ピンポーン






ガチャ。








「よっ!」







「…大野さん…」






「あれ?…なんか元気ない?…どうした?」






…きゅん。








大野さんの顔を見て…声を聞いたら…







どうしてか…ホッとしてる自分に気付いた…。










「1ヶ月ぶりだな。

って…やっぱ荒れてんなぁ。

でもま、そんなことだろうと思ったよ。」









スリッパを履いた大野さんの後を

ついて行った…









「後ろめたい気持ちなんだろ?」






「えっ…!」







「よくあることだよ。

一度綺麗にしてもらったのに

元通りになった部屋を見せづらいってな。」








「…大野さん…」








「さぁ、どこから取りかかろうかなぁ。」









「…大野さんは…こんな俺のこと…

最低だなって思わないんですか?」







「ん?」








「…片付けられないって…

大野さんからしたらあり得ないでしょ?」








「そんなことはねぇよ。」







「えっ…」







「だってわかるから。」






「?」








「出したら仕舞う…実行してるだろ?」








大野さんが棚の引き出しを開けて

こっちを見た…







「あっ…」








「こういうの見逃さねぇの、俺。んふふ。」






…ドキッ。








「ただ…」






「?」







「…この前の電話って…」






「!!!」








「…もしかして…彼女にフラれた…?」







ギクッ!







「…聞いてたんですか?」







「っ、…だって電話…切らねぇから…」







「……勘違いなのに…信じてもらえなくて…」









「俺が女だと思ったってことだろ?」






「…恐らく…」







「そんな女…別れて正解。」






「えっ…」








「…相手を信用していないって...

じゃ、どうやっても無理じゃん…」








「…大野さん…」








「女って…そういうとこあるしな。

…俺も経験あるよ。」








「えっ…!」







「相手が誰であれ…信じられなくなったら

終わりだよな。」








「大野さん…?」







「あ、なに話し込んでんだろ…仕事!仕事!」








そう言って大野さんは

何事もなかったように仕事を始めた…。













確かに…俺はいつも相手に

信用されてないことが多かった。







常に疑われてる…

そんな風に感じたこともあった。








疚しいことなんてないのに…

最初からそういう目で

見られてるんだろうなって…








俺って…そんなに信用ないのかなぁ。








浮気なんてしたことないし…

付き合ってる相手には一途だったはずなのに…








もしかして大野さんも…?









チラッと大野さんを見た…








「…ん?」







ドキッ!







「っ、!!」








俺は慌てて目の前の物を片付けた…










「今日はいいよ。」







「え?」







「疲れてるんだろ?」







…トクン。








大野さんが目の前まで来た…









「外の空気でも吸ってきたら?」







「…大野さん…」