無職ですが、子供をつれて逃げました

ヒトラーを愛する夫のモラハラに耐えられず、
3歳の息子と激動の中、息もたえ絶え逃げた記録です。


テーマ:
ぷう助がよく眠っているのを
見ながら、母の携帯に電話をする。
0,5コールにもならないほどの
一瞬の呼び出し音。
 
 
「もしもし!まぁみ!!!」
 
 
すぐ返事をしたいのに
母の声をきいたら、
息が詰まって、涙が
ポタポタッと落ちる。
 
 
「……ごめんなさい」
 
「生きてるのよね!?どこにいるの!
 ぷう助は!!?無事なの!!?」
 
「…うん、大丈夫だよ。
 家の近くのホテルにいる。
 ぷう助もちゃんとご飯食べて
 寝てる」
 
「……よかった、、、、
 本当に良かった。。。
 ちょっとまってて、
 すぐに折り返し電話するから。
 お父さんと兄やんが、こっちの
 駅の周辺を今も探してるの。
 もしかしたら耐えられない
 ことがあって、
 うちに帰ってくることも
 できずに、ぷう助と近くを
 さまよってるんじゃないかって」
 
「……ごめんなさい」
 
「じゃぁ、一度きるからね」
 
 
そういって電話は切れた。
私は泣き声を抑えることが
できず、ぷう助を起こして
しまいそうで、ユニットバス
の中へ入り扉をしめ
バスタブのふちに座る。
 
この空気すら凍ってしまいそうな
深夜に、いない私たちを
探し続けているなんて。
 
私はのんきに
シャンパンを飲みながら
チキンやケーキを食べ散ら
かしていた。
 
自分が愚かすぎて
どうしようもない。
 
電話が鳴る。
 
 
「もしもし、夜も
 遅いし、貞彦さんには
 明日、私からうまくいってあげるから
 家に帰りなさい」
 
「………。」
 
 
母は貞彦さんを絶対的に信頼している
し、家族だってみんな
そう思っているはず。
 
今回の事は、私自身に
なにか問題があったと
とらえている。
 
本当の事をいったら
母は受け入れてくれるのだろうか、
それとも、なだめられ帰りなさいと
いわれるのだろうか、
でも、もしなだめらたとしても
私の気持ちは、家族に
とても申し訳なく
おもうけど変えることができなかった。
 
 
「離婚しようと思ってる」
 
「……………そう。それなら、
 すぐにぷう助とこっちに帰ってきなさい」
 
「………。」
 
「こっちなら兄やんもいるし、
 まぁみの同級生だっているんだから
 なんとかなるわよ」
 
「ありがとう、本当にごめん。
 だけど今すぐには帰れない」
 
「どうして…、本当にそれで大丈夫なの?
 またいなくなったら……」
 
 
母の声は、再び嗚咽を詰まらせた声になる。
 
 
「本当にごめんね、でも今そっちに
 いっても、結局は向かい合わなきゃ
 離婚して終わらせることができない。
 それならば、ちゃんと準備を
 して家を出たい。
 お願いがあるの、本当は家を
 でるためにお金を貯めて
 いたんだけど、なくなってしまって…
 それで、アパートを借りる時の
 敷金と礼金を貸してほしい。
 家賃は自分で払うから」
 
「そんなの
 いくらだって払うわよ!
 返さなくていい、家賃だって
 こっちでなんとかするから!」
 
「ありがとう、それと家を出るまでは
 貞彦さんに対して、
 今まで通り普通にしてほしい。
 あと、私にも貞彦さんにも
 連絡はしないで。
 メールは貞彦さんに見られてしまう
 かもしれないから。
 かならず、少なくても3日に1回
 は私から電話する。
 他になにかあったらときも、すぐ電話する
 から心配しないで。
 最後まで甘えちゃって
 ごめんねしかいえない、
 本当にごめん」
 
「わかった。
 でも約束して。
 必ず何かあったら連絡するのよ。
 それに、もうだめだと
 思ったら、なにも持たないで
 いいからすぐにこっちに来なさい。
 なんとかなるんだから!」
 
「ありがとう、お父さんと
 兄やんにも改めて連絡するね」
 
「私からいっておくから大丈夫よ」

私も、多分母も涙で
ぐちゃぐちゃだった。
 
最後まで、私のお願いを
聞き入れてくれる母。
2度と悲しませ、心配
させくないと思ったし、
そんなことさせてはいけない。
 
 
「でもどうして
 一昨日、用事もないのに
 いきなり電話してきたの?
 兄やんが、なにかいってきたって
 留守電にはいっていたけど、
 兄やんとはずっと連絡を
 とってないから、お母さんより
 なにも知らないはずだけど」
 
 
 
深夜2時をすぎていた。
 
 
※数年前に離婚した
時の記録です。
現在は、幸せに暮らしています。
 
 
ランキングに参加しています。
クリックしていただけると
嬉しいです。


にほんブログ村

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
食べっぱなしのお惣菜、
崩れたケーキをそのままに
ベットの両脇と鏡の前に
ある暖かそうな橙色の
照明だけをつけた。
 
寝息すら聞こえないほど
深く眠っているぷう助。
 
 
 
