NO.88 ストーリーとしての競争戦略 楠木 健 | マルティン・ルターのぶろぐ

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はじめまして、マルティン・ルターです。今年の目標として読了30冊を掲げました。
今まで読んだ本も備忘録として残していきます。
主にビジネス書、リベラルアーツ、などです。+で中日ドラゴンズとごはん屋さんも発信していきます。

ストーリーとしての競争戦略 

 

 

楠木健




 

 

戦略 他社と違った良いことをやる

 

 

第1章 戦略は「ストーリー」

 

 

「机上の空論」という言葉があります。

ビジネスの成功を事後的に論理化しようとしても、 理屈で説明できるのはせいぜい二割程度でしょう。丹羽宇一郎さんは「経営は論理と気合だ」と言います。理屈で説明できないものの総称を「気合」とすれば、現実 の戦略の成功は理屈二割、気合八割といったところでしょう。あっさりいって、現 実のビジネスの成功失敗の八割方は「理屈では説明できないこと」で決まっている。

 

「理屈では説明できないこと」とは何でしょうか。 まず、「運が良い」ということ があります。運が良いこと、これはどう考えてもビジネスの成功を大きく左右する 要因です。幸運は理屈ではとうてい割り切れません。

 

もっと大切なものに「野性の勘」があります。ビジネスは多かれ少なかれ 「けもの道」です。その道の経験を積んだ人しかわからない嗅覚がものを言います。右か 左かどちらに行くべきか、判断を迫られたときに野性の勘で右を選び、五年経って 振り返ってみたら、あのときのとっさの判断が効いていた、というようなことはしばしばあります。これもまた理屈では十分に説明できません。

 

経営や戦略を考えるという文脈では、論理とは「無意味」と「嘘」の間にあるものとして理解できます。

 

「法則はないけれども、論理はある」

 

戦略とは何か

「違いをつくって、つなげる」

 

これまではあまり強調されることはありませんでしたが ストーリーという戦略の本質を考えると、筋の良いストーリーをつくり、 それを組織に浸透させ、戦略の実行にかかわる人々を鼓舞させる力は、 リーダーシップの最重要な条件としてもっと注目されてしかるべきだというのが私の意見です。 インセンティブ・システムなどさまざまな制度や施策も必要でしょうが、そんな細部に入り込む前に、 人々を興奮させるようなストーリーを語り、見せてあげることが、戦略の実効性にとって何よりも大切だというのが私の見解です。

 

このところ会社のさまざまなことごとについての「見える化」が大切だ、という話が強調されてい ます。オペレーションのレベルの話で、しかもそれが過去に起こったことのファクトについての話で あれば、私も見える化に大いに賛成です。 しかし、話がオペレーションよりも戦略レベルになると、 見える化が本末転倒になってしまいます。

 

 

第2章 競争戦略の基本論理

 

 

社会貢献や社会に対する責任、最近の言葉でいうとCSR (Corporate Social Responsibility) ですが、これにしても「衣食足りて礼節を知る」、反対の言い方をすれば「貧すれば鈍する」という傾向があります。そもそも企業にとって最もストレートな社会的貢献とは何でしょうか。いうまでもな く、法人所得税を支払い、社会的に再配分できる富を生み出すことです。税金を払っても、それを使う側が間違っている! という嘆きは古今東西、尽きないのではありますが、それはそれとして、 法人税の支払は企業にとって最も大きな社会に対する責任であることには変わりありません。富をつくることができるのは企業活動です。 元手がなければ配分もできません。

 

 

雇用をつくる、これも企業の果たすべき社会的責任の本筋でしょう。持続可能な雇用を創出するためには、利益の出る事業を持っているということが大前提になります。

 

業界の競争構造

 

・戦略ではないもの

部門ごとにブレイクダウンされた目標の説明が続き、さらにそれに日付が入り、時間軸に沿った目標も明示されます。

 

・「違い」をつくる

競争戦略野第一の本質は「他社との違いをつくること」

 

 

 

第3章 静止画から動画へ

 

1.「魅力的な業界」

戦略

2.「戦略的ポジショニング」

3.「組織能力」

4.「ストーリー」

 

シュートの軸足を決めるーストーリーの競争優位

 

ストーリーの強さ

ストーリーの太さ

ストーリーの長さ

筋の良さ

 

