芝居語り、ばいまくしも。 | まきおの隠れ宿

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劇団スタジオライフの牧島進一です。
皆様との交流の場をコソッと増やそうとブログを始めてみました(^_^;)
内容は徒然、不定期更新になると思いますが、
宜しくお願い致します!

昨日、5月9日。土曜日。

この日はAチームの稽古。

劇場入りまで今日を含めてあと3日。
いよいよ本当に大詰め。

今日も通し稽古の予定だったのだけど、急遽予定変更でシーン稽古に。
二回の通し稽古を経て、まだまだ伸びしろが大きいシーンを詰めていこうという試み。


シーン稽古でシーンを作り、
通し稽古でそれらをつなぐ。

おそらく一般的にはそうして舞台は作られる。
外面的には。


でも、役者が役作りの途上で実践していることは、その外面通りではなかったりする。

シーン稽古でまず、シーンの意味を理解する。台本の読解の延長だけれど、実際に立って、相手役の発する言葉や表情、瞳の揺れなどから発見できることも多い。そうした中で、そのシーンで自分に与えられた役割を理解し、自分がその場面でそれを表現できるベストを探す。

通しでは、逆に自分の気持ち追いかける。
シーン稽古でやってきたことが、実際一人の人間として生きた場合どうなるのか。
シーンが進むに連れて思いが積み重なっていくので、自ずと断片的だったシーン稽古とは同じにならない場面が多々出てくる。
でも、シーン稽古でやるべきことをしっかりやっていれば、表現は変化しても、ちゃんと自分の役割を全うできる。むしろ、通しの中で突然生まれた表現が、シーン稽古を何十回と重ねたものよりその役として生きていたりすることも少なくない。



さて、ここでシーン稽古に戻るとどうなるのか。
今度は最初のシーン稽古の意味とは全く違う。

通し稽古をしたことで発見した、自分の役としての生き方を持ちながら、さらにそれを効果的に見せるにはどうするべきか、またより深い想いがまだあるのか。見落としていないか。
そういった、ブラッシュアップの稽古になっていく。そして、次の通し稽古にそれらを上乗せしていく。


客観的に作品を見る、という観点を割愛して書くと、稽古って大まかにはこんな感じ。勿論人によって細部は異なると思うけど、概ねみんな同じように作っていると僕は思う。


つまり、今かべぎわの稽古は、その最終局面の一歩手前である、通し後のシーン稽古、まで来た、ということ。

変な説明を長々してしまったけど、つまりは僕らの芝居があともう少しで初日に向けて仕上がります!って話でした(^_^;)


このブログを以前から読んで下さっている方々はご存知と思いますが、僕は芝居のことを話すのが好きです。
役作り、作品作り、その他色々、特に「作っていく過程」の話をするのが、出来上がったものの話をするより好きだったりします。

でも、「マジメか!」と突っ込まれるのもアレなので、稽古場や稽古後の飲みの席でこういった話をすることはほぼないのです。
よほど仲の良い役者とサシなら話す、くらいですかね…スタジオライフでゆーと、海司さんとかまつしんとか。若い後輩に伝えたいときは、あんまり熱く語らずふわっと話すようにしています(^_^;)

だから、このブログで読んでもらえることは、皆さんに僕が普段は語らず思っていることを聞いていただいている訳で、ちょっと嬉しかったりするのです(^-^)



今回僕が参加しているかべぎわのカレンダリオ。
そのメンバーを観ていて本当に良いなぁと思うのは、

みんな、芝居が好き、ということ。

自分の役は勿論、シーン、そしてその先にある作品世界を具現化する為の努力を、ベテラン若手の垣根なく、みんながやっている。

ベテランのガラさんや逸平さんは、その技術に甘えることなく毎回どんどん新しい試みをしているし、

若手のみんなは細川さんや先輩達の話に耳を傾け、稽古時間外でも時間を見つけては自主練を重ねて、少しずつ、でも稽古初日から比べたら、別人のように成長している。

そのちょうど間にいる世代の僕は、そのどちらにも刺激をもらえる。
すごく恵まれた環境でやらせてもらっていると日々実感しています。


いよいよ残すところ稽古は二日間。

でも、焦って完成させようなんて考えちゃダメ。
完成なんてそもそもないんだから。

今日明日の稽古、そして劇場入りから初日を迎えるまでの時間。

まだまだ、探せばいい。

それくらい、未知数な作品だと思うから。

「ここはこうやろう、ああしよう」

そういう考えは今回の作品に於いて、僕は一切捨てました。

「その時その時、相手役と関わる中で生まれたものを信じて、そこに重ねていく」

勿論最低限の約束事はあるけれど、後はその時の想いに従った方がいい。というか、少なくとも僕の役は固められない。固めたら嘘だらけになる。
そんな気もして。

今回稽古でバラキという役を演じていて、ふとスタジオライフで倉田さんに言われたある言葉を思い思い出しました。


「安定させようなんて考えちゃダメ。安定なんてしないわよ」


これは、リリーズの稽古中、僕がリディアンヌで悩んでいて、一度少しだけ役を掴みかけて、その直後の稽古でまたそれが逃げていってしまった時に倉田さんが言った言葉です。

いい方向に向かった。だからそこを辿ろう、目指そうと思うと、それはもう既に役の想いを離れてしまっている。

毎回ゼロからスタートし、
全て、その日その時その一瞬に生まれたものを信じて、心を動かし続ける。

そこにしか真実はない。

その言葉を、僕はそんな風に理解しました。


特に初めから意識していた訳ではなかったのですが、初めての通し稽古を終えた時、自分の演技が余りに先だってのシーン稽古と違ったので、こりゃ毎回変わるな~と実感して。
後になってからフッと倉田さんの声が聞こえた、そんな感じでした。



今回は、本当に色んなカラーを持った役者さん達が集まっていて、互いの信頼関係の中、各々のスタイルで演じることで、結果、切磋琢磨しているような気がします。

だからあえて僕も今回は、スタジオライフの牧島フル稼動で頑張るぞ!
と意気込んでおります(≧∇≦)

バンタムさんの創る空気感の中に、スパイスのように倉田ワールドの香りを漂わせることができたら…
なんか、嬉しいかも。



と、かなり長くなっちゃいました
語り出すとついつい長くなっちゃうんですいつも(笑)

僕のとりとめのない芝居についての語り、耳を傾けてくれた皆様に、心から感謝(≧∇≦)

今日も新たな発見をする為に、
稽古、行ってきます!

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