「英国王のスピーチ」と「ソーシャルネットワーク」 | 週刊まきうさぎ・ブログ版

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日常生活の中で、見たり感じたりしたことが独自の視線でおもしろおかしく書かれています。

2月の半ばから毎日が日曜のまきうさぎうさちゃん音譜

まあ、体調を崩してのお休みだから、残念なのだけれど汗

震災の起こる前は大好きな映画館が車で10分となるとどうしても観に通ってしまったいえー


アカデミー賞有力候補と言われた2作品を見比べてみた。

「英国王のスピーチ」  と 「ソーシャルネットワーク」  (←ともにリンクあり)


もちろんアカデミー賞の授賞式の前にん観なければ、と思ったので観たのはだいぶ前である。


今年のアカデミー賞ノミネート作品のうち、実に4作品が実話を元にしているのがすごい。

しかもかなりのノンフィクションぶりらしい。全部はみていないから断言できないけれど。


個人的にはともに甲乙つけがたい作品だったと思う。


ただやはり、賞を取りやすいのは、感動ものである

「英国王のスピーチ」なのだろうか?

吃音を伴うがゆえに、内気でスピーチ恐怖症になってしまったヨーク公アルバート王子。

しかしジョージ5世は本来なら次期国王になるべきディヴィット王子については

国王としては不適格ではないかと危惧しており、自分の亡き後を考えて、

アルバート王子にちゃんとしたスピーチができるように厳しく求める。


吃音というのは、幼児期に現れやすく、男性の場合は成人するにつれ自然と治ることが多い。

けれどもアルバート王子の場合、乳母の虐待や吃音の矯正を厳しく求められたことにより、

逆に吃音が治らずに、残ってしまい、そこで悪循環が生じたと思われる。


実際にディヴィット王子はエドワード8世として一度は国王の座についたのだが、

離婚歴のあるアメリカ人女性で、当時も人妻であったウォリス・シンプソンと「不適切な関係」を持ち、

結局ウォリスとの結婚を望んだために自ら退位してしまい、「王冠をかけた恋」などと言われたが、

そのためアルバート王子は怖れていた王位の座に就くことに…。


このウォリスという女性が王位をも捨てさせるほどの魅力をもつ女性であったのかはてなマーク

以前ロンドンに旅行する前に、彼女のことを少し調べてみたが、私にはよくわからなかった。

それは失礼ながら、チャールズ皇太子がどうしてカミラ夫人と結婚したのかと同様である。

男女のことなんて、実際には当事者でないとわからないものなのだろう


考えてみれば、現在のエリザベス女王は、叔父も愛人のために王位を捨て、

その結果として現在に至るまで長年自分が女王という座についており、

息子のチャールズもまた愛人のためにおそらく王位継承権はほぼないという

まさに奇遇な境遇であり、複雑な思いを抱えていることだろう。


週刊まきうさぎ・ブログ版-ザ・クイーン ダイアナ元皇太子妃の死後の

1週間の女王の苦悩を描いた映画

「ザ・クイーン」も観たが、

これもなかなか良く出来た作品だ。

当時のブレア首相がいかに

エリザベス女王を支えたか・・・

しかしやんごとなきお立場ゆえに

苦労の耐えない人生だろうなと

同情してしまった。普通が一番…。


話は逸れてしまったが、アルバート王子が吃音を抱えながらも、

吃音の治療者であり、その後一生の良き友人ともなったローグと出会い、

一見風変わりな治療を戸惑いつつも受け容れながら、次第に吃音を克服し、

第二次世界大戦開戦前に国民に対して国王としてのスピーチを行う。

危機的な状況でスピーチを迫られる重圧、確かに観ていて感動はしたけれど…。


一方の「ソーシャルネットワーク」はどうかはてなマーク

「Facebook」の創設者、マーク・ザッカーバーグを描いた作品であるが、

こちらはもともと創設前から変わり者の彼を支えた大切な親友を失っている。

恋人にこっぴどく振られた腹いせにはじめたいたずらがもとでできた「the facebook」

私もアメーバピコで使っているけれど、最初に違和感をもったのは文化の違い。

個人情報にうるさい割に、外国人はなんの躊躇いもなく自分の顔写真を載せている。


英語の勉強になるかなと思って遊び感覚で始めた「facebook」のアメーバピコ。

「facebook」で友達になればたくさんの「ギフト」が贈られてきて、結構楽しい。

私は基本的には外国人としか話さないようにしているのだが、英語力の問題で、

ヤフー辞書を開いて2画面で悪戦苦闘しながらの英会話。それでも結構楽しかった。

みんなまだ日本という国に憧れているのだ。特にJ-Popやアニメが好きな人は多い。

しかし日本人が多くて最近はほとんどやっていない。


実際にはピコで遊ぶのはアジア系、特にインドネシアなどの未成年が多い。

まぁあまりに子供すぎて小学生ともなると話も合わないのだが…。

ピコでみている限り、彼らの英語力はすごい、もうバイリンガルレベル。

大学生のインドネシア人の子は、勉強熱心で、色々な悩みも聞いてくれるが、

私の英語力では微妙なニュアンスを伝えるのには限界がある。

彼は、もう14歳の頃から煙草を吸っているという。身体によくないんじゃない?と問うと

勉強に飽きて一服する時、どんなに気持ちがいいか「うさぎ」(←私)にはわかる?

