フェイシズ
革命的傑作!
「愛の奇跡」を製作者スタンリー・クレイマーに改竄され、ハリウッドでの映画作りに嫌気をさしたカサヴェテスが、抵当に入れた自宅を舞台に作り上げた独立資本作品。
初心に還った彼は、六ヶ月の撮影に無償で奉仕する素人スタッフに支えられ、自分の役者としての収入も全てつぎ込み映画を完成。
オスカー三部門でノミネートと素晴らしい成果を挙げ、結果的にはハリウッドに自分の一匹狼としての存在を認知させた。
題名通り、七人の登場人物の表情ばかり追ってフレームなど気にせぬ生き生きとした画面が、僅か一日半のうちに崩壊する夫婦の物語を悲哀より滑稽味を前面に出し、語ってゆく。胸を衝くのは役者たちの存在感。
1968/アメリカ
監督 : ジョン・カサヴェテス
製作 : モーリス・マッケンドリー
脚本 : ジョン・カサヴェテス
撮影 : アル・ルーバン
音楽 : ジャック・アッカーマン
美術 : フェドン・パパマイケル
編集 : アル・ルーバン/モーリス・マッケンドリー
出演 : ジョン・マーリー/ジーナ・ローランズ/シーモア・カッセル/リン・カーリン /フレッド・ドレイパー
◆結婚後14年目を迎えた夫婦が、決定的に破綻するまでの36時間を追った物語。夫は妻に突然“別れよう”と言い出し、高級娼婦と一夜を過ごしに出掛ける。妻は友人たちとディスコに行き、そこで知り合った青年とベッドをともにする。翌朝、罪悪感にさいなまれた妻は睡眠薬を飲んで自殺を図るが、そこに夫が帰って来る……。
心理的描写を一切排し、あくまで即物的に人間関係の崩壊を描いてゆく様は、まさにJ・カサヴェテス演出の真骨頂。ハリウッドと完全に訣別し、私財を投じてこの映画の製作費にあて、俳優、スタッフもすべて素人の友人でかためたというインディペンデントの父、カサヴェテスの執念が全編にみなぎる力作。
1968年ヴェネチア映画祭、イタリア批評家賞・男優賞、1968年全米批評家協会賞、助演男優賞・脚本賞受賞。
