モンスターものと思ったら駄目。
ザ・モンスター [DVD]
3,342円
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誰も通らない森の中の道。
豪雨。
車が故障。
襲い来るモンスター。
母と娘の葛藤!←メインはココ!
酒と男にだらしないママ。
パパとは別れて、一人娘のアタシ(リジー)と暮らしてるの。
ママが駄目な分アタシがしっかりしなくちゃ!
パパのところに行く大事な日なのに、ママは酔った挙げ句に寝坊。
出発が遅れちゃったじゃない。
おかげで道半ばで夜に…雨もザーザー降ってきて。
森の中の脇道を走ってたらオオカミを撥ねてしまって、ママとアタシの車も事故ってボーン!
ママは額を切り手首を痛める怪我を負っちゃった。
タイヤはパンクし身動き取れない。
救急車とレッカー車、カモ~~~ン。
撥ねたオオカミの身体には、何者かの牙が突き刺さってる。
オオカミはなにかに襲われて逃げてきた?一体何に?アタシはとても不思議で怖い。
気がつくと、オオカミが消えてるじゃない。
「森に帰ったのよ」ママは言うけど、そうじゃない気がするの。
レッカー車が来てくれた。
「車輪部分が大破してるので、修理してから牽引していくわ」
作業員兼運転手のジェシーは車の下に潜って修理を始めたの。
土砂降りの雨の中。
アタシたちの携帯を入れたバッグはジェシーが先程自分のレッカー車の中に運んじゃったから、パパに連絡もできない…。
取りに行ってもドアは施錠されてるし。
ジェシーが消えた。
様子を見に行くママ。
ジェシーの腕が降ってくる…。
怯えるママとアタシ。
ぼろぼろになったジェシーが森から逃げて出て来たものの、何者かに襲われ絶命。
やだやだ、絶叫なんて聞きたくない!
ママはジェシーの車にあるバッグを取りに行こうとしてる。
先ほど瀕死のジェシーがドアを開けたから…。
ママ、襲われ「ぎゃーーーー」
そこへグッドタイミングで救急車が登場。
大怪我を負ったママが「早く逃げなくちゃ!」と忠告するのに、救急隊員はのんびりと点滴を打ったり、周囲の様子を見たり。
案の定助けに来た人たちはKILLられちゃった。
救急車もモンスターの体当たりを受け、ゴロンゴロン。
なんとか生き延びたアタシ達…でもママは血反吐を吐く重傷。
誰も助けに来てはくれない。来てくれても殺される。
なら、逃げるしかない。
ママが言う。
「リジー、ママはもうすぐ死ぬ。
ママが囮になるから、あんたは逃げなさい。
強くなって。覚悟を決めて。勇気を出して。
ママのような人生を歩んじゃ駄目。
あんたは生き延びなさい。
ママが生きてきた証、それがあんたなの」
アタシは思い出す。
ママにされてきた仕打ち。
アタシよりお酒が好きなママ。
いつまでたっても、きちんとした暮らしができないママ。
その時好きな男を、何より優先するママ。
アタシはママがキライ。
キライで憎んで、
でもママから離れるのはイヤで…。
ママが松明を持って囮になってくれた。
逃げなきゃ…それがママの望みだもの、でもアタシは…。
ママは怪物に食われている、生きたまま…。
アタシは思わず怪物に殴りかかってしまった。
逃げるべきなのに。
ママはアタシを守って死んでしまった。
ママの形見のライターを手に、アタシは救急車の中に隠れる。
可燃性のスプレーを見つけ、怪物が来るのを待つ…じっと…怖い、すごく怖い。
だけどアタシは、
生きなくちゃならない。
怪物がやってきた。
アタシは、スプレーを噴射してライターで火をつける。
怪物が燃え上がる。
最後のあがきを見せたときは、少し驚いたけれど…。
夜が明け、アタシは森を抜け出した。
ママはもういない。
アタシは、アタシの足で、これから歩いていく。
ひとりで…ママの意思を胸に秘めて。
おしまい
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クリーチャーとバトゥする話と思って観たらがっかりするかもです。
これはクリーチャーと戦いながら、
母と娘がその存在を確認する話。
母親としてより一人の女として生きている、流されやすい母親。
そんな母を嫌いながらも、依存している娘。
彼女たちはが緊急事態に陥り、母は母としての自覚を持ち、娘は依存していた母から巣立っていく…そういう視線で観たら、結構良いと思うのです。
クリーチャーは、全然駄目。
全体像がわかりにくい。
ゴリラっぽいし、トカゲっぽいし、造形がはっきりしないんですよ。
しかも雨の夜で暗いし。
「人を喰うっぽい」「ハムハムして喰うっぽい」事はわかるのです。
車に激突してきたり、アクティブなんだけど、シャイなのかチラチラっとしか出てこないんだもん。
お前らクリーチャーに、シャイな部分があってはならじ。
もっと出てこい、前へ前へとしゃしゃり出てこんかい!
でもね「母親としてどうなんよ?」だったママが命がけでリジーを逃がそうとしてるのを観て、
モンスターなんてどうでも良くなりました。
ママが最後にリジーに告げる一言一言が大変よろしい。
アカン母親という自覚があって。
転落人生を打破しようと何度か試みるものの、お酒もタバコも男もやめることが出来なくて。
リジーにいろんなものを背負わせて。
そんなダメ母が最後の最後で見せた、母性という武器。
ママはリジーに「嫌われる」と思いこみ、
「嫌わないで」とつぶやいて死んで行きました。
「あんたはママを追い越して幸せになるよ」の一言に、母親の様々な思いが込められていて、
「そうやなぁ、母親ってそうやなぁ」
なんて思わず共感したり。
なので、純粋にモンスター・ガオー!
モンスター・バトゥ!を期待したら駄目なの。
何度も挟み込まれるリジーの回想シーン。
どっちが母親やねん、どっちが庇護者やねん!と思うくらい駄目な母親。
リジーはそんな母親に流されること無く、しっかりした娘になりました。
でもね、もし、この一件がなく、ずっとママと共依存な関係を続けていけば。
しっかり者のリジーも、いずれは転落してしまったと思うねん。
リジーは典型的な「機転はきくものの、勉強はできない」タイプ。
ママもおつむの出来は、イマイチよろしく無いようですしおすし。
母親の影響力って、結構大きいやん。
特に娘の場合…んで、娘と母親が閉鎖的な世界で暮らしてる場合は特に。
母親の思想や生き方や考え方を「コピペか!」ってくらい見事になぞってる母娘を見ちゃうと…ね。
リジーは、母親という鳥籠…それはサビが浮いてボロボロでひしゃげて歪になってしまってる…から飛び立てた。
そう、これは母親から娘が自立していく物語。
この観方だと、まぁまぁ良う出来てはるわ…ってなるのです。
ママが若くて可愛くて、かなり若いときに産んだ娘なんやなぁ=生活が結構乱れてた=ママの親もダメ親だったかもしれない、ことも想像に難くなく…。
くれぐれも「モンスター系」と期待して観ないように。
タイトルの「モンスター」は、
ママにもかかってるのかな。
家の中にテントを張って隠れる。
洋画でよくあるシーンなんですが、
このテントってジャパニーズで言う結界(心理的な)なんかね?
その神聖な領域にズケズケと入ってくるママの彼氏が憎そいわ~ポチ!
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