まずは携帯を見みて、貞彦さんから
はいっているであろう
怒りを、受け入れようと
電源ボタンをおしたら、
充電が切れていた。
 
鏡の前に備え付けの充電器をみつけ、
そこに差し込む。
ぬるくなったシャンパンの
コップを持ち、窓から
下の通りをみた。
 
ミニスカートのサンタ
衣装を着たお姉さんたちが、
ふらついているスーツのお客さんを
見送っている姿、
幸せそうな男女。
繁華街を下に見つめながら
考える。
 
どうあがいても、
1人では貞彦さんにかなわなかった。
お金も失った。
いつも先手をいかれてしまう
相手に勝つには、どうすれば
いいのだろう。
 
 
深夜1時を過ぎる。
繁華街の隣の通りには、
連結しているかのような
果てしなく長い
タクシーの列ができていた。

充電ができている
であろう携帯をとりにいき
起動ボタンを押した。
最初の表示を直視する勇気がなく
携帯を手に持ちながらも
ふせる。
 
3,4分たち心臓をバクバク
させながら、携帯をおもてに
してみると2件のメールと
留守番電話通知がきていた。
 
嫌なほうから先にすませようと
思い、貞彦さんの肉声がはいっているであろう
留守番電話サービスにかける。
 
 
『メッセージがいっぱいです。
 新しいメッセージが入らないので消去
 してください』
 
 
この時点で電話を切りたくなった。
なるべく心を落ち着かせて
感情的にならないよう聴こうと
いいきかせる。
 
 
『もしもしまぁみ、
 特に用事はないんだけど、
 なんか兄やんが変な事
  いきなりいってきたから、
 なんとなくきになってね。
 後で電話ちょうだい』
 
『ねぇ、どうしたの?
 なにかあったの?家の
 電話にも出ないし、ぷう助
 具合わるいの?なにかあったら
 手伝いにいくからすぐ連絡しなさいよ』
 
『どうしちゃったの!!?
 こんな夜中に電話が通じないって
 どういうことなの?
 本当にどこのいるのよ!!』
 
 
すべて母からの電話だった。
どんどんその声は、強く
切羽詰まっていく。
そして、着信の日付は
翌日になった。
 
 
『貞彦さんも通じないし
 どうなっているのよ、
 ……生きてるのよね、
 お願いだから早く連絡してよ…』
 
『まぁみ………
 生きてるのよね、
 ぷう助も一緒よね………
 どうして連絡くれないのよ…
 ……、なにがあったの』
 
『……どこにいったの…
 お願い、連絡まってます…』
 
 
翌日の電話は、声を震わせ
泣いているような弱々しい
母の声だった。

何かを思うより先に
涙が流れた。
 
すぐに電話をしなくてはと
思ったけど時間は深夜。
2コールだけして、出なかったら
メールを送ることにした。
 
 
 
※数年前の話です。
その後、離婚裁判をして
今は幸せに暮らしています。

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると

嬉しいです。


にほんブログ村

AD
いいね!した人  |  コメント(20)  |  リブログ(0)

テーマ:
ホテルは、繁華街のど真ん中
にあった。
 
居酒屋、カラオケ、風俗店の看板が
主張しあう中、ベージュの
マンションのような建物が
唯一、物静かにたっているようだった。
 
中に入ると背筋に定規が
はいっているかのよう姿勢がいい
受付の男性が、笑顔で
お辞儀をしてくれる。
 
ぷう助はロビーに飾られた
本物そっくりの暖炉や
クリスマスツリーに飛びつき
私が受付をしている間
1人で待っていてくれた。
 
ロビーで待つといわれたものの
すぐに部屋に案内してもらうことが
でき、一息つこうと
思っていると、ぷう助は
まだまだ元気で、遊びたそうに
していたので、外にでることにする。
 
今夜の食事をどうしようか
考えていたところだったので、
デパートの食品売り場へ
いってみることにする。

あるいて5分のデパートにつくと、
どこもかしこもクリスマスの
飾りでにぎわい、
地下は、色々な
チキンやズワイガニが
のったポテトサラダなど、
豪華なお惣菜が並んでいた。
 
すべての売り場から手招きを
されているような気持になる
美味しそうなごちそう。
 
ぷう助にどれが食べたいか聞くと、
丸ごとの大きなチキン、ハンバーグ、
海老のカクテルサラダ
を選んだけど、全部食べたくて
選べないとういう。
 
それならばと思い、3つとも購入。
そのまま、ケーキも飾りがたくさん
盛り付けてある小さいホールを1つ、
スーパーではみたことがない、
値段の高いリンゴジュースに
缶コーヒーサイズのシャンパン
とお茶を買い、ホテルへ戻った。
 
