食卓の華。 | まきおの隠れ宿

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劇団スタジオライフの牧島進一です。
皆様との交流の場をコソッと増やそうとブログを始めてみました(^_^;)
内容は徒然、不定期更新になると思いますが、
宜しくお願い致します!

帰省翌日。

今日はJr.5の『食卓の華』を観にウエストエンドスタジオへ。

アドルフに告ぐ本番中から休演日や公演のない時間帯を全て奥田さんがこの作品の稽古や準備に当てていて、かなり大変なことになってました(笑)

今回が4回目となるJr.5祭り。何故か僕は初めての観劇。たまたまスケジュール的に観られなかっただけなのですが、何分初めて。期待もありつつも、

「ここで予定入れなかったらもう少し実家にいられたな…」

などと、先輩不孝な考えもちょっぴり。

だけど、退団している寺岡さんは直近の先輩のリーダーでもあり、言葉ではとても言い尽くせない恩人。奥ちゃんや青木さんもなんでかんでいつも仲良くしてもらってるし、さらにあの小野さん作品とあれば、アドルフ東京公演で奥田さんに毎日のようにプッシュされなくても観に行きたくなるものです。

そんな訳で、勝手知ったるウエストエンドスタジオへ。

今日を選んだのは帰省のタイミングもあったけれど、亮吉が日替わりで出演だったのも理由の一つ。
寺岡さんと逆に直近の後輩のリーダー。最近はスタジオライフでの共演も少ないので、観てみたかったのです。


セミの声が象徴的な夏の一幕。

ある家族のちょっとだけ非日常的な日常を描いた世界。

これは余談だけど、僕もはるか昔学生時代に小さな劇団で作演出をやったことがあって、
その時、僕が作品を作るにあたって大事にしていたのが、「現実には起こりそうにないことだけと、現実に起こり得ること」

つまり、非日常的日常で、かつファンタシーではない世界。

簡単に例えると、記憶は失ってもいいけど、タイムスリップしちゃダメ。

回想シーンはあってもいいけど、現在と融合しちゃダメ。

この辺は勿論好みで、演劇という自由な畑では是非はないことですが、僕はそうでした。

今回の『食卓の華』はそういう意味で見事に僕の演劇観と合致。

まだ楽日を残している故内容には触れませんが、家族というモノの描き方が本当に見事。

日常会話の中で少しずつ家族の関係や過去が見えてきて、現在起こっている出来事とリンクする形で流れるように回想に入る。そこでまた登場人物の奥行きや内面に理解が深まり、観ている側がまるでその家族を見守っているような感覚に入っていく。


そして、寺岡さんと奥田さん、青木さんによる三兄弟。

これが本当に堪らない。

おそらく同じ劇団の同期として重ねた家族としての時間があるからこそ実現している限りなくリアルな兄弟感。

演技云々を越えた

「ただ一緒にいるだけで、兄弟に見える」

そんな感覚。


そして、各々が皆、

苦しみ、

葛藤して、

憎み合って、

愛し合う。


もうそれは、家族そのもの。


僕自身が家族モノ、ことに親子の関係を描いた作品に弱い、というのはあるけれど、

いい意味で、本当に苦しい瞬間が沢山ありました。

だからこそ、作品が進むに連れて、

「もうなんでもいい、とにかくハッピーエンドにしてくれ!」

そんな感覚に囚われた。

心地良い瞬間と、胸が苦しい瞬間が絶えず繰り返す。そんな素敵な作品。

あとはもう内容に抵触せずには語れないので、以下はちょいネタバレで!
明日観る方はここでストップです!




寺岡さんの長男、英男。本当に素敵なお兄ちゃんでした。寺岡さんの兄貴気質と、強くあろうとする脆さが、その笑顔に滲んでいて、笑えば笑うほど、見ている僕は泣きたくなりました。

奥田さんの次男、正之。
奥田さんの不器用な愛情表現。真っ直ぐさとそれを素直に見せられない不器用さが詰まった素敵な次男君でした。

青木さんの三男、正俊。
本当は愛されたくて、愛したくて、
でも愛され方も愛し方もわからない。
背伸びしても、ごまかしても、
可愛くて仕方ない、弟。

山素由湖さまのお母さん。
圧巻でした。
お母さんでした。
三人のお母さんでいてくれて、本当にありがとうと思いました。

中山裕康さんのお父さん。
一足早い千秋楽、お疲れ様でした!
なんだろう、僕は好きでした。
好きであってはいけないと思いながら、
でも、やっぱり愛を感じずにはいられなかった。ダメ男役なはずなんですけどね(笑)




終演後。
青木さんにホイと渡されたパンフレット。
その中には、家族の写真がいっぱいで。

本当にこの人たちは家族なんだ。

本当の家族が家族の芝居やるなんて、反則だよ(笑)


なんて、思った。

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パンフより無断転載(笑)