菅直人副総理・国家戦略担当相は20日のNHK番組で、平成22年度の予算編成に関連し、複数年度予算の導入を検討する考えを表明した。すでに藤井裕久財務相と調整に入っており、早ければ10月上旬にも来年度予算に関する閣僚委員会に原案を提示する。「年度末に予算を使い切ろうとする」(菅氏)という現在の単年度予算が、“無駄遣い”の元凶になっているとみているためだ。ただ、数年先の税収見積もりが難しいといった制度面の問題に加え、かえって各省庁の裁量の範囲が広がり、新政権の掲げる“政治主導”が後退する懸念もある。

 「英国は3年ぐらいのめどをたてて、最終的には単年度に落としていく複数年度の予算をやっている。こういう基本的な枠組みをまず考えたい」


 菅氏は20日、英国方式の本格的な複数年度予算に意欲を示した。


 日本は現在、憲法第86条で「内閣は毎年度の予算を作成」と規定され、単年度主義を採用している。年度ごとに国会での議決を経ることでチェック機能を働かせるためだ。


 これに対し、英国では3年間の財政運営目標を策定。年度ごとに議会の議決を得る必要はあるが、各省庁は歳出上限の範囲内で柔軟に予算を各年度に配分できるようになっている。


 日本で複数年度予算を編成するには憲法の改正が必要になるため、当面は中期計画を策定し、その計画に基づいて各年度の予算を編成する方法などを検討するとみられる。


 新政権は無駄の根絶によって浮いた財源を子ども手当などの重点政策に充当することを掲げている。


 ただ、日本の現行制度でも、余った予算を次年度に持ち越す「繰越明許費」があり、平成21年度予算には4兆5108億円が繰り入れられている。また単年度主義の例外措置として、原則5年間の支出を定める「継続費」「国庫債務負担行為」があり、長期にわたる防衛省の艦艇建造や医療機器のリース契約などで認められている。


 このため、財務省では「民主党が想定する制度がよく分からない」(主計局)と困惑気味だ。


 さらに財務省は「2、3年先の税収を見通すのは難しい」(同)と指摘する。昨年度のように世界同時不況で税収が大きく落ち込んだ場合、大規模な公共事業などは予算の執行ができなくなり、景気をさらに冷え込ませる懸念がある。予算規模の縮小を回避しようとすれば、国債の大幅な増発を迫られる。


 無駄根絶につながるか疑問視する声もある。日本総合研究所の湯元健治理事は「各省庁の裁量が大きくなるので、政策の達成度などを評価する制度が必要」と忠告する。


 菅氏は20日の番組で、政策の達成度合いを数年後に検証する仕組みの導入に意欲を表明した。菅氏が担当する「国家戦略局」の役割も含め、新政権の“脱官僚依存”が試されそうだ。


たしかに、これが良くないのは、わかるしわかってたんじゃないかなぁドクロ
でも、できなかったんじゃあ無いかな?