S





「…はぁ~…虚しい。」






朝からこんなことをするなんて…






やり終わって…後悔していた。









…ゴミ箱にこのティッシュはヤバいな。






ゴミ箱の袋を処理して、

新しい袋を探していた…






えっと…リビングのゴミ袋のストックは…






テレビ台の下や引き出しを探っていると…







「…ん?」





小さな引き出しを開けて…ある物を見付けた…







「…これって…」






…制服の…ボタン…





しかも…これ………







「…智くんが…持ってたんだ…!」






あの時…確か俺は二宮くんに託したんだった…






二宮くんが本当に智くんに

渡してくれたかどうかの確認はできなかった…






もし…智くんの手に渡っていたとしても…

智くんは喜ぶはずないってわかってた…






それなのに俺は……厚かましくもこれを……








智くん…大切に保管してくれてんだ…






「…嬉しい…。」













O



夕方、買い物をして家に帰ると…






「あれ?事務所もう閉まってる…」






階段を上がると…







「あ!智くん!お帰り!」






「…なに…これは…」






「あのね!今日は智くんととにかく

お祝いがしたくて!」





「お祝い?」






「えっと…春だし!桜も満開だしね!」






「…は?」






テーブルにはピザと大きなケーキ…






シャンパンまで買って…

どういう風の吹きまわし?







「いつもご飯作ってもらってるし、

今日は智くんにもゆっくりしてもらいたくて!

ほら、早く手を洗ってきて!」





「…おぉ。」






不思議に思いながらも洗面所へ向かった。







手を洗って部屋に戻ると…







「はい!グラス!」






グラスに注がれたシャンパン…







「智くん…愛してる。」




カチン!






「っ、なんだ!?いきなり!」






「いいじゃん!本心なんだし!」





「…怪しい。」






「え!?」






「…翔くん…浮気でもした?」






「っ、まさかっ!!

そんなのあるわけない!!」






「んふふ…それは村上さんか!」






「…え!?」





「あ!」






俺は慌てて口を押さえた。







「…だからあの人相談料聞いてきたんだ…」






「内緒な!聞いてないことに!」






「言わないよ。てか、

俺が浮気するタイプに見えるわけ?」






「んふふ…それは俺にはわかんねぇ。」






「はぃ!?俺ってそんなに信用ないの!?」








「だって今日も仕事しないで

準備してたんだろ?んふふ。」







「っ、!…そういう智くんこそ!

今日はどこへ行ってたんだよ!!」






「んふふ~!」