『赤ひげ診療譚』 山本周五郎 | はだしカンパニー

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いらっしゃいませ。こんにちは☆ 作家、成田名璃子(なりた なりこ)のブログです。はだしカンパニーという屋号名で、コピーライターも兼業中。作品へのご感想について、辛辣なご意見の場合、涙で視界がくもりお返事が打てない場合もあります。

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)/山本 周五郎

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ええと、本をご紹介するまえに。


最近、なんだか新しく訪れてくださる方も多いので
ちょっとエクスキューズですが。

ここでご紹介している本は、もう名作中の名作、
読んでない人でも名前くらいは知っているというくらい
名作ばかりを主に(あくまでに主にですが)紹介しております。

なので、本が好き。本の虫。隠れた名作が知りたい。
掘り出しものを見つけたい、という方は、
あまたいる猛者の紹介ブログをご参考くださり、
ここでは釈迦に説法をお楽しみくださいね耳


さて、今日も今日とて、名作をご紹介したいと思います。
そう、山本周五郎さんの超名作、「赤ひげ診療譚」!!

本当にもう、何度読み返したでしょうか。
そして読み返すたびに、泣いて、笑って、
すがすがしい気持ちになれるのだからさすが名作です。


時は江戸時代。
今でいうところの若きエリート医師が主人公です。
長崎で蘭学を学び、帰ったら幕府おかかえの医師として
エリート街道まっしぐらの輝かしい将来が待っているはずでした。
ついでに、いいなずけとの結婚も待っているはずでした。

ところが、そのどちらも、待っていなかったのです。

江戸へと帰ってみると、いいなづけはなぜか他家へ嫁いでおり、
幕府のお抱えどころか、主人公は、
お金のない町人相手に昼も夜もなく診療を行っている
いわば町医者のところへと奉公に出されてしまいます。

その町医者が、赤ひげです。


この小説は、連作短編の形式で書かれていますが、
ミステリ仕立てのものあり、ホラーあり、人情ものあり、と、
その味付けは多彩で、しかもどれも完成度がだだ高く、
さすが文学賞の冠にもなっている山本周五郎先生の作品であります。


金はなくても人懐こく義理人情に厚い町人たちや、
武骨でも懐が深く、臨床医として一流の腕をもつ赤ひげと触れ合ううちに、
鼻もちならなかったエリート青年は、
謙虚でまっすぐな医師見習いへと成長していきます。



そのすがすがしさといったらありません。
読後には、なんか知らないけど、僕も、私も、やるぞーーー!
と思わせてくれるような一冊なのです。


そんなわけですから、夏休みの推薦図書にもぴったりの本作ですが、
先生のピックアップしたラインナップにもしも「赤ひげ診療譚」がなかったら、
それはかなりセンスないと思いますね、実際。

もしも読者の中に小中学生の方がいて、
不幸にも「赤ひげ診療譚」が推薦図書になっていなかったら
先生に教えてあげたほうがいいと思います。

「先生、先生の本選び、センスないよ!!反省しなさい!!」ってね。うん。


いやあもう、そりゃあもう、面白いです。
必読。