本当にすっきりするんだよ、インドネシアじゃみんなそうしてる、と言う。

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左上が私の「facebook」のピコの部屋。小さすぎてわかりにくいけれど、

かなり広いし、なにより一切リアルマネーを使わなくていいのだからすごい。


右下のような画像を顔写真として載せているのだが、外国人にはこれがわからないらしい。

なぜうさぎは顔をみせないの?写真を送ってよ、などとしょっちゅう言われる。

「日本人は個人情報を大事にしているから、顔写真とか生年月日や住所なんか

載せないのが普通なのよ」と説明しても「それじゃ相手のことがわからないじゃないか」

と返って来る。「友達になるのになぜ隠すの?」と…。


自分でも「facebook」を使っていただけに「ソーシャルネットワーク」を観た時に、

ようやくその意味が理解できた気がした。


映画を観て思ったのは、「英国王のスピーチ」と違って「ソーシャルネットワーク」

大切な友人を得たのではなく、自分を大切にしてくれた親友を失ってしまった点である。

おそらくマーク・ザッカーバーグという天才は、プログラミングの天才ではあったが、

人との関係を実際に構築してゆくことに関しては不器用だったのだろう。

「友達の輪を拡げるんだ!その想いはわかるけれど、結局親友を失っただけ↓↓


おそらく彼はもう自分でも何が正しくて何が間違いなのかわからないまま、

彼の才能にのっかかってきて、ただ上手に彼を煽り立てただけのショーン・パーカーに

食い物にされてしまった、ある意味被害者のような気がしてならない。

確かにショーン・パーカーという人物がいなければここまで成長はしなかったかもしれない。

でも本当に彼の立場を最後まで心配していたエドゥアルドという親友を失ってしまった。


映画の中で駆け出しの女性弁護士がマークに「あなたが悪い人じゃないってことは

よくわかるわ、でも陪審員はあなたを見て、けしていい印象をもたないでしょうね」

と同情を込めて伝えるシーンがあったのが、印象的だった。


映画の番宣で「失うものなくして5億人の友達は作れない」とあるけれど…

実際に「facebook」を使っている人がみんなマークの友達というわけじゃないどころか

私なんかマークの存在さえも知らなかった。これが現実。


ただ、彼は人と人が出会える場所を作りたかっただけなのだろう。

そのこと自体はとても成功していると、実際に「Facebook」使ってみて私は感心した。

いまやビルゲイツを追い抜く勢いで、世界で最も若い億万長者となったマーク。

だけど代償はあまりにも大きかったのではないだろうか?


まきうさぎうさちゃんは個人的にはアカデミー賞主演男優賞は、このマークを演じた

ジェシー・アイゼンバーグ  (←リンクあり)に与えて欲しかった。


吃音を克服し、立派な演説をするという役割は難しいけれど逆に演じやすい。

だけど、ただの天才的プログラミングオタクで、お世辞にも人格者とは言えなくて、

ただただ夢の実現に夢中になっていく過程で色々なものを失っていき、

なぜ自分が訴えられてしまったのかすらわからないこの世間知らずの青年の、

ことのなりゆきに呆然とした表情とか、鈍感なのかと思えば感情的になる、

そういった姿を表現するのはとても難しいことだと思うから。


アメリカのアカデミー賞では往々にして若いものより高齢者に受賞させる傾向がある。

若者はまだチャンスがあるから、というのが理由らしいが、

それは少し違うのでは?と思ってしまう。いくら若くても素晴らしい作品に出会え、

心から満足できる演技が出来る機会は、そんなにあるものではないだろう。

現にそのことで何度も賞を逃したレオナルド・ディカプリオなんて、

もう授賞式の日にクラブで荒れてどんちゃん騒ぎをして拗ねてしまったほどである。

素晴らしい演技をしたら、年齢に関係なく賞を与えるべきじゃないだろうか。

彼の演じた「仮面の男」は素晴らしかったと私は思うがノミネートすらされていない。

その後の「キャッチミー・イフ・ユーキャン」はなかなかコミカルでよかった。

そして単なるイケメンから「ギャング・オブ・ニューヨーク」や「シャッターアイランド」では

渋い中年俳優として、イメージを一新して復活した気がする。

アカデミー賞では無冠の帝王と化しているが、いつか受賞してほしい。


主演男優賞に「英国王のスピーチ」のコリン・ファースの名前が読み上げられた瞬間、

カメラに映されたジェシー・アイゼンバーグの、おそらく今までの経緯から

自分の受賞はないだろうとほとんど諦めてはいたものの、やはり少しがっかりした表情…。

もちろん彼は即座に受賞者に対して拍手を送っていたが、

ジェシー・アイゼンバーグもこれをばねに素晴らしい役者になってほしいと切に願う。



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