「……成り行き…?」
「成り行き!?」
「もおいいだろ!昔のことだ!」
「でも智くん言ったよね!」
「え?」
「智くんは俺を抱くことはないって!
それってやっぱりそっち側の方が
いいってこと!?
その人に開拓されて…それでそっち側に
嵌まったってことだよね!?」
…んぁーっ!!めんどくさいっ!!!
「そうだよ!ソイツのお陰で
俺はこっち側に目覚めたの!
一度こっちを知ったらも
う二度と戻れないって…!
…わかってたけど…俺が好きでなったの!!!」
「!!!」
あ……言いすぎた…
しまった……
「……わかった…」
…え?
翔がスーッと俺から離れた…
えっと……本当にわかってくれた…?
あの日以降、翔はあの話題を
話すことはなかった。
でも…時々感じる…
翔の嫉妬心を…
しかもそれはいつもセックスの最中にだ。
嫉妬心を感情や言葉に出すことはない。
しかし、それをセックスに
全面に出してくる翔…
単純に前よりセックスの回数が増え、
その上中身が濃厚になったのだ。
どんどん翔のペースになっていくのがわかる。
それが………また……
たまんなくいい…♡
「……最近肌ツヤいいね?」
「え?なに?」
聞き慣れないワードに
思わず顔を見て聞き直した。
「……肌だけじゃないね。」
「はだ?なに?なんの話?」
仕事のことだとばかり思って聞き直すと…
「……智、綺麗になったな。」
「…は?」
綺麗という単語は
掃除のプロには褒め言葉の一つ…
でもそれがなぜ俺???
「さっきからなにを言ってんだ?」
「……嫉妬しちゃうわ~」
「は?なにに?」
全く言ってる意味がわからない。
「てか潤!最近仕事減らし過ぎだろ!
シフトガラガラじゃねえか!もっと働け!」
「え~ヤダよ~最近疲れやすいんだもん~」
「は?なに言ってんだ!
ただでさえ人手が足りないのに!」
「……それにしても智はよく働くよね~
その元気はどこから沸いてくるわけ?」
「…俺は昔からタフなの。
てか、知ってんだろ。」
「……そうだね~色々知ってますよ~
あなたのことは~……隅々までね……ニヤリ」
「っ、!!」
パソコンから潤に視線を向けて…睨み付けた。
そう…翔が嫉妬に狂う全ての元凶は
隣に座っている男だ。
と言ってもそっちの関係は今は完全に
切れているし、この先俺と潤が
どうこうなることはない。
完全に終わった関係だからだ。
……そして、このことを翔に説明する気はない。
したところであの翔が
納得するはずもないからだ。
……元カレと未だに一緒に
仕事をしているなんてとても言えない。
「……墓場まで持ってくしかねぇ…」
「んー?なにー?」
「……独り言。」