 
少し早い夕食と
クリスマスパーティー。
小さなテーブルに
お惣菜を並べて、乗り切らない
ケーキはテレビの前へ。
 
 
「メリ~クリスマ~~~ス!!!」
 
 
ホテルのコップで乾杯する。
 
 
「お母さん、これどうやって
 食べるの?」
 
「今日は特別!こうやって
 たべちゃえーーー!」

私は丸ごとチキンの両足を
持ち上げカブリと噛みつく。
ぷう助は大笑いして
一緒に噛みついてきた。
 
 
「お母さんとぷう助、ティラノザウルス
 みたいだね」
 
「原始人がいいよ」

そんな会話をしながら
ホールのケーキも、
ポッキーを両端から
食べるラブラブな
カップルのように、
同時に両脇から大口を
開けてかぶりつく。
 
ぷう助は眉毛にまで
生クリームをつけ、
おおはしゃぎした。

クリスマスパーティーは
徐々にお腹もみたされ、
ゆっくりキャンドルの
炎が消えていくように
静かになっていく。
 
 
「いつ、おうちにかえるの?」
 
 
ぷう助のその表情から
『帰りたい』といっているのが
伝わった。
 
ぷう助がそれを望んでいるなら、
なんでもいいと思った。
あの家で、お父さんと暮らすことも
望んでいるなら、私はすべてに
さからわず従える。
 
時計を見た。
まだ終電までには
間に合う。
ぷう助に確認する。
 
 
「あのおうちに帰りたいのね?」
 
「うん、お母さんと一緒に帰りたい」
 
「わかった。今から帰ろう」
 
「違う」
 
「お母さんと2人のおうち」
 
「あのおうちじゃなく、
 お母さんと2人?」
 
「そうじゃない!あのおうちで
 お母さんと2人ですみたいの!!
 だって、あのおうちはお母さんと
 ぼくのおうちでしょ」
 
 
子供からしたら、そうなんだと
思った。
家を購入したのも
名義も貞彦さんだけど、
それは大人の話で合って
ぷう助からしたら、ぷう助の
おうちでもある。
 
 
「そうだよね」
 
「リサちゃんが、家族の
 ことは家族で話し合って
 決めなきゃおかしいって
 いった。あのおうちも
 みんなのおうちでしょ。
 お父さんが1人で
 するのはおかしい」
 
「うん、そうだよね。
 リサちゃんちは、家族で
 よく話し合っているんだね」
 
「お出かけするところも話し合うっていってた。
 お肉買うときみたいに(丸ごとチキン)
 お母さんとぼくは話し合えるのに
 お父さんはきかない」
 
 
リサちゃんは同じクラスの
リーダー的な存在、
お母さんも実業家で忙しそうに
していながらも、保育園の役員を
率先してやる素晴らしい家庭の子。
 
ぷう助は、リサちゃんに
いろいろ教えてもらい
自分の答えをもっていた。
 
 
「うん、何も間違ってない。
 ただ、あのおうちは
 お母さんがどれだけ頑張っても
 ぷう助と2人では暮らせないの。
 それは、お父さんのおうちでもあるから」
 
「…わかった。
 じゃぁ、おもちゃをもっていけるなら
 お母さんがいれば、ちがう
 ところでいい。
 お母さんと2人がいい」
 
「でもね、今日は特別なんだよ。
 お母さんと2人になったら、
 もう二度とこんな大きなチキン
 なんて食べられないかもしれない、
 もしかしたら、食べるものも
 なくなってしまうかもしれない」
 
「ぼくだいじょうぶー!ばぁばに
 ご飯わけてっていってあげるから」
 
 
母の顔が浮かぶ。
携帯を切って、たった
2日だけど、まさか
気づかれて心配なんか
させてないか気になった。
 
 
ぷう助は私なんかよりずっと、ずっと
自分が幸せになれる道を
本能のように選択して進んでいる。
ベットで、私の手を握りしめて
うとうとしている
ぷう助に毛布をかけた。

逃げるのは終わりだと
はっきりした瞬間だった。

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると嬉しいです。


にほんブログ村

AD
いいね!した人  |  コメント(38)  |  リブログ(0)

テーマ:

新幹線を下りた。
雪国から帰ってきたのだから、
少しは、雪の無い地元のほうが
温かく感じるかな
と思ったけれど寒かった。

在来線の方向へ歩いて
行くけど嫌だった。

すごく嫌だ、

ストレートな感情が
まっすぐ貫くように
突き出てくる。

改札の向こう側を見る。
外にでようか…
まだ家には戻りたくない。
立ち止まって自問自答した。


「お母さん?」


ぷう助が気にした。
とりあえず、外に出て
遅いお昼ご飯でも食べに行こうと
決め改札をでる。

けれど歩いている間も
ずっと、ご飯を食べたら
どうするのだろう、
帰らなきゃならないのか、
という自問自答は続く。

駅をでて、駅前のデパートへ
向かい数歩あるいたところで、
やっぱり、もう1度振り返り早歩きで
駅に戻った。

案内所を探す。

すぐに見つけることができ、
ぷう助と一緒に自動ドアの
中へ入る。
大きなリュックを背負った人など
観光で来ているであろう人が
2組いてそこに並んだ。

そして案内所の人に、この近くで
子供と泊まれる安いホテルは
ないか尋ねた。

そこでホテルの一覧表を
いただく。
どこがいいのか聞くと
駅員さんは、少し返答に
こまりながらも、最近できたばかりで
宿泊費も安いところに
ピンクの蛍光マーカーで
線をひいてくれる。

