【完全版】2017年オスカー大予想スペシャル② | てち

てち

平手友梨奈ちゃん!
全力で応援します!

前田敦子、ハリー杉山が参戦!
2017年オスカー大予想スペシャル


http://www.elle.co.jp/culture/feature/cfe_elle_cinema_chat17_0225/1

{474ACD82-FD27-4606-B118-A4DEA241B8EC}


やっぱり大本命は『ラ・ラ・ランド』!?

よしひろまさみち(以下、Y) いよいよクライマックス、作品賞と監督賞をまとめてお話していきましょう。ということで、まずは作品賞。ノミネートされているのはこの9作品です。なんといっても、今年の話題は『ラ・ラ・ランド』ですよね。13部門中14ノミネート、史上最多ノミネート、(『タイタニック』と並ぶ)タイ記録です。既に大本命と言われています。
 
前田敦子(以下A) 好きです。もう二回も観ました。
 
Y 早っ! と言いつつ、私も三回も観てしまいました。
 
ハリー杉山(以下、H) それがこの映画の魅力を物語っていますよ。一回じゃ、足りない。二回、三回、何度、観ても、新しい発見がある。
 
Y そうなんですよね。だから、今年のオスカーは『ラ・ラ・ランド』の祭り状態なんですが、それも納得がいきます。
 
A 私、ミュージカル映画が大好きなんですが、この作品はまさに「ザ・ミュージカル映画」じゃないですか。うれしかったですね。
 
Y それでいて、主人公たちの存在が私たちに近くて、感情移入しやすいんですよね。現代劇で、普通にその辺にいそうな夢追い人たちの話。特に前田さんなんて、駆け出しの女優のエマ・ストーンの気持ち、すごくよくわかったんじゃないですか。
 
A はい。ものすごく感情移入しました。特に大好きなのは「オーディション」っていう曲がかかるシーン。「キターッ!」って感じです。
 
Y 『ラ・ラ・ランド』は全世界的に観ても、大ヒットしていますし、日本でもすでに大きな話題となっています。残念ながら、エマは出ないようですが、ブロードウェイでミュージカル化されるという話も持ち上がっています。
 
A 観に行きたい! 
 
H でもひとつ気になるのは『ラ・ラ・ランド』って、ミュージカル映画じゃないですか。オスカーの審査員はミュージカルに対して厳しいですよね? 確か、最後は『シカゴ』だったはずです。
 
Y その通り! 70年代以降、ミュージカル映画って作品賞にノミネートされても、ほとんど候補止まりなんですよね。
 
A でも、すごく昔は取ってますよね。『ウエスト・サイド・ストーリー』とか『マイ・フェア・レディ』とか。今回はそういう往年のミュージカル映画に近いテイストですよね。
 
Y そうなの! さすが前田さん! 往年のミュージカル映画、例えば、『雨に唄えば』などをオマージュとして取り入れているシーンが『ラ・ラ・ランド』にはたくさん、あるんです。オスカーの会員たちのなかには、その旧き良き時代を知っている人たちがまだまだたくさん、いらっしゃいますので、そこはポイント高いですね。
 
H 古さを感じさせない、色あせない、いいものの良さを改めて感じさせてくれて、しかも、何度、繰り返し観ても、新しい気持ちになれる。『ラ・ラ・ランド』って、なんだか僕にとって、大切な人とのハグを思わせてくれるような、そんな心温まる作品です。ほっとするし、包まれているような気持ちになる。そして、なんといっても、ファースト・インパクトがダントツですからね。
 
Y オープニングのシーンから、とんでもないですからね。
 
A あのLAの高速道路はいったい、どうなっているんですか。
 
Y あれは本当にせき止めてるんですよ。ただ、週末2日間しか止められなかったので、その間で撮影しなきゃならなかったそうです。そこでも、ものすごいお金がかかってるんですよ。デイミアン・チャゼル監督としては、『セッション』の前にこの作品の構想があったそうなんですが、『ラ・ラ・ランド』はLAでロケしないと成立しない作品なので、撮影にお金がかかる。お金が集まる前だったので、先に『セッション』を撮ったそうです。監督はゴールデングローブ賞のスピーチで、その間、彼をずっと支え続けてきたプロデューサーや出資者にお礼を言ってましたね。
 
