昭和60年7月

福岡県南部の田舎町に僕は長女として生まれた。

産婦人科の先生から
「この子の体格は凄い立派だ!とても健康に育つでしょう!」
と言われ母は喜んだそう。

紳士服のテナント店に勤める、のんびり屋でお人好しの父
保険の営業職をやりながら家事を完璧にこなす母
2年半先に生まれた漫画大好きな兄
そして父方の祖母と猫のシロ

そんなごく普通の家族

兄は年も近い分、よく一緒に遊んでくれた。

外でサッカーやキャッチボールなど運動が好き。
でも漫画を読むのも描くのも好きだから、ドラゴンボールもセーラームーンも男子向け女子向け問わず何でも見ていた。

洋服は兄貴のおさがりをよく貰っていて、周囲からは男の子同然に接してもらい何の違和感もなかった。

ひとつだけ疑問に思っていたことは、兄と体が違うこと。

男の子のシンボルが無かったこと。
でも大きくなったらニョキっと生えてくるものと思っていたのよ、あの頃は(笑)

しかし、大きくなって起きた変化は想像もしなかった現実。

小学校4年生の時、パンツにベッタリついた血液。
大慌てで母親のところに行って

「お母さん!怪我してないのに血がついてる!!病気かもしれない!!」

と戸惑う僕に母は一言。

「あら!大人の女性になった証拠じゃない!今夜はお祝いね♪」

そう。
突き付けられた逃げられない大事件。

僕は女の子だったんだ、、、

10歳にしてこの事件は到底受け入れられることではなかったのです。



次回に続きまーす。