設備は綺麗だと
思うといってくれ、
さっそく外に出て
公衆電話を探す。

雪国の駅のように
公衆電話がなかなか
みあたらず、
やっと広い駅の隅に
3台見つける。

100円を入れ電話を
すると1コールで繋がった。


「今夜、子供ととまりたいのですが
 空いてますでしょうか」

「少々お待ちください……ダブルの
 お部屋ならあいてます」

「お願いします」

「チェックインは3時になります。
 チェックアウトは10時です。
 よろしいでしょうか」

「あの、3時より早くいくのは
 無理でしょうか」

「少しロビーでお待たせする形に
 なりますが、それでよろしければ
 大丈夫ですよ」


今夜も帰らなくていい、
そう思えることが、どれだけ
幸せか、受話器を握りしめて
涙が落ちそうになった。


ぷう助も、新幹線にのれて
楽しそうにはしているけど
疲れているだろうし、
私も早くぷう助と2人きりに
なれる環境で休みたかった。

そのまま、繁華街の中に
あるホテルへむかう。

 

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると

嬉しいです。


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(12)  |  リブログ(0)

テーマ:
電車に乗り1時間くらいたつと
少し離れたところの
平行した線路を鼻先の
するどい新幹線が、かっこよく
通り過ぎていく。
ぷう助はその速さに
大喜びだった。
 
 
「この電車が到着する駅に
 新幹線もたくさんくるから
 次はそれに乗ろうか?
 それともバスにする?」
 
「しんかんせんがいい!!」
 
「そうしよう~!」
 
 
ぷう助にとっては、
はじめての新幹線。
その笑顔をみている
時間が最高に幸せだった。
 
駅に着き、さっそく新幹線の乗車券
売り場へ向かう。
 
窓口へ並び、どんどん順番が
せまっくる間、行き先を
どうするか考える。
答えがでないまま順番がきて
しまった。
 
その窓口で私は、自宅から一番近い
新幹線の停車駅をいう。
他におもいつかなかった。
 
なにも考えないで、楽しい事だけを
やるっているつもりでも、どこかで
お金の減りや、時折来る
逃げることへの恐怖を感じ始めていた。
それをかき消すために、
またぷう助が笑顔になってくれるような
ことを探すのだけど、
根本的な解決になっていない
という思いが、徐々に
でてきて、隠しきれなくなっていた。
 
けれど今はまだ帰りたくない、
という思いも強くお財布が
からっぽになるまで、
逃げる道を選びながらも、
自宅の近くまで体は帰った。

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると

嬉しいです。


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(10)  |  リブログ(2)

テーマ:

玄関は電気が消えて薄暗く、
自動ドアがあかないのではないか
と不安に思いながら、立ってみると
何の違和感もなく
普通に開いた。

正面のロビーは電気がついて
いたけれど、そこにも誰1人
いなかった。

左側にある受付のような
カウンターの前にたつと、
その奥に、のれんがかけられていて
60代ぐらいのオーナーさんだと
思うような人がでてきてくれた。


「先ほどお電話したのですが」

「あっ、はいはいはい、

 お食事は六時半ごろでいいですかね、
 お風呂は室内と露天と両方
 洗っときましたんで、すきな時に
 はいってください。12時までです。
 今日は他に誰も泊りが
 いないんで、いつもは時間制
 だけど自由に入ってください」

 「ありがとうございます」

「では、お部屋に案内します。
 どうぞ」


80人ぐらいは、泊まれるであろう
広さの旅館は本当にだれもいなかった。


「泊めていただき
 助かりました」

「このシーズンに開けているのは
 うちぐらいですから。
 夏の海が終われば
 誰も来ないですよ」

「えっ、でもこちらに
 電話する前の2件には
 満室と喫煙室しかないということで
 無理でした」

「まっさか~、それは
 赤字になるから
 あけないだけですよ。
 まれに企業の研修とかで
 予約がはいりますが、
 そんなのまれです。
 それに、それだけで満室
 になるなんてことは、よそ様
 ではあるかもしれなけど、
 この辺じゃまずないです」

「そうだったんですか、本当に
 ありがとうございます」

「こんな時期に突然こられる
 方は、みんなきまっている。
 明日は駅までおくりますね。
 朝は凍結して危ない。
 電車までお見送りしますから」


部屋につき、私とぷう助は
温かいヒーターの前で
手のひらをかざしながら、
全身をあたためた。

その後、いわれた時間に
食堂といわれる
ところへいき、何品もの
おかずに温かい団子汁を
いただいた。

お腹いっぱいのまま、ぷう助と一緒に
お風呂へ行き
戻ってくると、布団が用意されていて
先にぷう助の歯磨きを終わらせ、
私がみがきおわって、布団へ戻ると
ぷう助は眠っていた。


知らない場所で、いつもの何倍も

遊んだのだから
無理もない。

私は今日のぷう助の
顔が、急にとてつもなく
切なくなった。

あんなに砕けた、綺麗な
笑顔のぷう助をみたことがなかった。


翌朝、オーナーさんらしき人に
電車とバスの時刻表をみてもらい、
電車で大きな駅に向かうことにした。

駅まで送ってくれる
車の中で、その方は


「電車にのるところを見ると
 安心する」


といった。
私は最後のその言葉に、
なぜ他の旅館が赤字になるから
たった2人のために
宿泊などさせないのに、
この旅館だけは
あけているのだろうという
疑問が解けた。