H あの1カットはすごいですよね。
 
Y 実は1カット風ですけどね。聞いた話では途中でトラックの後ろのドアがバーっと開いていくじゃないですか。あれが開かなかったらしいです。でも、開かないと話にならないから、無理やりADから、プロデューサーから、スタッフ大勢が駆けつけて、みんなでぐいぐい引っ張ったらしいんですよ(笑)。
 
H こんなにCGが使われている時代になんてアナログな(笑)。
 
Y そういう手作り感が感じられるのも、この作品をハートフルな味わいに仕上げているんですよね。いまどきVFXに頼れば、できないことはない。でもそういうのに頼らずやっているところも評価されてるんじゃないでしょうか。


オスカーにめっぽう強い“実話もの”がどう評価されるか

よしひろまさみち(以下、Y) ただ、オスカーの作品賞において強いジャンルは何かといえば、実話なんです。
 
前田敦子(以下、A) あぁ、そうですよね。
 
Y 実話ものでいくと、このなかでは『Hidden Figures』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『Hacksaw Ridgeg』がそうですね。この3つもなかなか手強いのですが、このなかでもいちばん力があるのが『Hidden Figures』。日本では公開が決まっていないので、観ている方、少ないと思います。内容としては、ひと昔前、白人全盛期のNASAで実は名もなき科学者である黒人女性たちが活躍していたというストーリーです。当然、「白すぎるオスカー」問題はクリアしていますし、おまけにすごくわかりやすいエンタテイメント。アメリカ人の大好きな、いい話で、興行的に当たっています。現在も大ヒット中なので、この作品の動向は見逃せないんじゃないかな。ただ、私的に推したいのは『ムーンライト』です。前田さんも気に入ってくれているそうで……。
 
A 黒人社会の映画って、作品的にヘビーなものが多いですけど、こんなにほっこりするような話があるんだなと引き込まれました。
 
Y 3つの時代を跨いで描いているので、長めの作品ではあるんですが、見やすいよう、工夫されているんですね。少年時代、青年時代、大人時代と色味をちょっとずつ、変えていて、いつの時代なのかっていうのが二回目、観ると、よくわかりますよ。
 
ハリー杉山(以下、H) このお話って、表面的に観たら、ドラッグディーラーが出てきたり、男の子が学校でひどいいじめに遭ったりして、ダークな話に見えがち。でも、一人の男の子が大人の階段をちょっとずつ上っていき、自分のアイデンティティを見つけ出そうとする、ものすごく身近な話でもあるんですよね。
 
Y そうなんです。ただ、オスカーはゲイものには厳しい。『ブロークバック・マウンテン』でさえ、作品賞を逃しているんです。本命と言われていたのに、主要賞はアン・リ―の監督賞だけ。時代が進んだとはいえ、反ゲイの人たちは少なくありませんので、取れるかどうかは微妙ですね。
 
H いや、これで新しい扉が開かれるかもしれないですよ!
 
Y あと、象徴的な話ではあるんですが、お二人はいわゆるSVOD、定額制動画配信サービスは利用されてますか。『最後の追跡』はNETFLIXの作品でもう配信されているんです。それから『マンチェスター~』はAmazonが作りました。これまでは皆さんもご存知の大きなスタジオの作品が作品賞に入ってきていたんですが、そこにもう配信会社の作品が食い込んでくるような時代になったんですね。今年からですが、「変わったな」って感じがしました。
 
A いま、ドラマなども配信多いですよね。

Y Huluはアメリカの人気局HBOを中心にドラマに強く、NETFLIXは映画が作れるほどの予算をかけたオリジナル作品が強み。それぞれ個性があるんです。ちなみに『最後の追跡』は日本では劇場公開の予定はなく配信のみです。といっても、この時期、配信で観られるのは強みですよね。
 
A 日本人としてはノミネーションされている作品はいつも、公開前のことが多く、なかなか一緒に応援するテンションにまでいけなくて、さびしい思いをしたりしますよね。
 
Y アカデミー賞候補作は、前年12月までにロサンゼルス郡内の映画館で1週間以上の興行をしていることが条件なので、実はアメリカでも全国公開してないものもある。
 
A こんな風にいつでもどこでも観られるサービスというのはなかなか、時代を感じさせますよね。
 
Y『マンチェスター~』の場合はまた別で、Amazonが自分たちで映画を作るために、Amazonスタジオを作って、製作したものなんです。お金、持ってますね~。お二人は気になる作品はありますか。
 
