想定外の男 | TVXQは近くにありて想ふもの

TVXQは近くにありて想ふもの

完全なるフィクションの妄想小説です

無断転載は一切おやめ下さい






ヘッドハンティングといえば聞こえはいいけど、前の職場に嫌気がさして新天地へとやってきた俺

営業は頭と体力を使う仕事だが、成し遂げた時の達成感は並々ならぬものがある

ここは前の職場とは違い具体的な目的と目標が明確で

何より社員の意識が高くてやり甲斐がある

ただ、年下の先輩社員であるシム・チャンミンという男

こいつは真面目だし仕事熱心ではあるが、少し融通がきかないというか、頑(かたく)なすぎて心配になるというか

正しいと信じれば、冷静に且つ強気な姿勢で相手をねじふせてしまうようなところが心配でもあった

それに中途採用である俺を軽く見ているところが多少癪に障る

有名大学出身のエリート候補だとか何とか言われてるけど

真面目さだけじゃ営業は成り立たないんだぜ?

と言ってやりたい




「チョンさん、入力まだ終わりませんか?」

「あと少しです」

「何分で終わりますか?その辺を明確にお願いします」

「・・・あと5分です」

「3分でお願いします」




・・・じゃあ最初からそう言えよ!

という思いは飲み込んで、3分で終わらせるべく俺はパソコンのキーを叩いた

こいつ本当に営業の人間かよ

愛想笑いしてるとこなんか見たことないぞ

笑顔が基本の営業職とは思えない無表情(時々イラついた顔)のシム・チャンミン

こいつとは分かり合えそうにないなと思いつつも

正反対の手合いにどこか興味を持ってはいた

そんなある日




「遅くなったけどユノの歓迎会やるから」




営業課の人間が集まっての顔見せになるからと言われて

まだ会ったことのない他の部署の部長や専務やらまで来るらしく、歓迎会という名の値踏みなのかもなと気合を入れて挑むことにした

お客様はもちろん大事だが、社内での評価も激しく大事なのがサラリーマンの掟だ

仕事を終えて向かった先はこの辺では有名な懐石料理の店

小さなステージ付きの大広間の宴会場に案内されて、宴会が始まれば俺はひたすら上司達に酌をして回っていた

緊張はしたがさすが上場企業になったばかりの勢いある会社だ、上司達はみんな営業出身で話しやすい人ばかりだった

いい会社だなと改めてしみじみしていたら

一人の社員が声を上げた




「宴もたけなわ!そろそろシム・チャンミン見せてくれよ!」




シム・チャンミン?

え?あいつが何かやんのか?まさかあいつが

俺がほろ酔いの頭でそんなことを思っていると

端っこの席で飲んでいたのであろうシム・チャンミンがすっくと立ち上がり

一同を見回し、おもむろにネクタイを解いたかと思うと

迷うことなく自分の頭に巻いてキュッと結んだ

そう、酔っ払いのリーマンがよくやるあれなんだが

なにその違和感の無さ

なにその毎度やってます感

そして静かにステージに向かい、カラオケだか何だかの機材を扱っている

用意が整ったのかステージの真ん中に背中を向けて仁王立ちしたシム・チャンミン

手にしているのは・・・ペンライト?

流れてきた曲は








ていうか、若手社員達の合いの手完璧すぎじゃねえ?練習でもしてんのか?上司達もノリノリで、しかし何よりシム・チャンミンの歌がふざけるでもなく超絶本意気な高音シャウトでめちゃくちゃ上手い、ペンライトを使った動きのキレも宴会芸の域超えてんだろ?!

驚きすぎて固まっている俺をよそに、シム・チャンミンは最後のフレーズ

『うぴうぴはにー♪321(うーーーfight!!)♪』

を歌い上げると、何食わぬ顔で自分の席にスっと座った

宴会場は大盛り上がりで次々に演目が披露され始めた

あまりにも気になった俺はシム・チャンミンの席までビール瓶を持って移動した




「シムさん凄かったですね、あんなことやる方だとは思いませんでした」

「得意分野ですから」

「はっ?」

「あ、もう22時を回りますね、僕は早く上がりますのであとはよろしくお願い致します」

「え?早く上がる?え?」

「大事な用がありますので」

「え、ちょっ」




そう言ってシム・チャンミンはこっそり係長にだけ挨拶をして帰って行った

まさかのシム・チャンミンの引き出しに

俺は彼から目が離せなくなってしまったのだった












おしまい



深夜アニメが始まる時間なので失礼します




シム君が歌った曲、2分ちょっとなのでぜひぜひ聞いてみてね〜
あ、続きません(๑¯ω¯๑)
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