食事も丁寧に
用意してくれ、お風呂だって
1カ所でいいのに、
わざわざ2ヶ所も自由にしていいと
いう。


多分、私たちは死にに来ている
と思われている。

ここに来る前は、たしかに
そうだったけれど、バスに乗った
時から、自由に生きていて
死なんてどうでもよかった。


「おかげさまで、最高の
 思い出が出来ました。
 ずっと、仕事が忙しくて
 バス好きの息子をかまって
 あげられなかったので、今回
 突然だったのすが、思いつきの
 バス旅行ができて最高です」

「そうだったんですか~!
 なーんだ、よかった。
 ここからは、見えないんですが
 あの海の岩場がありますでしょ、
 あそこの引っ込んだところが
 自殺の隠れ名所でしてね。
 こんな時期に観光に来る人なんて
 あったもんじゃない。
 そこに行きたい人が
 宿代の安い順に
 電話かけてうちにくる」

「わざわざ赤字になるのに、
 旅館をそのたびにあけるのですか。
 私たちは違いますが、でも
 そのおかげで大変助かりましたけど」

「まぁ、赤字ったって、大したことない
 額ですよ。
 自分の生まれ育ったところが
 自殺の名所なんて嫌なだけです。
  それに親御さんの
 気持ちを考えたらねぇ…」


駅に着き、私たちは単線
の上を走ってくる電車に乗って、
すぐに送ってもらった
車を探した。

車の窓を全開にしてくれ
ぷう助にむかって
手を振り続けている

のをみつける。

私たちも笑顔で
手を振り続け電車は
発車した。

 

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると

嬉しいです。


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(37)  |  リブログ(0)

テーマ:
雪の粒がさっきより
大きくなっていて、
バスの窓からみえる
景色がどんどん白い
世界になっていく。
 
 
「おかあさんバスって早いね!
 雪が追いつけないよ。
 なんだかサンタさんの国に
 行くみたいだなぁ」
 
「そうかもね。サンタさんの国
 ってどんなところだろう」
 
「う~ん、みんなが笑っているくに!」
 
 
そんな話をしていながら
高速の心地よい揺れと暖房に
ぷう助は次第に口数がすくなくなり
私に寄りかかって眠った。
 
ぷう助の肩を寄せ、
反対の手でリュックから
携帯を取り出し電源をきる。
 
誰にも邪魔されず、
ぷう助と2人でサンタさんの
国へいくために目をつぶる。
 
なにかを考えようと
思ったけど、
すぐに私も沈むような
眠りに落ちた。
 
 
「お母さん、みてみて、すごい雪!海も!」
 
「すごい、すごいね!」
 
 
目を覚ましたぷう助が
興奮して、私の太ももを
ゆすり起こした。
 
遠くに見える集落の屋根には
もったりと分厚い雪が
積っていて
空の上で、誰かが
終わりのないかき氷を
削っているかのように
雪が降りそそぐ。
 
この白さなら、
いろんな色で汚れ切った
人間を1人ぐらい
簡単に落として
くれるんじゃないか
と思うほどに、どこまでも
続く白い世界。
 
バスは最初の駅へ
あと少しで着く。
下車する人たちが、
コートやマフラーを
身に着け始めていた。
 
ぷう助に降りるか
確認すると、もう1駅だけ
乗りたいといったので、
2つ目の駅で降りる予定と
なった。
 
眠ってすっきりした
私たちは、コンビニで
かったお菓子を食べながら
初めてみる街並みを
眺めてみたり、ヒソヒソ盛り上がり
ながら手遊びを
して、2つ目の駅に
着いた。

停車場に降りると、
氷と一心同体のような
空気が『ようこそ』と
言ってくれているかのように
素肌を冷やす。
 
ぷう助と体感したことのない
寒さに笑った。
寒い!
楽しい!
行き先なんてないし!
なにもない!
 
一緒に下車した人たちは、
駅のホームに向かうか、
お迎えの待機している
車へ歩いて行った。
 
私たちは時間も、誰の声も
気にしなくていい、
それで今、全く知らない
遠い地にぷう助とたっている。
360℃どっちに足を進めても
大正解!
笑えた。
 
ぷう助は、すぐに地元の
ローカルなバスを見つける。
 
 
「あのバスのってみたいなぁ」
「じゃー乗りにいこう!」
 
 
私たちは、わざと雪を
サクサク踏んで歩きたくて
積もっているところを通り
バスへ乗り込んだ。
 
行き先が書いてあったけど、
漢字の読み方がわからない
地名ばかりだし、
知ったところで、なにも
かわらない。
降りたくなったところで降りる。

バスは私たち2人だけを乗せて
発車した。
うねるような道をいったかと
思えば、波しぶきがあがる
海がみえたり
ずっと貸し切り状態。
 
「あっ、駅だ」
 
ぷう助が指をさすほうこうを
見ると、可愛い小さなおうちのような
駅があった。
 
1本の線路が雪を中を通っている
ような気がする。
降りたいというので
駅で下車した。
 
誰もいない。
遠くを見ても、電車がくる気配すら
ない。
駅の窓口へいっても
誰もいなくて
奥に視線を移すと、
ストーブの上に網を
のせて、ピザトーストが
焼けるのを真剣にみつめている
50代ぐらいの
駅員さんが1人だけいた。
 