H 『Hacksaw Ridge』はメル・ギブソンの監督作だし、期待して観たんですが、厳しくいうと……ちょっと雑かな。僕は父親はイギリス人ではありますが、日本人の僕からしたら、ちょっと出てくる日本人が現実的ではなかったですね。
 
Y 第二次世界大戦の終盤も終盤の沖縄地上戦で、日本人は決死の覚悟で戦っているわけです。その相手であるアメリカ兵たちが味わう恐怖の描写はさすがメル・ギブソン、本当に怖いです。ただ、現れる日本人たちのまあ、恰幅のよいこと。この時代の日本兵はもう栄養失調で、餓えてガリガリのはずなのに、結構なボリュームの人たちが出てくるんですよ。
 
H だから、「日本人じゃないのかなあ? アジア系かなぁ?」って、観ちゃったんですよね。
 
Y 撮影自体はオーストラリアなので、現地のアジア系、それでも日系人を中心にエキストラには使ったようですけどね。
 
H 世界的に観ると、気づかないかもしれないですけど、日本人の目で見ると、つい気になってしまいます。

Y 『沈黙‐サイレンス‐』ぐらい、ちゃんと作ってくれれば、誰も何も言わないですけどね。それから、この作品、もうひとつ、気になるところがあります。メル・ギブソンはDV問題などで一度、業界を干されています。この作品では、作品賞のみならず、監督賞もノミネートされ、「いよいよ、メル復活か」と言われています。ただし、アカデミー会員はスキャンダルに対して、厳しいですからね。果たして、破天荒なメル・ギブソンの動向は? というわけで、予想をお願いいたします。まずは前田さん。
 
A それはもちろん、『ラ・ラ・ランド』です。たまりません。最初の5分でテンション上がりまくります。
 
Y その後、めくるめくラブロマンスに突入という女子悶絶パターン。ELLEの公式ツイッターの読者投票でも『ラ・ラ・ランド』がダントツ、一位、80%の投票率でした。その次が玄人好みの『ムーンライト』『マンチェスター~』と続きます。
 
A おお、皆さん、いい線、いってますね。
 
Y 公開前だというのに、皆さん、ものすごいセンスがいいんですよ。ではハリーさん。
 
H 『ラ・ラ・ランド』はキャッチコピーがまた、いいですよね「あなたはこの映画を見て、恋をしたくなります」。まさにその通り! それでも僕はあえて、『LION~』で。
 
Y えっ、意外なところに!?
 
A それだけ、好きな、思い入れのある作品なんですね。
 
H そうなんです。自分のなかにすごく響きました。細かいことでいえば、デヴ・パテル、彼はイギリス人なんですけど、今回のオーストラリア訛りの英語がみごとでした。過去の作品もそうなんですが、『スラムドッグ$ミリオネア』や最近の『奇跡がくれた数式』ではインド人役として、インド訛りの英語を披露しています。本当に多才な方なんですよ。加えて、この作品、本当に画がきれい。何もない田舎から雑然としたコルコタに続く、車窓の風景なんて、バックに流れる音楽と相まって、胸がいっぱいになりました。まさしく、いまの時代にぴったりの愛あふれる映画じゃないかと思います。『ラ・ラ・ランド』『ムーンライト』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、このあたりが本命なのは重々承知のうえですが、ここはあえて『ライオン』で。それに、オスカーって毎回、ビッグ・サプ ライズがあるじゃないですか。


Y そうですね。ちょっと前までは監督賞、作品賞はかぶる傾向にありましたが、近年、ずらしてるんです。去年の例でいえば、作品賞は『スポットライト 世紀のスクープ』、監督賞は『レヴェナント: 蘇えりし者』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥです。そんな風になるべく多くの作品に賞を与えようという雰囲気もあります。なので、今回も『ラ・ラ・ランド』が全部、取るのかといえば、そうとは言いきれない。
 
A それでも、『ラ・ラ・ランド』は作品か監督、どちらかは絶対、取りますよね。作品じゃないかなぁ。
 
Y 取ることは確実ですが、どっちでしょうか。私はもちろん『ムーンライト』でいきますが、こちらもどちらか取ってもおかしくない作品です。そうはいっても、片やミュージカル、片やゲイものって万全ではないんですよね(苦笑)。
 