競争優位性の神髄

一つひとつは小さい話かもしれませんが、数多くの因果論理が着実に積み重なって戦略ストーリーの一貫性が出来上がっています。ストーリーの一貫性の正体は、「何を」「いつ」「どのように」やるのかということよりも、「なぜ」打ち手が縦横につながるのかという論理にあります。要するに、論理が大切だということです。

 

 

第4章 始まりはコンセプト

 

 

・「どのように」よりも「誰に、何を」

「本当のところ誰に何を売るのか」いう問いに対する答えを突き詰めて生まれたものです。

優れたコンセプトを構想するためには、常に「誰に」と「何を」の組み合わせを考えることが大切です。「誰に」と「何を」を表裏一体で考えることによって「なぜ」が初めて姿を現すからです。

 

本質的な顧客価値を突き詰めるとは、「誰が、なぜ喜ぶのか」をリアルにイメージするということです。

 

・誰に嫌われるか

「誰に嫌われるか」をはっきりさせる。

コンセプトはできるだけ価値中立的な言葉で表現するべき

 

・人間の本性を見つめる

 

人間の本性を捉えた骨太のコンセプトをつくるためには、その製品やサービスを本当に必要とする のは誰か、どのように利用し、 なぜ喜び、なぜ満足を感じるのか、こうした顧客価値の細部について のリアリティを突き詰めることが何よりも大切です。繰り返しお話ししてきたように、特に大切なの は「なぜ」についてのリアリティです。グーグルで広範な情報を検索し、引っかかった情報をいくら 深掘りしたところで、顧客価値についてのリアリティのある「なぜ」を手に入れることはできません。 およそあらゆる人にとって、一番リアリティのある「なぜ」は自分自身の生活や仕事の中にあるは ずです。 自分自身ほどリアリティを持って理解できる 「顧客」は他にはありません。皆さんもご自身 でモノやサービスを消費する状況を思い浮かべてください。 なぜそれにお金を払うのか、なぜ自分が それに価値を感じるのか、無理して肩肘張らなくても、改めて振り返ってみればきわめてリアリティに満ちた「なぜ」が自然と思い当たるはずです。

 

2

 

 

第5章 「キラーパス」を組み込む

 

一見して非合理ー持続的な競争優位の源泉

 

「まねできなかった」のではなく、そもそも「まねしようと思わなかった」というのがポイントです。

「動機の不在」と「意識的な模倣の忌避」

 

・賢者の盲点を衝く

 

賢者の盲点を衝く

 

「それだけを見ると一見して非合理なのだけれども、ストーリー全体の文脈では強力な合理性を持つ」というクリティカル・コアは、部分の合理性と全体の合理性が別ものであるということに着目しています。 戦略全体の合理性は、部分の合理性の単純合計ではありません。逆にいえば、誰にとって も合理的な要素だけでできているストーリーは面白みに欠けるということです。

 

クリティカル・コアが非合理に見えるのは、競争相手のミスや勘違いではなくて、それが非合理で あるという合理的な理由(ちょっとややこしい表現ですが)があるからです。部分的な非合理を他の 要素とつなげたり、組み合わせることによって、ストーリー全体で強力な全体合理性を獲得する。これがストーリーの戦略論の面白いところです。

 

ストーリーの本質は「部分の非合理を全体の合理性に転化する」ということにあります。 昔から 「損して得取れ」とか「負けるが勝ち」とか「肉を切らせて骨を断つ」(これはちょっと違うかな?) というような言い回しがありますが、こうした言葉はクリティカル・コアと共通の論理を示唆してい るといえそうです。 いずれにせよ、 この意味で、クリティカル・コアはストーリーにひねりを加える 「キラーパス」なのです。

 

 

キラーパス

付加価値、違い、特徴など

 

 

 

第6章 戦略ストーリーを読解する

第7章 戦略ストーリーの「骨法一〇カ条」

 

プチコン

プチコンサルティング

その店のいいところをひとつだけ見つけて広告に載せる提案をする

素人でもできる

ホットペッパーの一人屋台方式

 

骨法10ヶ条

その1 エンディングから考える

その2 「普通の人々」の本性を直視する

その3 悲観主義で論理を詰める

その4 物事が起こる順序にこだわる

その5 過去から未来を構想する

その6 失敗を避けようとしない 失敗のルール化

その7 「賢者の盲点」を衝く

その8 競合他社に対してオープンに構える

その9 抽象化で本質をつかむ 抽象化と具体化を往復することで、物事の本質が見えてきます。

その10 思わず人に話したくなる話をする