私が声をかける前に、
気が付いてくれ、驚いた顔で
こっちにくる。
 
 
「すみません、このへんで
 子供と泊めてくれるところは
 ありませんでしょうか」
 
「あ、ああっ~、ちょっとまって」
 
 
そういって、慌てて隅の
ボロボロになった
時刻表とともに
たてかけてある
ファイルの中から、
宿泊一覧表を1枚ぬきとって
渡してくれた。
 
お礼をいい、表の一番上から
旅館名と金額をみて、
安いところから、
公衆電話でかけてみる。
公衆電話の冷たい受話器を
握った時、その太さに
驚いた。
 
公衆電話を、
最後に使った記憶すら
でてこない。
 
1ヶ所目は満室ということで
断られる。
2ヶ所目は、喫煙室しかない
ということで断られた。
3ヶ所目は、コールの呼び出し音が
長くて、またダメかと
思うなか、電話にでてくれ
これから、泊まりに行っても
いいということだった。
 
すぐに雪で遊んでいる
ぷう助を、唯一1台だけ
待機しているタクシーに
乗り旅館名を伝えた。
 
ぷう助の手は、赤く
氷水みたいに冷たくなっていた。
それでも、旅館についたら
もっと遊びたいといっている。

もし、心が死ぬ前の
私だったら、こんな無謀すぎる
ことは、考えもつかない。
 
宿泊先もきめず、
たまたま駅で降りたから
よかったけど、なにもない
バス停だったら、雪の中
ぷう助を連れてどうするというのだろう。
 
そう思ったとき答えは
再びすぐにでた。
 
どうにもならなくなったら
それが命の果て。
 
後先を考えて、ある程度の保険を
作り、今を楽しむことは
生きていく上で
大事な事なのだろう。
 
 
私は死んでいる。
今だけが楽しければいい。
私の楽しいは、ぷう助が
楽しい事。

旅館に着く。
車の止まっていない駐車場の
すみで、膝の高さまで積もった雪に
ぷう助と、また夢中になって
遊んだ後、電気の消えている
玄関へ歩いた。
 
 
ランキングに参加しています。
クリックしていただけると
嬉しいです。


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(10)  |  リブログ(0)

テーマ:
いただいたお言葉は、すべて心の温まる
優しいコメントで、なんとお礼を述べたら
良いのか、本当にありがとうございます。
 
そして、いつものようにコメントを
お返しできず、こちらでお礼を
することをお許しください。

あの時の事を書くかどうかは
投稿ボタンをクリックする直前まで悩みました。
 
もしブログが悪い方向へいき
閉鎖することになれば
この後に続く、最も伝えたかった
ことを書くことができず、
不愉快なブログで終わってしまうので
それでは意味がないと思いました。

この後に続く、離婚裁判までの
道のりでは、途中で私の立ち向かう相手が
一時的に貞彦さんよりも、はるかに大きく
弁護士をつれた一個人でも、
かなわない存在を相手にしなくては
ならない状態になります。
 
このことは今悩んでいる人も
裁判中の人も
母子家庭で頑張っている人にも
子供を育てている家庭の一部の人を除いて、
すべての家庭に天災のように
起こるかもしれないことです。
 
いざとなった時の懐中電灯の
ように、普段は存在すら
忘れていても、なによりも
大切な我が子をまもるために
心の端っこにそっと
置いてほしいことなのです。

私と貞彦さんの関係は
数年前に終わりましたが、
あの時一時的に向き合わざる
おえなくなった存在は
今も私の中で、自分にできることは
何なのかと問続けさせ、
微々たることでも、行動しよう
という原動力になっています。
 
この存在を今かいてしまうと、
説明不足で、誤解を招く可能性が
あるので、順をおって伝えたいと
思います。
 
それまで、お時間の許すときで
かまいませんので、お付き合いいただけたら
と願います。
 
我が子を守る、
社会の子供たちを本当に守る為には、
母親や父親など、子供を育てる立場にあたるものを
守り、支えなくては
子供たちの、本当の救いは無いのでは
と思うのです。

最後までお読みいただき
本当にありがとうございます。

これから命の果てからの続きを
書かせていただきます。

どんどん冬に近づいてきました。
風邪などひかないよう、
しっかり睡眠をとって体を大切に
してください。
 
 


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(32)  |  リブログ(1)

テーマ:
重い気持ちや、ストレスを感じる可能性が
あるものになっています。
気分を害してしまう可能性があるので、
大丈夫だと思うかたのみ、
読んでいただければと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
乾いた空気にふわふわと
雪が舞う中、ぷう助と
歩道橋の上で
信号のない直線道路を
見下ろす。
 
正面からスピードをあげ
どんどん通過していく
大型トラックやバスを
眺め続けた。
 
ぷう助は、お気に入りの
マークがついているバスが
早くこないか
楽しそうに待っている。

正面からどんどん通過していく
自動車をみていると、
自分の中の、もう1つの
声がきこえてくるきがした。
 
その声は、騒音の中に響いている
感じでよくわからなかったけど、
しっかり聴こうと心の耳を
すましてみると、はっきりわかった。

<もういいよ、よくがんばった。
 ここで飛び降りても誰も責めないよ。
 最後ぐらい自由にしたらいい。
 死ぬ自由まで、うばわれるなんて
 ごめんでしょ。とんじゃっていいよ>