A  あと8部門ノミネートされている『メッセージ』も気になりますが……。
 
Y とても不思議な世界観のSFで、現代に突然、知的生命体を乗せた宇宙船が現れて、その理由を調べようとする米軍、言語学者、数学者たちの人間ドラマです。監督が注目のドゥニ・ヴィルヌーヴ。カナダの監督なんですが、今年、公開の『ブレードランナー 2049』も手掛けています。いまイケイケドンドン状態ですので、今後、知っておいて損はない監督です。勢いはもちろん、今回、ノミネートされたことがきっかけでさらに、名前を上げたことでしょう。まあ、これから、また別の機会に取れるので、別に今回はいいですかね(笑)。



長編アニメーションの本命『ズ―トピア』は今こそ観るべき

よしひろまさみち(以下Y) では、肩の力を抜いて、これまでお話してきた主要6部門以外の賞を予想していきましょう。「この作品のここにオスカー、取ってほしいっ!」ってものがあったら、教えてもらいたいなと思っています。
 
たくさんのいろんな部門に分かれているのですが、わかりやすいところから、いってみましょう。まずは長編アニメーション賞などはどうでしょうか。長編アニメーション賞は『ズートピア』、完全に無声映画の『レッドタートル ある島の物語』、日本ではこれから公開になるディズニーの『モアナと伝説の海』。それから日本未公開の「My Life as a Zucchini(原題)」。そして、日本で公開は決まっていますが、ちょっと先になる「クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題)」。この作品はじつは中世日本が舞台。でも、ちょっと変わっていて、いわゆる人形が動く、模型のアニメーション。大きなものはアニマトリックス、コンピュータ制御で、小さいものは手で動かすという作業で作られています。
 
前田敦子(以下、A) へえ、気になります。でも、ここはなんといっても『ズートピア』ですね。話がすごく好きです。
 
ハリー杉山(以下、H) そこは文句なく、決まりそうですね。
 
Y 日本では昨年の春に公開され、アメリカではその前に公開されていたんですが、まさかアメリカがあんな分断された社会になってしまうなんて、誰もその時は考えもつかなかったじゃないですか。アカデミー会員たちはむしろいま、この作品を盛り上げたいという気持ちがあるんじゃないでしょうか。
 
A これで盛り上がって、もう一回、みんなが見たらいいと思いますね。
 
Y 皆さんに理想を思い出してほしいものです。多様性の意味を教えてくれる作品ですから。「その大切さをアメリカは忘れちゃったんじゃないですか」ともう一度、問いかけたいです。
 
H 「理想とは? ユートピアとは?」と問題提起してくる作品でもありますからね。
 
Y 次は作曲賞、歌曲賞はどうでしょう。それぞれ別部門なんですが、作曲賞はサウンドトラック。歌曲賞は主題歌賞になります。歌曲賞で気になるのが、『ラ・ラ・ランド』が2曲も入ってます。「オーディション」と「シティ・オブ・スターズ」。びっくりですね。
 
A 私は断然、「オーディション」に取ってほしいです。
 
Y あとは「Trolls」というアニメの「Can't Stop the Feeling」、モアナの主題歌、「How Far I'll Go」などです。
 
H 「Can't Stop the Feeling」ってジャスティン・ティンバーレイクですよね? 僕はじゃあ、それで。嘘です(笑)。明らかにこれはどう考えても、『ラ・ラ・ランド』でしょう。
 
Y 作曲賞も『ラ・ラ・ランド』が入っていますが、ほかでいうと、『ライオン』『ムーンライト』『パッセンジャーズ』そして『ジャッキー』も入ってますね。
 
A 全部、『ラ・ラ・ランド』に取ってほしいです。音楽、全部、よかったですから。
 
Y まあ、さすがにここは抑えないと、ですね。
 
H 歌曲は二つもノミネートされているから、13部門14ノミネートなんですね。
 
Y あとは皆さんにわかりやすいところでいうと、視覚効果賞には大作が続々、入っています。『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』『ジャングル・ブック』『ドクター・ストレンジ』など。
 
H 僕はぜひとも『ドクター・ストレンジ』に取ってほしいですね。というのも、マーベル、これまで一度もオスカーを取ってないんですよ。
 
Y 最近はノミネート止まりですよね~(苦笑)。同部門で受賞した『インセプション』顔負けのVFXですし。
 
H この作品はマーベルでありながら、ベネディクト・カンバーバッチを主演に据えるという意外なコンビネーション作でもあるので、僕は取ってほしいなぁ。
 
Y 前田さんは『ローグワン~』とか、いかがでした?
 
