「…はぁ……これでOK…」







こんな姿…翔に見せられるわけない…








シャワーで体をキレイにして出ると…







ガチャ…






「!?」







「…はい。」






翔がバスタオルを広げて立っていた。









「…なに…びっくりするじゃん…」






「…うん。」





…うん!?…なんだ!?









バスタオルで軽く体を拭いて腰に巻くと…









「…智くん…!」





「!!!」






ガバッといきなり翔に抱きしめられた。









「…翔…?」






「……」






「…どうしたんだよ…」







「………これで最後にするから…」







「えっ…」







翔の言葉に…頭が真っ白になった……







最後って………










ぎゅっと力がこもった…





まさか………










「…智くんの……智くんのそっち側の

最初の相手って……どんな人…?」







「……は…?」







体が離され…翔が俺を見た…










「……智くんが今…そっち側になってる…

きっかけなった人って…どんな人…?」








そう言って翔の顔がだんだんと

情けない表情に崩れてきた…










「……なにを言い出したかと思えば…」








「最後にするからっ!」






「!!!」







「お願い!教えて!」








そう言って翔が再び俺を抱きしめた…。









「……そんなの…聞いてどうすんだよ…」









「…だって……知りたいんだもん……

智くんのこと…全部……過去も

全部知っておかないと……俺…その事ばっかり

考えてしまう……」








「……翔…」








「お願い…教えて…」









俺は……ある人の顔が頭に浮かんだ……










「……その人も…ニノみたいな……プロの人…?」






「……。」







「……違うの…?」






「……。」








「……教えてくれないんだ……」






「……。」







…アイツのこと…話せば…

翔は…どんな反応を示すだろうって

想像してみた…。











「…っ、…智くんにとって……

そんなにまで大切な思い出なんだ…」







…思い出って…








「…人に話したくない………

話せない相手とか…?」







…まぁ……話せなくはない…








だって…カズみたいに共通の知り合いでは

ないはずだから…








でも……ソイツが…

まだ俺の近くに居るって知ったら…?







翔は……嫉妬に狂う?











「……んー…まぁ…あれだ。」






「っ、なに!?」






「つまり……カズみたいなそっちのプロ!」






「えっ…」







「会ったのも一度きり。」







「…本当に?」







「おぉ…!」









「でも…どうしてそっち側に

なろうと思ったの?」







ギクッ…!






翔が顔を見て聞いてきた…!