食品中の放射性物質に関する新基準値の導出について(3) | renormalization

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再規格化(くりこみ)

今回は前回と同様にして、「一般食品」の基準値100Bq/kgを決める13歳~18歳(男)の限度値を確認してみたいと思います。したがって、今回もCs137とCs134とSr90だけを考慮するとことにします。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yw1j-att/2r9852000001yw77.pdf


●Cs137とCs134のベクレル数の和が1Bqになる年間平均濃度比Fn


Fnの値は1歳未満の場合と同じです。
F1≒0.615

F2≒0.385


F3は食品によって異なります。
・穀類

F3≒0.0367

・コメ類

F3≒0.00624

・芋類

F3≒0.00881

・葉野類

F3≒0.0755

・根菜類

F3≒0.123

・豆類

F3≒0.0640

・果菜類

F3≒0.0312

・畜産物と牛乳

F3≒0.0129


●年間平均のCs137とCs134のベクレル数の和が1Bqあたりの実効線量H


H=D1×F1+D2×F2+D3×F3

で与えらます。ここでDnは経口摂取による実効線量換算係数で、15歳の値は

D1=1.3E-5mSv/Bq

D2=1.9E-5mSv/Bq

D3=8.0E-5mSv/Bq

です。


・穀類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.0367)E-5mSv/Bq

≒1.82E-5mSv/Bq

・コメ類

H=(1.31×0.615+1.9×0.385+8.0×0.00624)E-5mSv/Bq

≒1.58E-5mSv/Bq

・芋類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.00881)E-5mSv/Bq

≒1.60E-5mSv/Bq

・葉菜類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.0755)E-5mSv/Bq

≒2.13E-5mSv/Bq

・根菜類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.123)E-5mSv/Bq

≒2.51E-5mSv/Bq

・豆類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.0640)E-5mSv/Bq

≒2.04E-5mSv/Bq

・果菜類

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.0312)E-5mSv/Bq

≒1.78E-5mSv/Bq

・畜産物と牛乳

H=(1.3×0.615+1.9×0.385+8.0×0.0129)E-5mSv/Bq

≒1.63E-5mSv/Bq

・淡水産物

H=(1.3×0.615+1.9×0.385)E-5mSv/Bq

≒1.53E-5mSv/Bq

・海産物

他の核種の影響の和はCsと同じと仮定した値が用いられています。

H=(1.3×0.615+1.9×0.385)E-5mSv/Bq×2

≒3.06E-5mSv/Bq

・その他の食品

農作物、畜産物、淡水産物、海産物の値を摂取量で加重平均した値が用いられています。

H≒1.81E-5mSv/Bq


●各食品の摂取量A


・穀類

A=127.5g/day≒46.5kg/year

・コメ類

A=499.4g/day≒182kg/year

・芋類

A=79.2g/day≒28.9kg/year

・葉菜類

A=139.9g/day≒51.1kg/year

・根菜類

A=77.1g/day≒28.1kg/year

・豆類

A=64.4g/day≒23.5kg/year

・果菜類

A=149.4g/day≒54.5kg/year

・畜産物

A=211.6g/day≒77.2kg/year

・淡水産物

A=6.1g/day≒2.23kg/year

・海産物

A=82.3g/day≒30.0kg/year

・その他の食品

A=398.5g/day≒145kg/year

・牛乳

A=216.2g/day≒78.9kg/year


●「一般食品」の限度値Xf


「飲料水」以外の「全食品」についてHとAの積の和を求めると、


∑(H×A)≒1.36E-2mSv・kg/Bq・year


となります。ここで、飲料水以外に割り当てられる1年あたりの実効線量は13歳~18歳(男)ではCw=0.881mSv/yearでした。したがって、希釈係数を0.5とするなら(流通する食品の50%が汚染されているとする)、


Xf=Cw/(∑(H×A)×0.5)

=0.881mSv/year/(1.36E-2mSv・kg/Bq・year×0.5)

≒129.5Bq/kg


となり、だいたい再現できました。したがって、「一般食品」についても事故後1年から2年の間ではRuとPuの寄与は相対的に小さいことが分かります。また、13歳~18歳(男)の限度値が19歳以上(男)の限度値より小さくなったのは、前者の方が後者よりD3の値が大きいためと考えられます。

また、1歳未満の限度値460Bq/kgは13歳~18歳(男)の限度値120Bq/kgの4倍近く大きいので、「一般食品」の暫定基準値は1歳未満の子供に対してはかなり厳しい値になっていることがわかります。