「わぁ…素敵な部屋。」






「お酒飲むよね?」






「あ、はい!」








彼女にお酒を出して並んでソファへ座った。







乾杯をし、そこそこ会話も弾んでいい雰囲気。






すると…








「お手洗いお借りしていいですか?」







彼女をトイレに案内して

リビングで待っていると…











「櫻井さん?」






「ん?」







「お掃除って自分でしてるんですか?」







おっ!!







「んまぁ~ある程度はね!ん?

それがどうかした?」








「櫻井さん家のトイレが凄く綺麗で!」







「え?そう?」








そりゃそうだ。







大野さんに掃除をしてもらってから

毎回座って慎重に用を足すように

していたからだ。









「参考までにどんな洗剤を使ってるか

聞いてもいいですか?」







「…へ?…洗剤?」








「はい!それとどれくらいの頻度で

掃除してるとか、あ、あと床や壁なんかも

綺麗だったからそこの掃除の洗剤も

知りたいです!」







「???」








「あと!玄関入ってすぐのあのいい匂いは

何ですか?デュフューザーですか?

置いてる感じでもなかったら不思議で……

櫻井さん?」








「っ、…ちょっと…俺もトイレ!」







「あ、どうぞ!」









…洗剤に…匂いって……







あと…聞いたことない言葉も言ってた…







なんとか…ザーみたいな……







なにを言ってるのかさっぱり……







どうしよう…








ふとポケットのスマホを出した…








そうだ!大野さん!








俺は家事代行へ電話をかけた。











『はい、フレカジです。』







「あっ…えっと…先日そちらを利用した

櫻井と申しますが…大野さんは…

いらっしゃいますか?」







『…大野は私ですが…』







「あ!大野さん!俺です!櫻井です!」







『…櫻井さん…?』







「そうです!先日お世話になった櫻井です!」







『…あぁ、櫻井さん!』







「大野さんっ!」







『あ、もしかして予約の電話…』







「教えてください!」







『え?』







「トイレの洗剤って

何を使ってるんですか!?」







『洗剤???』







「はいっ!今すぐ教えてください!

あ!それと玄関の匂いの原因って

なんですか!?」








『…トイレの洗剤って…言っても

わかんないと思うけど…』







「いいからっ!教えて!」








『いや、業務用だから

その辺で売ってないよ?』







「えぇ!?」









『それと玄関の匂いの原因って…

そりゃあの靴でしょ。

一度も洗ったとこなさそうな汚ねぇ靴…

あれは酷かったわ。』








「っ、!?!?」







『汚ねぇ靴を処分して、どうしても

捨てられないなら洗うこと!

あとは脱臭剤買って!』








「っ、そうじゃなくて!」







『んぁ!?』







「いい匂いがするって言うから!」







『いい匂い?』







「そう!」








コンコン!





ビクッ!








「…櫻井さん?…誰と話してるんですか?」







「っ、…と…友だち!」








『もしもーし???』