A ……実は私、観てないんです。
 
H、Y ひゃああああああああ。
 
A 私「スター・ウォーズ」シリーズ全作は観てないんです。実は『フォースの覚醒』も……。本当にごめんなさい!!
 
Y あら、やだ、大変。『ローグワン~』はシリーズを知らなくても楽しめますから、ぜひ観てみてくださいね。ざっくりいうと、正義のために命を尽くすお侍さん集団の映画ですから、楽しめると思いますよ。
 
A なるほど(笑)。観てみます



衣裳が気になるジャッキーとマリアンヌ

よしひろまさみち(以下、Y) それでは。ELLEらしく、衣装デザイン賞に移りましょうか。こちらまたもや『ラ・ラ・ランド』が入っています。あとはこちらも納得の『ジャッキー~』。
 
前田敦子(以下、A) 『ラ・ラ・ランド』の衣装は何気にかわいかったですね。『ジャッキー~』はちゃんと再現されていました。
 
Y 監修は「シャネル」です。
 
A ピンクのシャネル・スーツ、着てましたね。
 
Y 時計やジュエリーは「ピアジェ」です。金、かかってるわ~。
 
ハリー杉山(以下、H) 女性にはたまらないでしょうね。
 
Y あとはブラッド・ピットとマリオン・コティヤールのラブストーリー『マリアンヌ』。あれもレトロな衣装が印象的でした。そして『マダム・フローレンス』ですね。
 
A ああ、羽根がかわいかったですね~。
 
Y それから、みんな大好き『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。素晴らしいエンターテインメント作品です。
 
H もともとの『ハリー・ポッター』シリーズはイギリスが舞台で、ホグワーツという魔法学校の話。それが舞台をNYに移し、時代も70年、さかのぼり、1920年代のお話として描かれると聞いて、若干、うさん臭くなることは否めないかもと思って観てみたら、最高でしたよ。ハリポタ・ファンでなくても楽しめる内容でした。衣装デザインもまた、細かい。あの時代をよくあそこまで表現していると思いました。ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)のあの微妙な色合いのブルーのセットアップ。あまりのかわいさに探して回りました。agnès bで似たようなのを見つけたんですよ。って、なぜかフランスですけどね(笑)。
 
Y 昔のプレッピー・スタイルというのかな。かわいいんですよね。
 
H チェックの使い方とか、勉強になります。
 
A 衣装デザイン、意外と難しいものですね。どれが取ってもいいような気がするな。
 
Y 順当にいけば、『ラ・ラ・ランド』でしょう。
 
A ミアとセブがそれぞれ50回、全100回、着替えているんですよね。ダンサーさんたちも合わせ、山ほど、衣装を作ったでしょうね。時代がわからないけど、女の子が真似したくなるようなドレスばかりでした。
 
Y 舞台設定は思い切り現代なんですけど、そこに漂うレトロ感。エコ重視タウンのLAなのに、古いアメ車とか出てきますからね。クラシックですから、みんなが受け入れやすいとも言えます。
 
H ライアン・ゴズリングのスタイリングがまた、かっこいいんですよ。
 
A わかる、わかる。洋服が似合う人ですよね。
 
H いい体してるから、際立つんです。セットアップで、ジレを羽織り、あえてボウタイとか何もせず、トップボタンをちょっと外して、男の色気を醸し出す。まねてみたいなぁ。
 
Y あの映画のなかのライアンの衣装は全く隙がないんです。普通、家に帰ったら、ジャージですよ(笑)。
 
A 確かに! いつ見てもちゃんとシャツを着ていました。
 
H 特に最高なのはミアにサプライズを用意するシーン。そもそも男が料理しているだけでもポイント高いのに、加えて、あの服のスタイリング。シャツの袖をめくって、ちょっと見える隆々とした筋肉の腕がオーブンから料理を取り出すかっこよさときたら! 
 
A・Y キャ~ッ(笑)。
 
Y 続いて、メイクアップ&ヘアスタイリング賞。ここには『スーサイド・スクワッド』が入っています。前田さん、お好きでしょ?
 
