こんにちは如月です。
 まだまだ「劇場版名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」が大ヒットしてますが、この最新作の脚本を担当した大倉崇裕さんが初めて手掛けた劇場版の脚本「劇場版名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」の小説版を今更ながら読みました。2017年の作品なので(このノーカット小説は脚本の初稿を小説用に書き下ろしたものだそうで映画公開から約八カ月後の2017年12月6日に発売されました)七年の時を経たわけですが、コナンの映画は何年経っても色褪せないので全然OKでしょ。本当今更ですが、この書籍を読んでの感想、受けた衝撃もろもろを綴っていきたいと思います。
 

 
 この表紙可愛いですよね!
 2016年にコナンコラボをしてくれたカレルチャペック紅茶店の紅茶缶デザインのイラストを担当した山田詩子さんがこのノーカット小説の為に描きおろしされたそうです。
(下の写真は2016年に購入した紅茶缶です)
 
 
 
【そもそもなんで今のタイミングで読んだのか】
 実は発売日に入手出来るようにネットで事前予約し、2017年12月の時点で手元に届きました。この写真は当時開封したばかりでウキウキしながら撮ったものです。
 しかしながら、まだ私が最初の数ページしか読んでいなかった時のこと、当時仲良くしていたTwitterの相互フォローの子から「一か所、コナン君が服部のこと『平次』って呼んでるところがあった」というのを聞いてしまい、キャラの一人称や二人称間違いに神経質な私は「え……それは、誤植? 解釈違い? ちょっとそれは読むの無理かも……」と思ってしまいました。その相互さんには「でも、ものすごく平紅(へいもみ)のシーンもあるんで是非読んで下さい、読んで欲しいです」とも言われていたのですが、ちょうどその頃ちょっとコナン界隈から離れたくてジャンル移動直前だった私は結局最初の数ページから進むことが出来ずに七年も本棚の肥やしにしてしまいました。
 今回ちゃんと読もうと思ったのは、まあ時が解決したといいますか、あと数時間ちょっと人を待ちながら時間つぶしをしなくてはいけないタイミングが訪れたもので、良い機会かも――と思って今回本棚からこの本を取りカバンに入れて出掛けました。
 
【映画版との相違点】
※予定していた数時間の空き時間だけでは読み切れなかった為、その日の夜、翌日の朝も少し使いつつ読了した直後に出先でスマホでまとめて当初はTwitterにUPしました。しかし文庫本を家に置いたまま軽い気持ちでUPしてしまったので、ちょっとしたセリフのニュアンスとか勘違いとかあったかもしれないです。その状態で意外とTwitterで反応を頂けたもので(普段はほぼ壁打ち)ちゃんと手元に文庫本置いた状態でこのブログに残しておこうと思った次第です。

映画版における前半最大の山場、平次のコナン君キャッチ「待ってたで~!!」が無い!
コナン映画ならではの演出として後付けされたものだったのでしょうか

元クイーンの静華さんには「お手つき女王」の異名があった
映画版でも「元クイーンの私では力不足かもしれまへんけど…」と自分で言ってましたが、小説版ではそれに加えてコナン君が「服部静華」でググって「二年連続でクイーン、どんな場面でも冷静沈着、圧倒的な記憶力と精神力でクイーン位に勝ち上がった。ただしお手付きが多いのが難点」という情報まで引き出してました。紅葉ちゃんは映画の通り小説でも「池波静華さん」って言ってたんですが、静華さんどのタイミングでカルタやってたんでしょう? 映画しか観てなかった時は結婚前にやってたのかなって思ってたんですが服部姓になってからの話なのか……。

平次の木刀アクション(紅葉ちゃんを守るシーン)が2ヶ所もあった
「迷宮の十字路」と「100万ドルの五稜星」に対して「から紅の恋歌」では木刀無かったなあ……って思ってたんですが実はあったんですね。

高校生皐月杯の試合をずいぶん丁寧に扱うし、紅葉ちゃんのライバルとされていて昨年の準優勝者――和智佐余子(映画版では和智佐和子)のセリフが沢山ある
映画では一言も喋ってないのに当時のシネマガイドにフルネームで全身カットと共に丁寧に紹介されてたのも納得です。映画版では準決勝で紅葉ちゃんに敗れたようですが、小説版では和葉ちゃんと準決勝で当たり和葉ちゃんが撃破します。その後、決勝を画面越しに見守る蘭ちゃんの後ろから突然話し掛けて来て、紅葉ちゃんと和葉ちゃん、両方と戦ったことがある彼女ならではの解説をしてくれます。皐月堂が燃えてる時に、皐月堂への動線を教えてくれたのも彼女。わりと重要な役だったんですね 笑

高校生皐月杯の実況にゲスト解説で呼ばれた日本カルタ協会七段名人の名前が川添善久!
映画版ではカットだったので当然この名前は使われず、まさか七年後の大倉さん脚本映画でゲスト声優が充てられるような重要な役になるなんて……。私今のタイミングで読んだからすぐに気付いたけれど、当時読んだものの今年の五稜星の公開時に「え? この名前って……」なんて気付いた人どのくらいいるんでしょう。

和葉ちゃんのスマホのパスコードを普通に開ける平次 笑
「おい服部、暗証番号とか知ってんのか?」
「知るわけないやろ? そやけど和葉が使いそうな番号は大体、判る… ほら、開いた! そ、そんな目で見るな、今は緊急事態や」
……ってコナン君に言い訳する平次。これ何だったの平次の誕生日とかなの?

