固い箱の蓋をゆっくり開けると…






厳重に緩衝材に包まれていた物は…








「これって…」





「ランタン。」






「…ランタン…」







「それ、俺が使ってるのと同じで。

見た目もカッコいいだろ?」






「…智さんと…同じって…青春…」






「っ、だからそれはやめろって!」





「…ふっ。」






「…んふふ…ばぁか!」






「っ、…バカって…」







乱暴な言葉だったと…焦ったら…





なぜか嬉しそうな翔ちゃん…







「…お前…ドMか?」





「っ、!!」





目をまん丸にして俺を見た…







「図星か?」





「っ、違うから!」






「んははっ!怪しい!」





「違うってば!」






「いいじゃん、Mでも。」





「だから違うって言ってるのに…」








「いつ行く?」





「えっ…」






「だからキャンプ。」






「っ、…来週っ!」






「んははっ!」





「えっ…」







「翔ちゃんの揃えたものでは

冬キャンプは無理だな。」






「えぇ!?」






「言っただろ?ソロキャンプ始めるなら

冬以外じゃないとな。」






「そんな…」







「少しの辛抱だよ。

春なんてあっという間だって。」







「…待てない…」





「え?」






「…俺……やると決めたら即実行タイプなの!」






「え!?」





「冬でもいい!必要な物揃えるから!」






「…翔ちゃん…」







「智さん!お願い!

俺に冬のキャンプの楽しさを教えてっ!!!

ねぇ!!!」






…って…またタメ口…








「…ったく…わがままだなぁ。」






「…ごめん…」





ドキッ…






なんて顔してんだよ…






怒られた仔犬みたいな顔…






そんな顔されたら…

なんでも許してしまいそうだ…








「…来週の休みに揃えるか。」





「えっ…」






「よく行く店があるから

そこへ連れていってやるよ。」







「っ、本当!?」





「っ、!」




ドキッ!







…嬉しそうな顔して…







「やったー!!!青春!青春!」






「っ、だからそれやめろって!」






「ふはっ!」







「…翔ちゃんって言うより…【翔】だな。」






「えっ…!」






「…小生意気な…弟…みたいだから…」






「弟…」






「っ、…なんだよ!」






急に黙り込む翔ちゃん…







「……弟か…」






「っ、現に一つ年下だし!」







「…そうだよね。」






別人!?ってくらい落ち込む翔ちゃん…








「…なんだよ…

【翔】って呼ばれるのイヤかよ…」






「っ、違う!!そうじゃなくて…!」






「……名前なんて…なんでもいいだろ…別に…」









「…【翔】って…もう一度呼んで…」





ドキッ! 






俺は驚いて翔ちゃんの顔を見た…。