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…ここはどこ…?





…俺は…誰…?






って…それはわかる。








さっき…とんでもない悪夢を

見ていたみたいだ…






えっと…確か…道で倒れたって……





……記憶がない。







てか、俺の荷物は!?





スマホ!財布!






頭を動かすと…





「っ、!」






…痛い…頭…打ったんだ……






あ、カバンはある…





親切な通行人に感謝だ…






スマホはどこだ…





あっ!




枕元にスマホが置かれていた。







見ると…





ヤバい!着信!






俺は急いで事務所にメールを送った。







えっと…後は鈴江さんと…他には…






って…俺を心配してる人はそんなにいない…







スマホを置いて天井を眺めた…。










…入院になるのかなぁ。





…聞きそびれた。







それにしても…ここって個室じゃないよなぁ。






何人部屋なんだろう…






他に誰かいる?てくらい静かだ。







こんな病院だったら入院も悪くはないな。







少し眠るか……






カタッ…





…?






向かいから物音がした…






やっぱり他に人がいた…








カラッ…カラッ…





シャー…






点滴の台を引いてるんだろうな…






ゆっくり歩いてる感じだから…

高齢のおじいさん?








カラッ…カラッ…カラッ…






俺の足元を通ってる…






もしかして…トイレかな?









カタッ!






…トイレ…だな。







…なんだか俺も…もぞもぞしてきた…






おじいさんが出たら俺もトイレに行こう。








でも…起き上がれるかなぁ…





練習…しておこう…







「よっ…!」





ズキッ!




「いっ!」






肩が痛む…






倒れた時に地面に打ち付けたのかも…






足を下ろして…スリッパを履いた…








「せーの…!」






立ち上がろうとしたら…






「いっ!」






足の方もあちこち痛んだ…






これは…しばらく入院だな。









とりあえずベッドに座って待っていると…

スマホが光った。








事務所と数回やり取りをして、

鈴江さんが明日着替えなんかを

持ってきてくれると連絡があった。









それにしても…おじいさん遅くないか?







カタッ!





あ!出てきた!







カラッ…カラッ…カラッ…







おじいさんがゆっくりベッドへ戻って行った。







シャ…





カーテンの閉まる音がした。








よし!行くか!







「よっ…!…いっ!」






カラッ…カラッ…







俺の点滴の台も向かいのおじいさんくらい

ゆっくりだ…






情けない…歩くのもやっとだ…







シャッ!






カーテンを開けると…






向かいの窓際のカーテンが閉まっていた。







でもその隣と…俺の隣もベッドは空いていた。







おじいさんと二人か。











トイレで用を足して戻ろうとしたら…








「あ!大丈夫ですか!歩けました?」






「はい、なんとか。」






「夕食です!置いておきますね!」





「ありがとうございます。」