


 長野県軽井沢地区で10月初旬、同地区で約30年ぶりとなるボーイスカウト軽井沢第8団の結成式が開かれた。団委員長の奥野雅隆さん(48)は「こういう時代だからこそ、人のために行動する大切さを伝えることが必要と思った」と話す。


 ボーイスカウト日本連盟によると、昭和59年に3919団、33万1985人いた団員は、今年3月末時点で2684団、16万7367人に減少した。


 ボーイスカウトだけではない。海洋での団体活動を通じて道徳心などの育成を目指す「海洋少年団」も、団員が1万人を切る状況。小学校高学年の児童が交通安全ボランティアやレクリエーションを行う東京都内の各交通安全協会の「交通少年団」も、最盛期の約2万人から5000人弱にまで減少した。東京交通安全協会は「原則は3~6年生だが、高学年の児童は塾で忙しくて参加できない。最近は低学年にも声をかけている」と打ち明ける。


 少子化に加え、人口密集地も変わった。地方では住宅が点在し、都会には新興住宅地やタワーマンションができた。新たな人口密集地に従来の少年団はなく、こうした地域への働きかけも重要だ。


 ◆活動を広げる


 ボーイスカウト日本連盟は来春をめどに、財団法人から「公益財団法人」を目指す。「より公益性の高い活動が求められるため、団員だけでなく一般へ活動の裾野(すその)を広げていくことが必要だ」(連盟)。


 チャンスとなりそうなのが、2015年に40年ぶりに日本で開かれる「世界スカウトジャンボリー」だ。全世界から約2万人の子供の参加が見込まれ、野外を主な教育の場として相互理解・国際親善を図る。連盟は全国の一般家庭からホームステイ先を募集する。


 また、文部科学省などが全国で進める「子どもの居場所づくり」事業でアウトドア体験を教えたり、「アウトドア検定」を企画したりするなど、一般の子供を巻き込んだ活動も盛んになっている。


 軽井沢第8団は11月15日、“廃虚”になっている旧ドライブインで、太陽光を使った料理やキャンプが体験できるエコイベントを行う。


 「多くの人が立ち寄りやすい既存施設を有効活用して、集客につなげたい」と奥野さん。自ら地域に出て行く新たなスカウト活動のスタイルを模索している。


                   ◇


【用語解説】ボーイスカウト


 異なる年齢の子供たちがグループで活動し、自立心や協調性を身につける社会教育運動。1907年にイギリスで始まり、現在では世界217の国と地域で2800万人以上が活動に参加している。就学前から参加できる「ビーバースカウト」から、18歳以上の「ローバースカウト」まで年齢に応じてグループが分けられる。国内では今年3月末までに、全都道府県で2684団16万7367人が活動。異なる国や地域のボーイスカウトとの交流も活発で、さまざまな大会が催されている。


地域を担う子供が少ないのは、困りましたよしょぼん