私の『こんなことをしてはいけない』
というストッパーを外し、
許してくれる優しい声だった。
 
 
「あっ、バス来たー!」
 
 
ぷう助が待っていた
バスが通過する。
私は浅くうなずき、
そのまま下を見続ける。
ぷう助の声がすると、
内側の声は消えた。
そして、いろりいろな
事を考え始めると
また優しい声は
はじまる。

次のバスが見えたら
とぼう、
そう決めたら心が楽になった。
 
歩道橋に足を引っかけて
またげるところがあるか
見る。
次に雪で冷やされている
鉄柵の上に、両手をおいて
滑って、内側に転げ
落ちないよう確認した。

バスはしばらくこなかった。
 
どうかぷう助が苦しまないよう
にしてください、
すべての罪は私にあります、
あの時、ぷう助の命を授かる
ことも産むことも
私の過ちでした、
こうなる可能性があったのに
望んだ私がすべて悪かったです、
ぷう助だけは、天国にいかせて
あげて下ください、
早く愛してくれる
優しい両親の元へ
生まれ変わらせてあげてください、
生きて責任を取ることも
できませんでした、
ごめんなさい。
 
誰にお願いしているのかも
わからず心の中で繰り返していると、
バスを待っている
ぷう助の顔が私を見上げた。
 
 
「お母さん、いつかあのバスに
 乗ろうねってよくいってるけど
 乗れないのは、お金がないからだよね。
 でも大丈夫だよ、
 今日もみれたし嬉しいよ。
 ありがとう。
 ぼく早く大人になるよ、それで
 社長さんになるんだ。
 でね、あのバスのチケット買うの。
 お母さんの分も買ってあげるからね。
 一緒に乗ろうね」
 
 
覚悟を決めた心が
揺るぎ、ぷう助の声を
跳ね返そうとした。
もう決めたのだから、
ためらうことを
いうなと反発するように。

遠くから、ぷう助の好きな
バスが見えてきた。
ここでためらったら、
さっきの踏切のように
また歩き続ける。
これが最後、もうとぶしかないんだよ、
自分の中の声が強くなる。

「きたーーー!
 今日は2回もみれてうれしいなぁ!」
 
どんどんバスは近づく。
とぶ、となばい、とぶ、いけ!いけっ!!
 
 
バスは、足元の歩道橋の下を
通りすぎた。
かなりスピードをだして
通過したはずなのに、
とても長く感じた。
それでも柵に足を
ひっかけることすらできなかった。
 
直後に、抱っこしているぷう助を両手で
揺れないよう抑えながら
歩道橋を駆け下りて駅へ走る。
 
コートをきている身体が熱る。
リュックの中のお茶もちゃぽちゃぽ
音をならした。
 
駅前についたころには、
走る体力がなくて、息だけをきらす。
そして、ぷう助の好きなバスを探した。
各地へ行く高速バスが
あっちこっちに停車していて、
キャリーバッグをもっている人たちが
行き来している。
 
 
「あったー!」
 
 
先にぷう助が見つけた。
私はそのバス停に再び
走り、バスのトランクの前で
荷物をつむ係をしている人に聞いた。
 
 
「このバスにのるためには
 どうしたらいいんですか?」
 
 
すぐ近くの乗車券の売り場をおしえて
くれた。
 
 
「発車まであと14分だから
 いそぎな~」
 
 
その声を後ろに、再び走る。
売り場の外の電光掲示板を
確認するとまだ席に余裕はあった。
すぐに2枚購入して、そのわきの
コンビニで、内職の残り残高52000円
すべてをおろし適当にお菓子、おにぎり
水を買って、バス乗り場に急いぐ。
 
 
「こっちだよ~!まにあったね。
 荷物はいいの?いってらっしゃい」
 
 
バスはすでに白い手袋を
はめて、運転手さんが発車の
準備をしている。

バスへ乗り込み
ぷう助の抱っこ紐を外して
窓側へすわらせた。
 
 
「おかあさんすごいっ!
 ありがとう!
 でもお金あったの?」
 
「お母さん実は、こっそり
 ためたんだ~」
 
 
明るく演じた。
コートを脱ぐ前に、バスの扉は
閉まり発車した。
案内してくれた人が、
ぷう助に手を振ってくれている。
 
暖かい車内で、すぐに
厚着をさせているぷう助と
自分の上着をぬいで落ち着いた
ところで、高速バスの話を
した。
 
このバスは、次の駅は
とても遠くにあること。
その後は、少しの時間で何ヶ所かに
停車しながら進む。
最後の駅までは、明日の朝まで
かかって、夜もバスで過ごすとになること。
次の駅で降りたくなったら
おりてもいいし、降りたいっていう
気持になったら早くいうこと。
ぷう助の好きなところで
おりていいということ。
バスは、電車と同じで寝てるお客さんも
いるから、静かにすること。
 
