今日のLiliesはマルケリアヌス。
終演後にはトークイベントがありました。
先輩に思うこと、後輩に思うこと。
なかなか照れくさかったりして、ちゃんと言えなかったりしますが、
結構思うことって沢山あります。
という訳で、今日はトークショーで僕が話したことをちょっと補足。
あえて誰とは言わなかった部分をお話しちゃいます。
僕は今回のマルケリアヌスのメンバーの中では、ほとんど真ん中で、
先輩が4人。
後輩が6人。
でも今回、僕の立場は常に後輩でした。
後輩に気がついたことを伝えたりすることはありましたが、それ以上に僕にとってはリディアンヌという役が余りにも難航不落に立ち塞がり、
倉田さんのダメ出しも毎日絶えることがなく、小屋入り数日前の段階で尚、暗礁に乗り上げて身動きできないような有様でした。
そんな時。
「難しいなあ」
と声をかけて下さったのは楢原さん。
「最初の頃の方が勢いあって良かったよ、今は迷ってる」
その後もしばらく伯爵夫人の視点でリディアンヌにアドバイスを下さいました。
「ま、時間あるとき合わせよ」
「お願いします!」
少し楽になって、稽古場に戻る。
セットの階段に座って、ダメ出しのメモと台本を睨んでいると、
「牧島」
海司さんが声をかけてくる。
海司さんは随分前から僕がかなり苦戦していることを知っていて、その都度客観的な目線で助言を下さっていました。
「いや、ダメっすね、ちょっと八方塞がりで」
「だと思って(笑)。俺思ったんだけどさ…」
と、同じリディアンヌを演じる先輩として、でも、牧島のリディアンヌはこうだから、こうしてみたら何か見つかるんじゃないか、とか、僕の作っている方向の中での突破口を探してくれる。
「やってみます!」
「おう、大丈夫、俺もまだまだだ(笑)」
また少し楽になる。
「まっき~、あそこさぁ」
今度は芳樹さん。
芳樹さんは過去リディアンヌをやった経験と、老シモンという立場から、僕に足りない部分を率直に指摘してくれる。でも、そこで「こうやれ」とは決して言わない。
「まっきーなりの遣り方で、いい感じに、ね」
気がつくと、出来ない、という不安はどんどん小さくなり、そうか、こうやれば、という想いが溢れてくる。
大村さんはまだ復帰して日が浅く、僕に先輩然として何かを語ることはなかったけど、僕がどんなに試行錯誤して、不安定なリディアンヌでも、全部受け止め、対応してくれる。最初のテラスのシーンの稽古で
「すいません、俺全然決まってなくて、毎回違っちゃって」
と大村さんに言うと
「違って当たり前だよ、生なんだし。大丈夫。まっきーのやりたいようにやってくれたらいいよ。俺も頑張って全部拾うから(笑)」
と応えてくれた。
その言葉と、実際に僕がどんなに不安定でも、全部受け止めてくれたことが、本番であのシーンを演じている今でも、心の支えになっている。
4人の先輩に貰った温かさ。
一人でも欠けていたら、今の僕はいない。
僕はまだまだだ。
そのことが、悔しくもあり、
また、堪らなく嬉しい。
そして、僕が出来る恩返しは、
先輩とか後輩とか関係なしに、目の前の相手の琴線に触れる想いを言葉に乗せて伝えること。
そんな風に思う。
明日も夜はマルケリアヌス。
出演者全員の想いを一言も逃さず、
また、自分の言葉を一言も無駄にしないよう、
大切に相手に渡したい。
そう思います。