うちの近所ではよく猫を見かけます。
たいていは近付くと逃げていくのですが、たまにトラにゃんのような特殊な
例も。
ちなみに昨日の写真の猫は、近所ではなく、鎌倉の小町通りに住んでいる飼猫。まくしもはとら丸と命名。彼が座っていたポディションのすぐ近くにあった店の名前である。
モヤモヤさまぁずを観てふと鎌倉頭巾が欲しくなって行ってみたのだけど、平日昼にも拘らず、小町通りはかなりの賑わいで、京都の清水寺に向かうときのあの坂をちょっと連想するくらい。
とら丸も当然大人気。メインの客層である主婦層の方々やお年寄り、中高生、カップルと、みんな触っていく。
僕が初め通りかかったときは、近所の方らしい自転車のおばさんがエサやりをしていて、
次に通ったときはカップルがフランクフルトを一緒に食べていて、
近付けず(´・_・`)
人見知りな僕は、他の人に合流ってのが苦手で、空き待ちみたいになるのです(笑)
鎌倉頭巾はかなり人気だったらしく、店頭には殆ど種類がなく、ネット販売もあるとのことだったので、試着だけして辞去。
その後はちょっと寺社まで足を伸ばしたり、海を眺めたりして過ごす。
そして夕方、そろそろ帰るか、と思ったとき、どうしてもとら丸に触っておきたい!と思いたち、もう一度小町通りに向かう。
7時近くになっていて、大分日が傾いていたけれど、とら丸はまだそこにいた。
一日中観光客の相手をしていた彼が、一人佇んでいる姿はなんだか不思議で、その後ろ姿には何か哀愁めいたものすら感じる程だった。
「お疲れさん」
隣に座って声をかける。
彼は嫌がるでも喜ぶでもなく、ただ座り続けていた。
軽く背中を撫でる。
ちょっとだけ目を細める彼。
しばし二人並ぶ。
鎌倉の夜は早く、小町通りの店々も、7時には閉まる所がほとんどだ。
必然人通りはなくなっていき、彼も最後には一人になる。
どんな気持ちで彼はいるのだろう。
毎日ここで、観光客と戯れ、夕方には一人になる。その繰り返し。
「さあ、それが当たり前だからな。深く考えたこともないな」
彼の表情はそんなふうに見えた。
「ただまあ、祭の後っつーのかね。昼間賑わったこの通りが、夜はこの通り静かになる。これはこれでいいんだが、なんだか寂しい気持ちもする」
彼は続けた。
「俺が寂しい訳じゃない。この通りが寂しがってる。そんな気がしてね。俺は最後の客として、日が沈むまでここにいるのさ」
そんな風に語ったように思えた。
だから僕は、こう答える。
「じゃあ、俺が帰らないとお前も家に帰れないな」
ポンと彼の頭を撫で、立ち上がる。
途中で振り返ると彼は、ただじっと、通りを見つめていた。