 
「うん!約束する」
 
 
ぷう助は騒ぐことなく
雪が窓については、溶けていく
窓外をニコニコしながら
ずっと眺めていた。
 
私も、そんなぷう助の後姿と
共に窓を眺め、歩道橋での
ことを思った。
 
私は、すべてにおいて
なすすべがないと思っている。
 
でも、ぷう助は明日があることに
何の疑いものなく信じていた。
大人になれることも。
 
私の心は、間違いなく
あの歩道橋から飛び降りた。
そして死んだ。
だから、もう夫がとか、
母親だから責任がどうとか
一切関係ない。
 
私が、私の好きなようにする。
万引きだって、なんだって
法律なんか関係ない。
 
私の自由。
今1番したいことをする。
それは、ぷう助と最高に
楽しくすごすこと。

死んだ者は後先を
考える必要は無い。
もう何もないのだから。
 
ぷう助と楽しむことができなくなった
果てが
本当の終わり。

バスは高速へあがり、
さらにスピードをあげる。
 
 
※名前以外、フェイクをいれていません。
※数年前に離婚裁判を終えて
 今は、家族みんなで仲良く暮らしています。
 
 
 
長々と読んでくださり
本当にありがとうございます。
いろいろなお気持ちがあると思います。
酷い母親です。
息子を道連れにしました。
そして、その後も逆切れのように
自由だといい、勝手な思考にはしりました。
 
この時の出来事と、気持ちは裁判の
書類に記載していないため、貞彦さんに
特定されることがないので、そのまま
書きました。
 
貞彦さんのことを書き、
自分の悪行を書かないのは
ずるいという思いで、書きました。
 
私も親として息子に
酷い事をしたのです。
 
 
 


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(71)  |  リブログ(5)

テーマ:

※重い内容です。

 気持ちが沈みがちな方、ストレスを感じている方などの

 気分を悪くしてしまうかもしれませんので、どうか

 無理せず、このページはとばしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保育園へ、私の体調不良のため
欠席を伝える。

ぷう助にダウンコートを着せ
抱っこ紐の中へいれた。
抱っこ紐がきついと
感じ紐を最大までゆるめる。
3歳誕生日をあと半年前
にしたぷう助を見つめると
抱っこ紐は、そろそろ限界だと

思った。


外へでる。
鼻がつんとするほど空気が
冷たくて、空には重たい
灰色のが混じった雲が
ぼってり、もったり覆い
朝なのに薄暗かった。

なんとなく歩き始め
駅の手前で横道に入り、
線路にそってただ歩く。

数分おきにくる上り電車が
斜め前から走行してくるたびに
立ち止まり、体を横向きにして
後ろ向きのぷう助に電車を見せる。

そうするとぷう助は
足をパタパタさせて喜んだ。
私は目の前をサビ色をした
鉄の車輪が、線路のつなぎ目の
上をガタンゴトンと、耳がその音だけで
ふさがるほどの走行音の中、
なんでも切断できるに違いな
車輪と線路の間だけを見つめ続ける。

そしてまた歩く。
3駅、4駅と新幹線が停車する
5つ先の駅に近づくにつれて
街並みが賑やかになり、
自動車や人通りが多くなっていく。

途中で行き止まりになって
しまい、隣の踏切を渡るしか
なくなると、ちょうど信号が
点滅して遮断機がおりはじめた。
下まで降りた踏切の棒は
軽くバウンドしながら
風にゆれている。

こんなに棒ってかるいんだ、
簡単に持ち上げられる…

普通、線路は真ん中に隙間があるけど
踏切の真ん中は隙間が
ないから、あそこに立てば
助かってしまうなんてことはないんだ。

それ以上の事は、
なにも思わない。
ただ、中に入ろうと思い
後ろを振り返り、みてみると
白バイが踏切の先頭にいた。

やめよう。
ここで止められたら
警察に、夫の元へかえされてしまう。

目の前を電車が通過して
遮断機が上がる。
私は、そのまま一番に
多分、普通の顔をして歩き出し
わたり切った先の
線路沿いを再び歩いた。

時折、ふわっと白い粉のような
雪が舞って、黒いコートに
付いては消える。

「あっちがいい!」

ぷう助が指をさした。

そこは、5つ目の大きな駅を
利用した時バスが大好きな
ぷう助を喜ばそうと、
駅から少し離れた大通りの
歩道橋の上で、駅から出発してきた
高速バスを見せていた近く。

「いいよ、いってみよう」

歩道橋へむかった。
 

※貞彦さんに特定されないよう

フェイクをいれています。すみません。

※数年前に、離婚裁判をして

おわった記録です。

今は、幸せにくらしています。


この日の事を、本当に
書いていいものか悩みました。
私の中では、今日から続く出来事が
夫から逃げる最大の転機に
なったのですが、読んでいる人は、
気分のいいものはないと思います。

けれど、この過去をなしに
明るい方向へのお話に、つなげることが
できませんでした。

消せない過去です。
これがあって
今もあるので
私自身は大丈夫ですが、
読んでいる方が、大丈夫なのか
見えないだけに心配になります。

2日間ぐらい、このような内容が
続くかもしれません。

最初に、観覧注意をだしますので
どうか、心が重くなりそうなかたは
無理せず、とばしてください。
よろしくお願い致します。

 

 

※ランキングに参加しています。

クリックしていただけると

嬉しいです。


にほんブログ村

いいね!した人  |  コメント(29)  |  リブログ(1)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。