365・3 | TVXQは近くにありて想ふもの

TVXQは近くにありて想ふもの

完全なるフィクションの妄想小説です

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チョンさんがやって来る日

テミンは不安げに僕を見ていた

テミンだけじゃない、ジョンヒョンもキボムもミノも、いつもより口数が少なかった

「みんな・・・」

「ジンギヒョン、いつも通りでね!」

キボムが笑顔をつくって言った

「そぉだよ、いつも通りでいたら大丈夫だし」

ミノも笑ってそう言った

「・・・・・・・・・・」

「ジョンヒョン、行ってくるね」

「・・・ヒョン・・・しっかりな・・・!!」

涙をいっぱい目に溜めて、それでもテミンの前では泣かないと思っているのか、ジョンヒョンは泣きそうな笑顔で僕の肩をバシバシ叩いた

「・・・・・ジンギヒョン・・・帰ってきたら、ピアノ教えてくれる・・・?」

テミンがすがるような声で訴える

「大丈夫、大丈夫だよテミン、帰ってきたら一緒にピアノ弾こうね」

僕はそう言って、一人一人の顔を見た

そうして、チョンさんが来るであろう院長室に向かったんだ





********





院長室で待っていると、程なくしてその人は現れた

「失礼します」

院長室に入ってきたのは

背が高くって、すごくかっこ良くて、何より若い男の人だったからビックリした
深い焦げ茶のスーツをビシッと着こなしてる

その後ろにいる男の人も、とても背が高くて、これまた若くてかっこいい人だった

「こ、こんにちは」

立ち上がって挨拶をした僕を、チョンさんであろう人はにっこりと微笑んで瞳にした

「こんにちは、チョン・ユンホです、イ・ジンギ君だね?」

「は、はいっ」

「ふふっ、そんなに緊張しないで、今日は君とお話がしたくてきたんだから」

「さあ、チョンさんどうぞお掛けください」

院長先生がそう勧めると

「ユノ」

後ろのお兄さんがチョンさんを促した

「ありがと、チャンミン」

チョンさんと向かい合って座った僕は、ひどく緊張していた

俯いて、チラチラとチョンさんを見ると、その度に目が合って慌てて反らす

チョンさんは院長先生と言葉を交わしながらも、そんな僕を楽しげに見ていた

「ジンギ君は、10歳だったよね?音楽が好きなんだって?」

チョンさんが僕に話しかけてきた

「は・・い、好きです」

「将来は音楽の先生になりたいって聞いたよ?」



本当は歌手になりたい、だけどしっかり働いて院長先生に恩返ししたいから、堅実な方を言ってるだけ



「そうかぁ、俺たちすぐに仲良くなれるかもしれないね、俺もこのチャンミンも、音楽は大好きだから」

チョンさんはふんわりと笑う

「な」とチャンミンと呼ばれた男の人も、片目を細くして微笑んだ

あ、目がなくなった、大人の男の人に変だけど、チョンさんってなんか可愛い

つられて僕も笑ったら

チョンさんは、すごく嬉しそうな顔をした

・・・不思議な人だな・・・

僕が知ってる大人の人とは何かが違うみたい・・・




言える



この人になら



僕は、深く深呼吸した

そして口を開く

「・・・・・っあの!!チョンさん・・は、僕を引き取りたいって、聞いたんですけど・・・っ」

「うん、そうだよ」

「お願い、したいことが、ありますっ」

「ジンギ?!」

院長先生が眉をひそめている

ごめんね、院長先生、けどどうしても言わなきゃ




「僕にはっ、4人の弟達がいます、あのっ、みんなで引き取ってはもらえないでしょうかっ」





バンッ!!!!





「ダメだよジンギヒョンっっ!!!」

「ヒョンダメだっっ!!」

「ヒョンだめーーーっ!!」





「お前達・・・?!」




院長室に叫びながら乱入してきたのは、ジョンヒョン、キボム、ミノ、そして彼らに手を引かれたテミンだった