貞彦472話 『サンタさんはいる』
12月。
書類やお金の清算も
離婚関係のことは
すべて終わり、残りは
引っ越しとぷう助が
小学校へ入学する準備
となった。
だけど想像以上に
保育園の役員活動が忙しく、
毎週土曜日に集まっては
アルバム制作や謝恩会の
準備であっというまに
クリスマス。
ぷう助は苺やフルーツが
のっているクリスマス
ケーキを喜ばないから、
何ものっていない
白銀の世界みたい
なホールケーキを作る。
普通にスポンジを焼き、
それが例え失敗して
膨らまずにホットケーキの
ようになってしまっても
関係なく、間に生クリーム
をたっぷりはさんで、さらに
全体も生クリームで包む
ようにぬったら完成で、
原価1000円もしない。
たっぷりの生クリームが
あればそれで満足だという。
ケーキを切るとその断面は、
生クリームが豪雪地帯の
降り積もった雪のように
なっていて、ぷう助の
お誕生日ケーキとクリスマス
ケーキはいつも笑いながら
食べる。
そしてサンタクロースの
話になった。
「お母さんはサンタさんに
何をたのんだの?」
「ひみつ」
「前(去年)はお母さんに届いて
無かったよね」
「ちゃんと届いたよ」
「えっ!?でもプレゼント
もってなかったじゃん」
「お母さんは目にみえないものを
頼んでいたから」
「それちゃんと届いたの?」
「うん、受け取っているよ」
私は毎年サンタさんに
『幸せを1つプレゼントして
ください』
と頼んでいる。
私がまだ7歳だった頃まで、
家は経済的に貧しかったけど
サンタクロースは来ていた。
でも7歳のクリスマスイブ、
いきなり父から
「サンタクロースは親が
プレゼントを用意している
からいない。
今年はそのプレゼントを
用意できなんだ」
と告げられて、布団の中で
一晩中泣き、翌朝も
気持ちが沈んだまま。
プレゼントが無いという
ことに悲しかったわけで
はなく、なんとなく
プレゼントを用意して
いるのは親かもしれない
とは思っているけど、
サンタクロースを信じて
いた気持ちが大きかった。
だけど真正面から事実を
言われてしまい、大晦日に
なっても表面上は普通の
顔をしていたけど、心は
立ち直れないままで年が
明けていく。
そして、落ちるところ
まで落ち込み続けて
行き着いた答えは、
サンタクロースは
いるという事。
サンタクロースは
目に見えるプレゼントを
持って来てくれるだけ
ではなくて、幸せとか
良い事とか目に見えない
プレゼントも持ってきて
いるはずで、去年の私にも
プレゼントは届いていた。
そう思ってからは毎年、
おもちゃは届かないけど
目に見えないものが
届いていると信じて、
プレゼントのお願いを
していた。
今思うと、冬の絵本には
サンタクロースの登場が
多く、サンタさんの存在が
大好きだったのだと思う。
好きすぎて、父の言った
事よりも、自分が信じている
ものを押し通していた。
父はプレゼントが届かずに
悲しい思いをするなら、
本当の事をいったほうが
いいだろうという気持ちで
言ったのもよくわかる。
サンタクロースは
プレゼントを持ってきて
くれるけど、ものだけ
ではなく世界中の子供たちに
幸せをもってきてくれるから、
例え経済的に厳しい状況に
なっても来てくれるし、
大人の私にも信じていれば
おまけしてくれるんじゃ
ないかな、なんて
思ってみたりした。
クリスマスが終わったら
一気に年越しへ向かい、
新しい年が始まる。
そうしたらすぐに
不動産へ物件を探しに行く。
☆まだスマホがなく携帯電話が
主流の時のお話です。
☆個人の特定につながらないよう
一部の表現をかえています。
☆メッセージをたくさんいただき
ありがとうございます。
お返事がとてもおそくなって
しまいすみません。
あたたかいお言葉に感謝で
いっぱいです。
本当にありがとうございます。
ランキングに参加しています。
クリックしていただけると
励みになります。
いつも応援ありがとうございます。
【お気に入りの紹介です】
ブログでご紹介している
『ねこはるすばん』を描いている
町田尚子さんの絵本です。
ずっとネコヅメのよるをご紹介
したかったのですが、楽天で
確認すると、いつ入荷されるか
わからず、ご紹介できる日を
待っていました。
道を歩いていると、たまに
今日はよく猫を見かけるな…
という日があるのですが、
この絵本を読んだ時、
道を歩く猫たちのひみつを
知ったような気持ちになり
ました。
ねこたちが大好きな、ある夜の
お話です。
最後の最後までお読み
頂きありがとうございます。
急に気温が変動した地域の
方は、いつもより体調に
気を付けておすごしください。
今夜はゆっくり身体を
休めて素敵な明日を
迎えられますように。