予告で使われてた「こんなとこで、死なせるわけにはいかねえんだよ」のコナン君のセリフ、平次に対してじゃなく阿知波さんに対してだった
予告であの形で使ってくれてありがとうございました! 平次とコナン君のコンビ萌えの我々はあの予告動画を見るだけで大騒ぎでした!!!

爆風使ってバイクで飛ぶの、平+和じゃなくて平+コ
コナン君が爆弾の箱を蹴っ飛ばす

紅葉ちゃんの無事を知り、紅葉ちゃんに跪いた状態で着物に顔をうずめ号泣する伊織
「よくぞご無事で、お嬢様」
「ちょっと、伊織… どないしょ…」
(周囲の視線を気にしながらいたたまれなくなってる、でも伊織は号泣継続)
 
これビックリしたんですけど、当初は伊織はおじいちゃん執事の設定だったんですね?
関根の車が爆破された時も大岡家の車も巻き添えを喰らって運転してた伊織が衝撃で気絶するシーンが小説にあったので「え? 伊織そんなことある?」って思った違和感が最後のこのシーンにも繋がり、後からそういう設定だったという事実を聞いて納得しました。
しかし序盤の伊織登場シーンでは、コナン君が複数回「あの男… 何者だ?」ってモノローグで言ってるし、素性を調べようと隠し撮りをしようとしたものの全く隙が無くて撮れなかったという記述もあったので、前半部分は我々の知っている元公安の伊織無我のビジュアル通りで脳内で映像が流れる感じです。元々、只者じゃない強いおじいちゃん執事って設定だったのか、途中から青山先生が原作で今後も出すからって設定を変えて、それに合わせて大倉さんが修正をかけたのかは分かりませんが、そういう裏設定を知って読むとなかなか面白いですね。
 
冒頭で殺害された矢島俊弥……小説だとわりとイヤな奴
「確かに矢島は性格のええ奴ではなかった」と関根康史が映画でも小説でも言ってます。ただ映画版では、矢島が名頃鹿雄の死の真相に気付いてしまったから阿知波会長に殺された――くらいの説明しか無いけれど、小説では阿知波会長の弱みを握って金を強請り取ろうって背景があったようです。亡き師匠の死の真相を暴くという正義感でDVDを何度も観てカルタ札の調査を行おうとしたわけじゃないんかい……って。でも金持ちのボンボンって設定もあったからそんなに金を強請ろうなんて……ちょっと説得力に欠けてしまう気がする。だから映画ではカットしたんでしょうか。
 
関根の一人称が変わった
わりとどうでもいいですが小説版では「ワイ」映画版では「僕」でした 笑
よく服部平次の二次創作で「ワイ」表記にされてるのを見掛けて「ちゃんと原作読め、プロゴルファー猿ちゃうぞ」って内心わりとブチ切れてた如月はちょっとこれ嬉しかったです。実際一人称ワイの関西人ってどのくらい居るんでしょうね。一昔前の漫画やアニメでしか私は知りません。
 
綾小路警部の描写がとても細かくて好き
関根の殺害現場を平次とコナン君がオッチャンと一緒に観に行くシーン
「源氏蛍の時のような犯人扱いは、ごめんやで?」って言うんですよ。これは「迷宮の十字路」の時のアレですね。綾小路警部を出すにあたって大倉さんが十字路も観て色々研究されたのかなあというのをひしひしと感じました。あと「仕立ての良いスーツの胸ポケット」って記述があって、彼のことよく分かってらっしゃる、これは文章でないとなかなか伝わらないやつだ――と嬉しくなりました。
 
せっかくブログで書き直すので⑩~⑫は今回新たに書きました。
改めて、映画との相違点を考えながら読むの面白かったです。ちゃんとコナン映画に向けてのアレンジが加えられたってことだったんですね。よく考えられていると思いました。
だって前半の、コナン君の屋上からの脱出、平次のキャッチ、川へドボンの流れは最高潮に盛り上がったし、ラストの爆破を使ってバイクで飛ぶシーン、平次のあの名ゼリフは世間的にはめちゃめちゃウケたでしょ?(原作「そして人魚はいなくなった」のオマージュですけど)コナン映画と言えば爆発とアクション、大倉さんの脚本を元にして、よりコナン映画らしくするためにアレンジされたんだろうなあと七年越しに知ることが出来ました。
 
 
【オマケ:コナン君が平次を「平次」って呼ぶシーン】
これ、読んでも読んでもなかなか行き着かなくて、私の記憶違い? それとも読み飛ばした?――って思ったんですが、ラストのラストにありました。
 ――どうやら告白が成功した時のことを想定して、その車(缶を後ろにいっぱい引きずってるロールスロイス)で平次とどこかへ行くつもりだったらしいな…。
 
ここです、ここです。
地の文は常に三人称で書かれていて、平次記載なので、コナン君のモノローグのところもつい平次と書いてしまったのではないかなあと、これは単なる校正モレだったのではと思いました。良かった、セリフの中で「平次!」とか呼んでなくて 笑
 
はあ……ちょっとちゃんと書き直そうって思ったら結構時間を掛けてしまいました💦
でもブログならいつでもサイレント修正出来るので、どこか間違ってたら後でさりげなく直しますね。長々とお付き合いありがとうございました。またゆるっと更新します。