先週の金曜日の震災以来、毎日震災に関するネタを記事にしています。
今日もやっぱり震災に関係したネタです。
埼玉県にある立教新座高校は、震災の影響で卒業式を中止しました。
それに伴い、校長先生が卒業生にあてたメッセージが同校のサイトにアップされています。
その格調の高さと、これから大学に進もうとする18歳男子に勇気を与える文章に感動しました。
かなり長いので全文をアップすることは差し控えますが、一部を抜粋してご紹介します。
卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。(校長メッセージ)
未来に向かう晴れやかなこの時に、諸君に向かって小さなメッセージを残しておきたい。
このメッセージに、2週間前、「時に海を見よ」題し、配布予定の学校便りにも掲載した。
その時私の脳裏に浮かんだ海は、真っ青な大海原であった。
しかし、今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。
これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに思えるかもしれない。
私は躊躇した。しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして、どうしても以下のことを述べておきたいと思う。
私はこのささやかなメッセージを続けることにした。
諸君らのほとんどは、大学に進学する。
大学で学ぶとは、又、大学の場にあって、諸君がその時を得るということはいかなることか。
大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。大学での青春とは、如何なることなのか。
学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、何のために大学に行くのか。
誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。
言葉を変えるならば、 「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。
時に、孤独を直視せよ。
海原の前に一人立て。
自分の夢が何であるか。
海に向かって問え。
青春とは、孤独を直視することなのだ。
直視の自由を得ることなのだ。
大学に行くということの豊潤さを、自由の時に変えるのだ。
自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。
流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。
いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。
いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。
海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。
真っ正直に生きよ。
くそまじめな男になれ。
一途な男になれ。
貧しさを恐れるな。
男たちよ。
船出の時が来たのだ。
思い出に沈殿するな。
未来に向かえ。
別れのカウントダウンが始まった。
忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。
鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。
愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。
教職員一同とともに、諸君等のために真理への船出に高らかに銅鑼を鳴らそう。
「真理はあなたたちを自由にする」
(Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ ヘー アレーテイア エレウテローセイ ヒュマース)・ヨハネによる福音書8:32
巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。
被災者の人々への援助をお願いしたい。
もとより、ささやかな一助足らんとするものであるが、悲しみを希望に変える今日という日を忘れぬためである。
卒業生一同として、被災地に送らせていただきたい。
梅花春雨に涙す2011年弥生15日。
立教新座中学・高等学校 校長 渡辺憲司
全文(立教新座高校サイト)
いかがでしょう。
ちょっとでもこの文章に興味を持った方は、ぜひこのLinkをクリックして全文を読んでみてください。
この文章を書いた校長先生は、wikiによると、立教大学文学部の名誉教授(日本文学)で、去年の8月から校長に就任した方です。
ワタクシはこれをTwitterのReTweetで知りました。
RTにはこんなつぶやきが。
「これは感動!立教新座高校校長メッセージ」
「文章がこんなにも気を放つものとは。」
「真理はあなたたちを自由にする- 感動で言葉になりません。」
みんながほめていたので、何気なくLinkを開いて、この文章を読みました。
一度読み終わり、もう一度今度は声に出して読み直してみました。
震災の情景が浮かんできて、読みながら涙が出てきました。
ワタクシは都立高校出身です。
今までの人生の中で、人生の先輩にこれほどまでの言葉をかけてもらったことはありません。
これほどまでの命令形に満ちた言葉をぶつけられたことはありません。
渡辺先生は、文章を読む限り、気概のあるちょっと怖い人のような印象を持ちました。
「流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。」
って、オオムカシに大学を卒業したワタクシにとって耳が痛い言葉です。
でも怖い先生って、ずっと覚えているものですよね。
立教新座高校の卒業生が少しうらやましくなりました。