長野県では、5月10日朝の低温でワイン用ブドウに大きな被害が出ました。

 

 

今年は4月の天候が暖かく、ブドウの生育は例年より一週間ほど早く進んでいました。僕の畑でも、すでにシャルドネの新梢は20㎝くらいに生長し、メルロやカベルネ・ソーヴィニョンもすでに芽が出ていました。

 

そこに来ての低温です。滝汗

 

僕の畑では、5月10日の最低気温は0℃。幸い霜は降りなかったので被害は小さかったですが、植え替えた幼木などの低い位置の芽に低温障害が見られました。

 

報道によると、長野県内の一部のブドウ畑では全滅とのこと。おそらく過去一番の被害状況だと思います。

 

そんなわけで、今回の凍霜害について考えたことをまとめておきます。

 

 

①防霜資材は有効か

今回も防霜資材の「霜ガード」の準備はしていたのですが、数日前から荒天が続き散布は諦めました。そもそも「霜ガード」はブドウの萌芽期に散布するものなので、今回のように新梢が20㎝にもなった状況ではどれだけの効果があるかは疑問です。ただ、「霜ガード」に含まれる肥料分がブドウの耐寒性を高める可能性はあるので、できれば散布した方が良かったと思います。

 

 

②草刈りは有効か

今回、凍霜害対策として僕がやったことは畑の草刈りぐらいです。僕はこれが結構重要だと思っているので、毎年GWの頃にはせっせと草刈機を走らせています。今回も近所のブドウ畑より被害が少なかった一因かも。

 

③標高は重要か

近年の温暖化により、ブドウ畑が標高の高い地域へ拡大していることが、凍霜害を大きくしている原因なのは間違いありません。しかし、標高が高いほど危険というわけではなく、地域によっては、冷気がたまる低地の畑で被害が大きくなるケースもあります。新しく畑を開くときには凍霜害リスクを考慮すべきですが、なかなか難しいですね。

 

④垣根の高さは重要か

今回のように地際から冷えてくる場合、結果母枝の高さが被害に影響してきます。僕の畑では地面から50㎝くらいまでの幼木の芽に被害が大きく、高さ70㎝くらいの結果母枝には被害が少々。近くの約180㎝ある平棚の生食ブドウ畑には被害は全くなしでした。したがって、垣根の結果母枝はできるだけ高くした方が凍霜害リスクを下げることができます。とはいっても、地上80㎝くらいが限界かな。

 

⑤品種は重要か

僕の畑で被害が出たのは、出芽が早いシャルドネとソーヴィニョン・ブラン。カベルネ・ソーヴィニョンは展葉が始まったくらいの状態でしたが、凍霜害の被害はありませんでした。つまり、ブドウの芽は生長するほど耐寒性が落ちてくると推測できます。したがって、当然ながら早く芽が出る品種はリスクが高いです。品種選びは慎重に。

 

⑥樹形は重要か

垣根仕立てでは、ギヨよりもコルドンの方が凍霜害リスクが高いといえます。同じ品種であっても、コルドンではギヨよりも出芽が早くなる上に芽が一斉に伸びるので、被害を受けた場合に全滅する恐れがあるからです。ピノやシャルドネのコルドン仕立ては、僕だったらやりません。

 

 

今回の凍霜害は30年に一度の事と思いたいですが、近年の異常気象では油断できません。畑でできる対策には限界があるので、共済に加入するなどの対応も必要かと思います。