A かわいかったですね、ハーレイ・クイン。次、スピン・オフあるんですよね。楽しみです。
 
Y ほぼ主役でしたからね。
 
H ハロウィンとか日本でもハーレイ・クインだらけでしたね。
 
Y 昨年、7月にマーゴット・ロビーに取材したんですが、「今回の衣装、絶対に女の子に真似してほしい。ハロウィンで流行ると思うの」って言ってたから、本人予言的中でよかったわ~。女の子ができるコスプレってアメコミ系映画キャラだとあんまり、いないんです。『バットマン』のキャットウーマンや『ワンダーウーマン』辺り? そこに新キャラ登場ですから。
 
A しばらくはみんな、やりそうですね。やりやすそうなのもいい。私服をちょっと加工するだけできっとできますよ。Tシャツを破いて、髪の色をスプレーでつけて、顔は白塗り(笑)。
 
Y ほかの作品は2作ありまして、『幸せなひとりぼっち』というスウェーデン映画、去年の年末に日本でも公開されました。そして『スター・トレック BEYOND』。なぜ入ったかというと、こちらは宇宙人の特殊メイクで。それから、録音賞や音響編集賞などは『ローグワン』などの大作が取るんじゃないでしょうか。いい話題だと、外国語映画賞って、ノミネートされてもなかなか日本で観る機会はないのですが、今年に限ってはチャンスが広がっていて、5本中2本はすでに公開済みです。スウェーデンの『幸せなひとりぼっち』とデンマークの『ヒトラーの忘れもの』。こちら両作とも、ロングラン中ですので、まだ観れます。
 
A 『幸せなひとりぼっち』、観たいんですよ~。
 
Y すっごくいい映画ですよ。あと3作品は『セールスマン』というイランの映画と、「Tanna(原題)」というオーストラリア映画。『ありがとう、トニ・エルドマン』というドイツ映画は今年の秋に日本で、公開されます。割と今年の作品は日本でも観れるものが多いんですよね。なので、映画ファンならずとも劇場にぜひ、足を運んでもらいたいものです。



予想しながら観るオスカー授賞式の醍醐味とは

よしひろまさみち(以下、Y)ということで、お送りしてきました「ELLE CINEMA CHATオスカー大予想スペシャル2017」。お二人、今回、予想してみていかがでしたか。
 
前田敦子(以下、A) 今回、どの作品もすごく楽しみにしていたというのもありますけど、早めに観る機会を与えていただいて、役得でした(笑)。
 
ハリー杉山(以下、H) よしひろさんはともかく、前田さんからは本気感を感じましたよ。「これは当てにいってるな」っていう(笑)。
 
Y 前田さんは映画の本(『前田敦子の映画手帖』)も出してらっしゃるくらいですからね。
 
A ほんと、映画が好きすぎて、すみません(笑)。こういうお仕事をするのがいちばんうれしい。楽しくて、楽しくて、仕方ないんですよね。
 
Y そこは女優って言わなきゃ(笑)。
 
A 女優業もがんばらなくちゃならないんですけどね(笑)。
 
Y そうはいっても、趣味が生かせる仕事は楽しいですよね。
 
A 私にとって、映画鑑賞って、いちばんのリラックス法なんです。仕事であろうとなかろうと観ますので、それを生かして仕事ができるなんて、なんだかラッキーです。
 
Y こういった予想の番組はやったこと、あります?
 
A 何年か前にWOWOWで中継をやらせていただきました。私はスタジオで観る側だったんですが、とても楽しかったです。一瞬で発表が始まるので、緊張感は途切れなかったですけど、それでも楽しかったですね。

H 僕は今回、初めてやらせていただきました。向こうではオスカーを予想することって日常なんですよ。飲みながらとか、ランチ食べながらとか、話題になるのはオスカー。実際に子どもの頃から慣れ親しんで、ずっとやってきたことだったので、今回ついに仕事として、生かすことができて、本当にうれしいです。イギリス人は映画に関して、うるさいですよ。
 
Y イギリスには前哨戦の一つ、英国アカデミー賞がありますよね。
 
H 実は変な話、英国アカデミー賞より、こっちのアカデミー賞の方を気にしている人が多いと思います(笑)。みんな偏屈ですからね。
 
Y あら、そうなんですか。意外! 予想しながら見るのがいちばん楽しいですよね。これをご覧の方々も当日、日本では月曜朝ですけど、観ながら、予想してもらえればと思います。本当にお二人に来ていただいて、助かりました。
 
A、H 楽しかったです。ありがとうございました! 
 
Y また来年!