木更津の森田さん | みやみの『住めばmiyako』

みやみの『住めばmiyako』

いつか沖縄で開業する日を夢見て、仕事に遊びに全力疾走中♪

震災にかこつけて、詐欺が横行しているという。


昨日観たのは下記のニューステレビ


「『福島に住む母親の生存が確認されたので、福島まで行きたいが交通費がない』などと装って

都内在住のОL(27歳)から、バス代と称し4万円を騙し取った無職の男が逮捕された。

男によるとこれまで200万円もの金銭を騙し取ったとして、警察は余罪追求している」


な、情けない・・・ガーン


まったく、どこにでも悪知恵を働くヤツがいるもんだ。

震災を食い物にするなんざもってのほかむかっこんなことを思いつくアタマがあるなら、もっと別のことに使え!むかっ


にしても、4万円ものお金を渡してしまう、ОLさんにもびっくり。

警察に行くように促さなかったのかな・・・・??



・・・と思ったところで思い出した。わたしも正に十数年前、同じセリフを言われたことを。


「なんで警察に行けって言わなかったの?」




それは遡ること十数年前。わたしはうら若き26歳のОLだったリボン


ある日の会社帰り、時刻はおそらく19時頃だったろうか。自宅近くの国道で声を掛けられた。


「蒲田駅はどっちですか?」


蒲田駅?いやいや、ここは川崎だし。蒲田駅とかって隣の駅だから、ここからだと5キロ以上あるし。


驚くわたしに、声を掛けてきた初老のおじさんは重ねてこう言った。


「お財布を落としてしまってね。蒲田に友人がいるので、そこまで歩いて行こうと思ってね」


歩いてって・・・、歩けませんよあせる若者のあたしでさえ、罰ゲームったって歩きたくないあせる


いや~、さすがに歩けないと思いますよ、川崎駅から一駅電車に乗らないと・・・


というわたしに、おじさんは少し改まってこう言った。


「少し、お金を貸してもらえませんか?」




それはもう、もちろん、貸します貸しますそんな蒲田までなんで、おじさん歩けないよ。

無事に友人に会えるかもあやしいところだし、途中でお腹も空いたら気の毒だし・・・


と、わたしはおじさんに5000円札を握らせた。川崎~蒲田間は150円だというのに。


ではこちらに返却先の住所と名前を書いてくださいというので、わたしはそのメモ帳にさらさらと自宅住所と名前を書いた。


おじさんは丁寧にお辞儀をして、


「わたしは木更津の森田と言います。ご親切にありがとうござます」


そう言い残してその場を立ち去った。


そして、帰り道々、わたしは「なんていいことをしたんだろう。天使」と思っていた。そう、本気で思っていたのだ。

数日後、丁寧なお礼の言葉を添えた、5000円が入った封書が届くことを本気で。


そしてわたしは家に帰ってから両親に、翌日会社に行ったら同僚に、こう言われることになる。


「なんで警察に行けって言わなかったの?」





けれど、今思ってもその時も、「だって」としか言いようがない。


「だって、信じていたんだもん」



おそらくわたしはその時、とても幸せだったんだろうと思う。毎日が満ち足りていたんだろうと思う。

人が人を騙したり、嘘をついたり、おとしめたり、そんなことがこの世にあるなんて想像もできないくらい

平穏な日常で暮らしていたんだろう。


そうでなければ、5000円なんて大金を見ず知らずの人に貸したりしない。

自分が不幸でカツカツで、他人を思いやる余裕がなかったら、そんなことできなかっただろうと思う。


だからいいんだ。あの頃、わたしは幸せだった。

見ず知らずの他人を疑うことなく、力になりたいと思う、その気持だけで行動できた自分は、恥じることはない。


だから、今回詐欺に遭ってしまった都内在住のОLさんだって、きっと幸せな人に違いない。

その気持ちは誰が何と言おうと美しい。


幸せは連鎖する。わたしはそう信じてる。

自分が幸せであれば、他人も幸せにできる。


だからね、木更津の森田さん。もしあなたが今幸せなら、他の人にもその幸せを分けてあげてね。

もし、本当に、福島まで帰らなきゃいけない人がいたら、その5000円、心良く貸してあげてね。


そんだけで、いいから。