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最近、翔ちゃんの様子が

おかしいって感じていた…。










飲みに誘っても毎回断られるし、

かと言って彼女ができた感じでもない。







翔ちゃんは彼女ができると

必ず俺に隠さず話すからだ。







…もしかして…何か隠してる?















そして、俺は仕事終わりの翔ちゃんの

後を追うことにした。










…居酒屋?







翔ちゃんが入っていったのは普通の

立呑屋だった。







…こんな店で女と待ち合わせなんて

するはずない…







でも…相手が誰かだけ確認しよう…。










俺は…そーっと外から店の中を覗いた…。











「…えっ…!」





思わず声が出ていた…。












「あれ!翔ちゃん!」






俺は…偶然を装って声をかけた。








振り向いた翔ちゃんより…

先にその人と目が合っていた…。








「っ、ニノ!?」







「似た人がいるなって…思って…」








「っ、…えっと……会社の同期の…」







「…あ……初めまして…」







その人が……そう俺に言った…。









「…ニノ…?」






「っ、…俺一人なんだけど一緒にいい?」






「え!?」








俺はカバンをカゴに入れてビールを注文した。










「…ごめん…強引なヤツで。

でもこう見えて割りといいヤツだから。」







そう言ってその人に謝る翔ちゃん…









「…おぉ…。…大丈夫…。」







その人が下手な芝居を打った。












「…で、紹介してよ。」







俺の悪な部分が出た…








「あ!えっと!」






慌てる翔ちゃん…







この人と…どこでどうやって

知り合ったんだろうって気になっていた…






だって…この人は………










「ごめんっ!」






ドキッ!






「え?」








いきなり…頭を下げた…







「智くん…?」






っ、サトシくんだと!?






そんな風に呼ぶ程の仲なのか!?








「…翔……」






っ、こっちも!!!







「……俺、…初めましてじゃない。」






「え?」






「…だから……知ってるんだ…」








その人の視線が…俺に向いた…






嘘…





言うんだ………








自分から…乗り込んで……






狼狽える…俺って……









「え!?ニノと知り合いなの!?」







「…うん。」









俺は…じっとその人を見ていたみたいだ…







だって……







数年振りに会ったんだから…








このまま…帰るなんてできなくて当然…







だって……この人は……











「ニノっ!」





ビクッ!






「え…」








「智くんのこと…知ってたの?」







「…みたいだな。」






「えっ…?」







そっちが…そうなら…こっちも嘘はつけない…









「…えっと……どういう……」







翔ちゃんが…気まずそうにしていた…。