私の実家は海の近くだった事もあり
夏になるとどこからともなくシャコがやってきた
わんさとある茹でたシャコをハサミでバチンバチンと頭と脇を切る手伝いをしたものだ
切る時にチクチクして痛かったが
切りながら卵のいっぱい入った美味しいシャコを食べる事が出来るのでこのお手伝いは嫌いではなかった
今になって調べるとシャコなんてなかなかの高級品で
おいそれと買えない代物ではないか
夏はシャコ、冬はミカンがご近所や親戚などから届き季節の訪れを感じていたものだ
そして結婚し、今は海から離れ山に住んでいる
当然シャコは来ない
そのかわり柿が来る
旦那方の叔父さんからだ
柿は私の中では2軍、いや3軍あたりのあまり美味しいとは思えないくくりの果物だった
初めてこの「お裾分け柿」を頂いた時はそのあまりの美味しさに私の20うん年余りを返してもらいたいと思った程だ
一気に一軍に駆け上がった
ドラフト超えてメジャーから指名が入ったほどだ
大谷が隣に座っている
さて、今年柿はカメムシ問題、夏暑すぎ問題で量は採れたが所謂「クズ柿」が豊作
キズがあったり色が悪い箇所があったり凹んでいるだけで固さや味には全く問題なしだ
すっかりこちらの柿の大ファンになった姉達に送っても送ってもまた次から次にやってくるクズ柿
姉達も流石に終いには「もう勘弁して」と言ってくる
ママ友に貰ってもらえないかと聞いても「ごめん、うちも貰ったばかりで10個はあるの」
いかんせこの地域はよく柿が採れる
みんなクズ柿問題で困っているのだ
そしてどうにか配り終わった次の日
家に帰ると玄関に段ボール2つと
スーパーの袋にギッチリ入った柿6袋が置いてあった
こうなってくるともうバグっちゃったごんぎつねだ
ゴン、お前だったのか、、、
私は膝をついて愕然とした
それでも使命感にかられ
逆乞食になって柿を配る私
カキ、柿はいりませんか?
昔そこまで仲良くなかった友人、いや知人から電話がかかってきて「よい化粧品」のセールスをされたり、選挙への熱いトークを聞く事はあるが
今なら彼女達の必死な心の叫びが少しだけ分かる気がする
だってのんびりしてたら柿は柔らかくなってしまうのだ!
脱・柔らか柿派の私は一刻も急いで送らなければいけないのだ
それでもクズ柿を送りつけるにはある程度の仲が保証されている友人にしかできない
残念ながらそんな友達片手以下だ
私を振った元彼に今こそこのクズ柿を送りつけるべきかとも考えた
だが嫌がらせなんだか、逆に柿のあまりの美味しさに恋の炎を再熱させて彼が今の家庭を捨てて私を奪いに来てもいけない
柿に家庭を壊されてはたまったものじゃないからな
もしかしたら日本にはそんな行き場を失った絶品食材が溢れているんじゃないだろうか。。。
こんな事を考えているととても良い事を思い付いたぞ!
この山の地域の子ども食堂に持って行ってもきっとそこにも柿は山積みとなっており、子ども達の辟易した顔が思い浮かぶだけだが
私の実家、そう海の民には喜ばれる事間違い無しだ!
来年の柿騒動の時は是非、山の民から海の民へと旬のプレゼントをしたいものだ
故郷に錦を飾るなんて縁遠い私だが
故郷に柿を贈るおばちゃんにはなれそうだ
あなたの家にも毎年うんざりする頂き物があるのではないだろうか?